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048 | 広告業界は二極化へ

福岡で商業デザインを本業としながら、Webマガジン『ミッケ!フクオカ』の編集長でもあるおしけんです。note投稿48回目。今回は『広告業界は二極化へ』です。

自分の本業の話になるけど、かれこれ下積みから20年近く商業デザインの世界にいる。なんだかんだで一つの業界にずっといるので、良くも悪くも考え方やものの見え方が、そういう目線になってしまいがち。例えば飲食店でメニューを開くと、「美味しそう!」とかよりもまず、メニュー自体のレイアウトやトーン、バランス、書体なんかを見てしまう。職業病だ(笑)

そんな自分のいる広告業界。もうすでに何年も前から大きく変わりつつあるけど、最近その流れが加速しているように感じる。

業界の中では、いわゆる「広告代理店」という広告会社が、クライアントと制作者との間に入り、円滑に様々な広告制作やプロモーション業などを手がけている。しかしここ数年、広告の在り方もどんどん変化・多様化し、昔ながらの手法が少しずつ苦しくなってきている。

個人での発信や、制作サイドによる発信力の増大。テクノロジーの発達による技術の進歩により、ある程度の規模の仕事に関しては、代理店を介さずクライアント→制作側の直ラインで済むようになってきた。間のマージンは不要になり、介する人数も減るのでスピード感も増す

一方、真逆の大手広告代理店も堅調で、大企業の広告案件はもちろん、様々なプロフェッショナルの技術が必要な、複雑な設計の大規模なプロモーションなどは、やはり大手広告代理店の総合力・調整力・ノウハウ・ネットワークは必須

そうなると、苦しい立場で淘汰・整理されていくのは中堅・小規模の広告代理店となる。

これまでは、『大手の仕事を請け負うことで、自らも大手に見えるようにする』ために、技術的な役割を担うディレクター・デザイナーやイラストレーター 、ライターやカメラマンといった実務面をブラックボックス化することで成り立っていた。技術面を丸投げされることで、様々なコントロールが可能であったわけだ。

直接クライアントと業務を直接行える環境がどんどん出来てきたおかげで、これまでの方法が成り立たなくなってきている。また、世間でのニーズも多様化が進み、専門家が案件ごとに直接関わる方が、コストも抑えられクオリティは高くなる。そして、そういうものを横断的に管理していた代理店の役割は、企業は専門の社員を雇いインハウス化している。

これからは大きな予算を上手に管理運営し、大規模に仕掛けを行っていく大手広告代理店というケースと、フットワーク軽く専門的な技術と知識を持ち合わせた広告代理的スキルのある人材個人の二極化がさらに進むと思う。

今後は、個人レベルの横の繋がりが、ますます活躍できる環境になっていきそうだ。