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日本最古の地方紙をたずねて

最初に


 明治維新からしばらくして日本の近代化を進めるべく、新橋-横浜間の鉄道開通や郵便制度の開始など、人々の経済活動に必要な基盤が整備された時期、山梨県の甲府では現存する最古の地方紙「峡中新聞」が誕生した。1872(明治5)年の7月1日に創刊した新聞は、2022(令和4)年で創刊150年を迎える。これは日本で現存する地方紙として最も古い。その歴史と発祥の地をたずねるために当地へ向かった。

峡中新聞

 峡中新聞は、書籍商の内藤傳右衛門が1872(明治5)年7月1日に創刊した。当時は木版印刷で発行も月に一度の頻度だったらしい。その後、甲府新聞・甲府日日新聞と改題を経て、現在は山梨日日新聞として新聞発行が続いている。2020(令和2)年には紙齢(通算発行号数)5万号を地方紙として初めて達成、執筆現在で50788号と長い歴史が刻まれ続けている。

峡中新聞発祥の地

 最古の地方紙として発行を始めた「新聞発祥の地」は旧甲州街道沿いにある。周辺の旧地名は「八日町」といい、経済の中心地だった。

甲府市中央4丁目にある峡中新聞発祥の地

この通りには岡島百貨店や山梨中央銀行本店など山梨県の有名企業がある。

岡島百貨店

山梨文化会館

 山梨日日新聞は、現在甲府駅北口の山梨文化会館に本社がある。会館は1966(昭和41)年に竣工し、設計者は、代表的な建築物として代々木第一体育館が有名な丹下健三氏である。山梨日日新聞のほか、山梨放送やサンニチ印刷などの山日YBSグループの本社が入居している。

山梨文化会館
甲府城跡から見た山梨文化会館

最後に

 先日、毎日新聞(創刊当時、東京日日新聞)が創刊150年を迎えた。1872(明治5)年2月21日から始まった歴史は、国内で現存する最古の日刊紙として様々な情報を届け、紙面として歴史を伝えてきた。同じく峡中新聞として始まった新聞は、山梨日日新聞として人々に情報を伝えている。
 甲府を巡った日に朝刊を購入した。1面には山梨県知事の長崎幸太郎氏の県政運営に対する特集記事が組まれていた。長崎知事の政策決定スピードに一定の評価がある一方、スピード感を重視するあまり目的などが正確に伝わっていないという内容だった。
 その土地の情報を知るには地元紙が最良の方法であって、地方紙の存在はとても重要である。日本の新聞は全国紙を含めて発行部数は減少傾向にある。長い歴史を刻んだ新聞もこの先続くかどうか不明だ。そのためにもどんな手段であれ、新聞に関心を持たなくてなならない。一面コラムの最後にこのような一文があった「社会や政治に無関心ではいられない。」私も様々な場面で新聞に関心を持ち続け、社会や政治に関心を持っていきたい。

参考資料

・春原昭彦,日本新聞通史,新泉社,2003年
・山梨日日新聞, 2022年2月19日,1頁

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