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女心に寄り添う日本酒

2011年から2019年のはじめにかけて、新潟県長岡市の酒蔵「吉乃川」さんがシリーズとして8年間続けられていた上越新幹線車内の広告「東京新潟物語」。

上越新幹線ユーザーではありませんが、ウェブで初めて東京新潟物語を見たとき、自身も、かつて進学にあたり上京した、ということもあり共感のポイントが随所に。タイミングを見つけては地元のお酒を送ってもらったり、帰省した際に親や旧友と飲んだり…大事な思い出の脇にいたお酒の存在とそこにいた人たちのことに思いを馳せずにはいられませんでした。

お恥ずかしながらしばらくその存在を忘れていたのですが、昨日知人と話していた際に「日本酒×女性」の話題になり、この「東京新潟物語」の存在は大きいよね、という話に。ということで、改めて見返すことに。

自身が知っていたのは第3シリーズまででしたが、昨年初頭まで最後の第4シリーズが続いていたのにも驚きと、終わってしまったことへの寂しさを。

シリーズ終了にあたっては、吉乃川さんのブログもぜひご一読を。


百聞は一見に如かず、ということで、その歴代のポスターコピーを一挙に並べさせていただきました。(出典は、吉乃川さんの「東京新潟物語」のウェブサイトをwayback machineという過去にあったサイトを閲覧できるサービスで確認したり、creiveというサイトのまとめ記事を参考にさせていただきました。)


第1シリーズ(2011春~2013冬)

越後長岡で育った純粋な女性が上京し、東京での生活の中で、成長していく物語。

2011 春
就職した。
東京の男の子の前では、まだ飲んでいない。

2011 夏
東京には、好きになった人がいる。
新潟には、好きだった人がいる。

2011 秋
親類全員揃う うちの法事を、東京の人に 説明するのは 大変です。

2012 冬
東京が晴れた日は、新潟は雪だ。

2012 春
初めて父と飲んだ。
ちいさい頃から家で 父が飲んでいたお酒だ。

2012 夏
子供の頃から見ていた 長岡の花火を 見に行かなかった、初めての夏。

2012 秋
あの人のために 編み始めて、
いつの間にか、新潟の、父のために 編んでいる。

2013 冬
東京に出たから、新潟という かけがえのない 故郷ができた。

第2シリーズ(2013春~2015冬)

都会の暮らしに揺れる乙女心が描かれています。

2013 春
東京で 失恋した。
お酒が強くて、よかった。

2013 夏
帰省したら、幼なじみが お母さんになっていた。
私は、

2013 秋
告白された。
こんどは、ゆっくり 恋をしようと思う。

**2014 冬 **
お酒を分けあって 暖かくなる。
雪国の夫婦って、いいなあ。

2014 春
仕事忙しいし お見合いだなんて 帰れないよ。
と、嘘をついた。

2014 夏
初めて、東京の人を 連れて行くなら、
夏がいい、と 決めていた。

2014 秋
結婚しようって 言われて、 なによりも先に、
浮かんだのは 故郷の母と 父だった。

2015 冬
好きな人と 故郷の駅に降りたとき
私、結婚するんだな と思った。

第3シリーズ(2015春~2017冬)

主人公は、新潟生まれの女性。
東京の男性と結婚して、東京で暮らしています。
***
第3シリーズは、旦那さんの視点から妻の純粋さや美しさを描きます。
主人公は30歳の女性。新潟に生まれ、就職を機に上京し、美術館で学芸員の補助として7年勤めました。
一方の旦那さんは、東京に生まれ、出版社に勤める34歳。
妻の同級生が旦那さんの出版社に勤めており、2人は紹介で出会いました。
現在新婚1年目。
結婚を機に、2人は根津の築70年の日本家屋に住み始めます。
古いものを愛し大切にする2人。家には共通の趣味である本がたくさん並び、読書をしながらお酒を飲むことも。
(新潟清酒 吉乃川東京新潟物語ホームページより)

2015 春
きのう妻と飲みました。きれいでした。
先に酔ったのは僕です。

2015 夏
東京の街が、
どこかに合わない君が、好き。

2015 秋
ケンカした。妻が消えた。
僕のソファで寝てました。

2016 冬
酔った彼女は、雪みたいだ。
溶けちゃった。

2016 春
東京生まれの僕の郷土料理は、
きみが作る新潟料理です。

2016 夏
長岡の花火の方が大きいよ、
なんて言わない人。

2016 秋
「転勤です」と言ったら、
「はい」と笑ってくれたきみが好き。

2017 冬
ずーっと一緒に歩いていきたいと、
今も思っている幸せ。

第4シリーズ(2017春~2019冬)

主人公は、新潟で育んだ『前向きな純粋さ』をもつ明るい女の子。
***
東京−新潟を行き来しながら、夢に向かって成長していく物語です。
第4シリーズの主人公は、新潟の大学院を出たばかりの建築家志望。
期待を胸に上京した彼女は、松陰神社前にあるアパートで一人暮らしをしながら、
表参道の建築事務所に勤めています。
時折、故郷の新潟に思いを寄せながらも、「一人前の建築家になる」夢に
向かっていく姿を描きます。
(新潟清酒 吉乃川東京新潟物語ホームページより)

2017 春
東京に来た日。
よし 頑張るぞと、一人で乾杯した。

2017 夏
仕事が 好きだ。
東京には、なかなか 詳しく ならない。

2017 秋
東京と新潟。
ふたり、何してるか 知らない日が 増えていく。

2018 冬
東京に出た人、 新潟に残った人。
違う道を 歩いている友達が 勇気をくれます。

2018 春
失敗を聞いてもらうと、ぜんぶ消えていきました。
きょう、大人のお酒を 知りました。

2018 夏
遠距離恋愛も いいな。
離れていると、 本当に好きだと わかるから。

2018 秋
同期が辞める。
東京で、一つの夢を 見続けるのは 難しいですか。

2019 冬
帰省から 東京へ戻る日は
もう一度 初心に帰って 上京する日。

ライフステージによっていろいろなシーンがある暮らし。季節の移り変わりと暮らしの移り変わりを、大事にできるお酒と共に歩めたらいいなぁ、と改めて。

年の切り替えが「冬」になっているのも、(通年酒造りをする酒蔵さんもありますが、一般的には)冬に造りをする酒蔵っぽくて、ますますグッとくるポイントだったりも。

二拠点生活にトライアル中。 各地域のこと、暮らし方のこと拙い文章ですが発信したいなと思います。サポートは移動費のカンパとして活用させていただきます。