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「嫌い」に正直になること

この記事は「書く」を学び合い、「書く」と共に生きたい人の共同体「sentence」のアドベントカレンダーに参加しています。

https://adventar.org/calendars/3608

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11月で仕事を辞めた。

特に次の仕事も決めていないから、いかんせん時間がある。せっかくだから、とやりたいことをノートに書きだしてみた。

しかし。

これが予想外に難しい。

・ネイルに行きたい
・かわいいホテルに泊まってみたい
・ジャムを手作りしてみたい

ようやくひねり出した「やりたいこと」は、身の丈を知った欲望というか、生活圏を逸脱しない願いというか。

やるべきことを失って、自分のなかのやりたいことのなさに気づいた。やりたいことを考えるというのは、こんなにも難しいことなのか。

空白が目立つノートを見ながら、ふと、関西にいるふたりの友達に会いたいと思った。

友達のひとりは、アクセサリーや雑貨をつくるひとだ。

「アンバランスで、けど洗練された、」をコンセプトに自分の思いや好きを凝縮させた作品をつくっている。

もうひとりは革のものをつくるひと。

「毎日をハレの日に。 」をテーマに、毎日の暮らしに寄り添うあたたかみを感じる革製品をつくっている。

ふたりとも、同世代ながら、心の底からかっこいいと思える友達だ。

「ふたりに会いに関西に行く」

とノートに書き加えてみると、なんだかすごくしっくりきた。ふたりに連絡すると時間をとってくれるとのこと。ほくほくした気持ちで宿を取り、関西に向かった。

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ふたりとはいろんな話をした。今までやってきた仕事の話や、これからの話。恋愛の話もしたし、本当にたわいもないことも話したように思う。

ふと、ひとりの友達がこんなことを話しはじめた。

「あのさ、私、嫌いとか嫌だという気持ちを大切にしはじめたら、すごく楽になったんだよね」

嫌だったら断るし、嫌いなことを無理にやらない。嫌な気持ちに蓋をせずに、正直に口に出す。

自分の「嫌」を大切にするようになったその子は、端から見ても、すごく自然体に見えたし、生きやすそうに見えた。

他の人を大切にするというその子の優しさの根本は変わらないけれど、より自分に正直に、自分を大切にしているように感じた。

だからこそ「嫌い」を反転させた「好き」にこだわり、その子にしかつくれないアクセサリーや雑貨を作りだせている気がする。

「でもさ。嫌いとか嫌だって口に出すと、自分がすごくやなやつに思えて、自分のことが嫌いになっていかない?」

ちょっと気になって聞いてみた。

わたしは怒りっぽく、悪口も愚痴もたくさん言うけれど、言ったあとに自分の性格のわるさに落ち込み、そんなこと考えなければよかった、と後悔することが多いからだ。

すると、もうひとりの友達がこう答えた。

「そうかなあ。だって人間なんだし。『嫌い』という感情があるほうが自然じゃない?

嫌なことを我慢しなくなると、日々の生活で自分の『好き』に気づきやすくなる気がするんだよね。

小さいことだけど、この音楽好きだなあとか。このご飯美味しいな、とか」

そう話すもうひとりの友達はときどき更新するSNSで、日常で見つけた自分の『好き』を綴っている。誰かに媚びない正直さがわたしはすごく好きだし、その率直さが作品にもあらわれていて素敵だなと思う。

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ふたりの話を聞いて自分の嫌いなことについて考えてみた。

朝起きるのが嫌い。寝るのが遅いのも嫌い。寒い日や暑い日に家からでるのも嫌い。というよりそもそも布団のなかからでるのが嫌だ。

自分の納得していないことをやるのは嫌い。人に一方的に決められたことをやるのも嫌い。良いと思っていないことを良いと言うことが嫌い。笑顔をつくりたくないときに笑顔でいるのが嫌い。挨拶をするのが嫌い。怒られるのなんて、いちばん嫌い。

おー書いてみたらでてくるでてくる。

自分の「嫌い」を思い浮かべたあとに、再びやりたいことを考えてみた。

3つしか思い浮かべられなかったときに比べ、やりたいことや好きなことが、ぽこぽこ浮かんできた。

ふむふむ、やはり嫌いと好きは表裏一体なのだな。そんなことを思ったりした。

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嫌われたくない、好かれたい。承認されたい、認めてほしい。決められていることだから。やらないとみんなが困るから。大人だから。そんなことを感じる自分は正しくないから。

いろんな理由をつけて「嫌だ」の気持ちを感じないようにしていると、徐々に自分の「好き」なこともわからなくなっていく。

そうやって理由をつけて自分に正直でいられなくなってしまうことが、私は何よりも「嫌だ」と感じるようになった。

あなたの好き嫌いが正しくなくても、誰かに共感されなくても。あなたの価値は損なわれない。ある人にそうおしえてもらった。なるほどな、と思った。

何が好きだろうと嫌いだろうと、自分の感性を信じてあげられる。私はそれをいちばん大切にしたい。

そんなふうになるために、来年1年はどんなときも正直でいたいなあと思う。

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発達障害のお子さんが通う学習塾で働きながらライターをしています。子どもをまるごと、ありのまま肯定的に受け止められる親フェチ。http://un-control.com で「これまでの常識やルールにとらわれない教育のかたち」を紹介しています。ライティング編集のことにも興味があります
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