夢の話
他人の夢の話ほど面白く無い物はない、というが、備忘録。
今の仕事に就く前、よく見ていた夢がある。
私は某女子大学に通っていたのだが、夢の中でも女子大生だった。とは言え、当時の私に戻っているわけではなく、一度卒業したにも関わらず、また女子大生をやっているのだった。
夢の中の私は、どうやら何か志があるらしいのだが、それが何なのかはずっとわからないままだった。
同級生が仕事に就き、社会に出て行った焦燥感。ずっと大学にいて、年下の「同級生」たちと講義を受ける劣等感。無意識のうちに「同級生」と距離を置いて、一人で行動することが多かった。
夢はそれだけで終わる。この夢を、このところ全く見ていない。
なんでだろう、とふと考えたのだが、それは自分が定職に就いたからだと気がついた。
今の仕事に就く前、と書いたが、そう、その今の仕事に就く前。私はバイトをしながら夢を追う若者だった。
ずっと不安だった。そこそこ大人になったにも関わらず、自分の人生に対して足踏みを続けていることが。
今になって思えば足踏みだけをしていたわけではなく、それなりに結果も残せていたのだが、その世界での結果の大小の差は広く、私はどちらかといえば小さな結果しか残せていなかった。
それがもどかしく、いつまで経っても胸を張れない自分にも嫌気が差していた。
ああ、私はあの場所から逃げたことで、得体の知れない不安から解放されていたのだな。
夢を追う、ということは簡単ではない。
当時周りの人間が、私に対して投げてくれた「夢を追っているところ、尊敬する」という言葉。
今になって意味がわかった気がする。
でも、私は今、言いようのない不安から解放されて心が楽になった。
不安感や焦燥感を覚えながらも戦う夢追い人に幸多かれと願いながらも、もう二度とあの夢を見たくないと、心から思う。
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