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成人式の着付けをした時の、素敵な彼女との出会い。

こんにちは、Mikuです。

ここまで「Twitterの中の人をやってます」というnoteを書いてきましたが、今日は着物のお話を少し。

もともと私の祖母が着物が大好きで、家には着物があふれていました。

そして私も成人式で着物を着たときに「自分で着物を着れるようになりたい!」と思ったのがきっかけで、24歳の時にやっと着付け教室を見つけて通い始めたんです。

そこからは着物の魅力にどっぷりハマっていきました。

祖母の着物を引っ張り出してはお稽古したり、お友達と美術館に行ったり。

着付け教室に通い始めて4年が経った頃、いつもお世話になっている美容室の先生から、

「成人式の着付けのお手伝いをしてくれない?」

とお話をいただきました。それが昨年の話。

まさか着付けを始めてたったの4年でお仕事をいただけるなんて思っていなかったので、本当に嬉しかったのを覚えています。

でも華やかな人生に1度の晴れの日の裏側は、本当に大変でした。

ずっと前からいろんな準備が必要で、美容師さんたちはお店を閉めてから夜遅くまで準備の日々。

そしていよいよ当日がやってきました。

朝が早くまだまだ真っ暗の中、美容室にはどんどん新成人の子達がやってきます。

一人一人の体型に合わせて補正を入れ、長襦袢を着せるところまでが私の役割でした。

着物姿が長時間崩れないようにするためには、補正の入れ方や長襦袢の着せ方はとても重要。

だからこそプレッシャーが大きく、不安でいっぱいでした。

そんな中、1人の女の子が「お姉さんも着物着るんですか?」と私に問いかけてくれました。

『うん、私も着るよ。』

「着物って苦しくないですか?苦しいから今日も本当は成人式なんて行きたくなかったんです。着物なんて別に着たくなかったのに…」

その子の表情は、これから成人式に向かう子だとは思えないくらい曇っていました。でもとっても可愛いお嬢さんで、選んでいる着物もとっても素敵だったんです。


このままじゃ彼女の成人式が悪い思い出になってしまう。

絶対にこのままじゃダメだ。


そう思いました。

成人式の着付けは時間との戦い。私が補正を入れて長襦袢を着せるまでは、どれだけ長くても10分程度しかありません。

私は彼女に10分間で、

「着物って振袖以外にもいろんな種類があって楽しいんだよ」

「洋服ではなかなかないけど、着物だと80歳のおばあちゃんの着物を私が着ることもできるんだよ、すごいよね〜」

「私は着物を着るだけで背筋がピンと伸びてワクワクするんだよね!」

と、とにかく着物の楽しさや魅力を伝えました。そして、

「〇〇ちゃん、着物がとってもよく似合うお顔だから、私も〇〇ちゃんの振袖姿がとっても楽しみ!」

と、絶対に着物が似合うことを素直に伝えました。すると私と話していた彼女の表情が少しずつ柔らかくなってきたんです。

「そんなこと初めて言われました!何か楽しみになってきた…!」

そう言いながら微笑んだ彼女の笑顔を今でもはっきりと覚えています。

そこでちょうど私が長襦袢を着せ終わったので、そこからは着物を着せてくれる美容師さんにバトンタッチ。

そして着付けが終わった彼女を送り出すのが、たまたま私になったのです。

彼女の荷物を代わりに持って、履きなれない草履を履かせてあげて、「今日は楽しんでね」と言いかけた私の言葉を遮って、彼女がクルッと振り返りました。

そして、


「今日は本当にありがとうございました!お姉さんのおかげで成人式が楽しみです!着物も本当は嫌だったけど、お姉さんのおかげで可愛くなれた気がする!今日は思いっきり楽しんできます!!」


と満面の笑みで伝えてくれました。

私は涙を堪えるのに必死でした。


本当に大変だった初めての成人式の着付け。

でもそこで学んだことや得たものは、お金や技術ではなく、もっともっと大きなものでした。

彼女のおかげで、お客様に着付けをするときに本当に大切なことは何かを学ぶことができました。


少しずつですが、こうして着物の楽しさや着物の魅力を1人でも多くの人に伝えていけたら、と今は思っています。

1年前に出会った彼女には感謝しかありません。


今週末の成人式も本当に楽しみ。


またたくさんの素敵な笑顔に会えますように。



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