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【休刊からの復活】根室新聞 名前を変えて再出発

 昨年の春に休刊した「根室新聞」が「ネムロニュース」として3月31日、復刊した。インターネットの普及による情報の多様化や少子高齢化により、地方新聞休刊が相次いでいたが、復刊した事例は聞いたことがない。新聞の内容と近年の新聞業界動向も含めて伝えたい。

紙面とデジタル両方で楽しめる新聞

「ネムロニュース」は、新たに風力発電事業を展開する企業が中心となり復刊した。北海道根室市と周辺6町を取材網とし、紙面版とデジタル版で読むことができる。月額は、前者では3,500円、後者では750円である。復刊後しばらくは、すべての紙面がサイト上で閲覧できていたが、現在は当日の紙面の一面のみ無料で読みことができる。

新聞の特徴

ネムロニュースによると新聞の特徴は4つ。

1.地域密着情報:コミュニケーションルームがあり、そこで得た情報も記事にしていくという

2.お店やレストランで使えるクーポン:紙面にQRコードがあり、そこから地元のお店での買い物、レストランでの食事にお得なクーポンが発行される

3.気象情報:一般の新聞になく、水産の専門紙でもあまりないであろう海水温図は地元の需要がわかるからこその情報で必見

4.アメリカ発の大手総合情報サービスによる提供:特に経済情報に強みを持っているブルームバーグからニュース提供は読みごたえあり

近年の新聞業界動向

 最新情報はインターネットで手軽に入手できる反面、新聞など速報性が低いメディアは、購読者の減少に歯止めがかからない。加えて、少子高齢化により地方紙の発行部数の減少で広告収入が落ち込み、休刊・廃刊が相次いでいる。2021年では山形県の米澤新聞など5紙である。
 海外ではさらに深刻で、新聞がなくなったことにより地域の情報が入ってこない「ニュース砂漠」という状態が起きている。アメリカの新聞は2020年時点で6736紙。2004年の段階で8891紙存在していたが、20年足らずで4分の1にあたる2155紙が廃刊になった。

 地域情報を知りにくくなる現在、このような取り組みは応援していかなくてはいけない。日本でもニュース砂漠が加速されないよう、観察していきたい。

参考

・ネムロニュース

・河北新報、2022年1月2日「全米で「ニュース砂漠」広がる 04年以降、2155紙が廃刊 <米・地方紙の模索>」


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