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ただそれだけ

生きる事を肯定することは難しい。
幸せに生きる事と正しく生きる事は違う。
幸せに生きるために苦しみなんてものを知る必要はないけど、生きる苦しみを知っていないと正しくはなれない。
「正しい」という言い方は違うと思うけれどそれを知らないことは無知だ。
幸せになりたいのなら何も知らなくていいのだ。
幸せだけを知っていればいい。それが最上の幸せだ。
だけど私たちは知ってしまっている。
生きることの辛さと、この世の存在の無意味さを。
朝起きてまた一日苦しんで寝て……
また起きたら苦しみが始まる――
人は苦しみには耐えられない。
だから自殺する。
死ぬことが気持ちが良いからとかではなく、苦しみに耐えきれないから死ぬ。ただそれだけ。

ヒトには感性が存在する。
物と色とか音とかを「美しい」と感じたりする。
人にはそれがある。
この世界には形があって色があって音があって匂いがあって味があるのと同じように得体のしれない「意味」があるのかも知れない。
この世に得体のしれないものはいっぱいある。
才能、嬉しさ、楽しさ、面白さ、気持ちよさ、好奇心、おっぱいを魅力的に感じること(ただの脂肪なのに)、優しさ、怖さ、格好良さ、可愛さ、共感性。
脳がそう感じる物質を出していると言われればそうなのかも知れない。
ただの空気の振動を「美しい」「楽しい」「気持ちいい」と感じれるように。
色や形に「美しい」「綺麗」「映える」と感じられるように。
生きることに対しても「美しい」「素晴らしい」と感じるしかない――

生きることは感じること。
幸せだけではなく、辛さや苦しみも。
好きも嫌いも。
何も思わなくったって。
感じないことを感じてる。
それが人生。
その「汚さ」が「美しい」――

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