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展覧会づくりの舞台裏で、お客様の声をきく。

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コロナ禍どさくさ企画「器と絵筆ー魯山人、ルソー、ボーシャンほか」展(2021年1月〜2月)が開いて閉じるまで。そしてお客様の声が届いた時のことも。
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#展覧会

なんとチケットが足りなくなった「器と絵筆」展。

なんとチケットが足りなくなった「器と絵筆」展。

「器と絵筆」展、1/5-2/28、48日間という短い会期だったが、無事に閉幕。いや無事というかなんというか。

その48日の間に、異例ずくめのことが続々と起こったのだった。

というわけで事後メモ。お金のこと、に見える、ひとの気持ち、についての話。

どのチケットが足りなくなったのか最初に異変に気づいたのは、1月後半。来場者数の伸び率が高い。うーん、これはありがたいことに、想定入場者数を超えてくる

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いまどき電話といえば問い合わせかクレーム。だけではないことを知った。

いまどき電話といえば問い合わせかクレーム。だけではないことを知った。

「器と絵筆」展オープンから2週間。SNSに少しずつ投稿が増えてきた。昨日の朝、展示室をひと回りしてデスクに戻ったら、伝言メモ。先日ご来場されたお客様から、お電話があったと。

自然光のなかで魯山人を鑑賞できて感激、世田谷美術館ならではですね、素朴派の展示もよかったです、と、ひとしきり感想を述べられたという。

へえええ。問い合わせでもなく、クレームでもないお電話。

よかったですよ、という、知らな

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紙に手描き、が好き。展覧会の平面図も手描き。

紙に手描き、が好き。展覧会の平面図も手描き。

輪郭だけの白い展示室図面に、まず仮設壁だけを描き込む。そのあと、その白い紙をじっと見る。もゃ、と目の奥で何かが動くまで。

現場をうろつくのも好きだ(そうしないとまるで進まない)。目の奥のもゃ、は頭の奥から出てくるというより、実際に展示室をうろうろした自分のからだの奥からたちのぼる。うろうろは2、3週間ほど続ける。作品ではなく虚空を凝視している変人状態。そしてどこかのタイミングで、まる一日かけて図

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コレクション16,000点のカオスのなかに埋もれていたカリブ海。

コレクション16,000点のカオスのなかに埋もれていたカリブ海。

えっ、と思うタイミングでパズルのピースがはまっていくことがある。なんとなく薄ぼんやりと「探している」とき、予感が不意にかたちになることがある。

先月、家人とともにある研究者の知人宅を訪れた。研究分野は宗教社会学に文化人類学、南米のブラジルや、カリブ海のハイチなどがフィールドの方だ。家一軒まるごと埋まるほどの資料をお持ちで、興味のある方にまとめて譲りたいのだがとのこと。長年勤めた大学を退職直後にご

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