CX(顧客体験)向上にむけた取り組み②【ホテルグランメール山海荘】
海と山に囲まれた立地と、地域の美しい自然を感じられるホテルグランメール山海荘。
私が協業しているマーキットワン株式会社の「M-ONE」を利用しているお客様で、とても評判が良いことから、どうしても現地で宿泊体験をしたくなって行ってきました。
本記事では、その第2弾としてデジタル化と効率化の取り組み、地域貢献とSDGsへの取り組み、お客様との絆を深めるコミュニケーション、そして未来への展望と課題について解説します。
第1弾はこちらからどうぞ。
第4章:デジタル化と効率化で生産性を高める
生産性向上と顧客利便性のためのデジタル化への取り組み
ホテルグランメール山海荘では、顧客利便性の向上と生産性の効率化を目指し、デジタル技術の導入に積極的に取り組んでいます。
特に、2024年6月にリリースされた公式アプリや今後導入予定の自動チェックイン機は、宿泊予約や受付の利便性を高め、顧客とのコミュニケーションツールとしても活用される予定です。
これにより、顧客満足度向上とスタッフの業務負担軽減が期待されています。
公式アプリの特典と便利な機能
公式アプリを通じて、顧客はスマートフォンから簡単に宿泊予約ができるようになり、従来のネット会員とアプリ会員を連携することで、さらなる特典を享受できます。
チェックイン時にアプリを提示すると、1泊につき500ポイントが進呈されるほか、売店での買い物にポイントを使用することも可能です。
また、新規予約に適用できる「10%OFFクーポン」など、アプリ限定の売店で使える500円割引クーポンなどのクーポンも配布され、リピーター顧客への魅力的なインセンティブを提供しています。
来店スタンプ機能によるリピーターの促進
アプリには来店スタンプ機能も搭載されており、チェックイン時や売店での買い物時にスタンプを貯めることができます。
貯まったスタンプは、地元産のサイダーやりんごジュース、日本酒「安東水軍」の純米吟醸などの特典と交換可能で、地域の特産品を通じて地元の魅力を顧客に伝えています。
このスタンプ機能は、リピーター促進に大きく寄与し、ホテルへのロイヤリティ向上を目指しています。
旅ナカ(館内)アプリ 「VERY」
館内滞在中の利便性を高めるために「VERY」というアプリも通常のHPとは別に用意されています。
館内の各種ご案内をはじめ、大浴場の混雑状況など館内で知りたい内容が網羅されています。
また、このアプリにお客様アンケートへのリンクも設定して少しでも多くの声を集めるような努力をしています。
自動精算機と今後の自動チェックイン機導入による効率化
すでに導入済みの自動精算機は、チェックアウトをスムーズに行えるようにし、顧客満足度の向上に貢献しています。
これに加えて、今後導入予定の自動チェックイン機は、顧客が到着時にスタッフとの対面手続きなしでチェックインを完了できるシステムです。
自動チェックイン機の導入により、顧客は到着後すぐに部屋に向かうことができ、滞在開始がさらにスムーズになります。このデジタル化は、ピークタイムの混雑を軽減し、顧客に対する快適な環境の提供と、スタッフがより質の高いサービスに専念するための時間創出に大きく寄与することが期待されています。
環境への配慮と生産性向上のための取り組み
このように、生産性向上と持続可能な運営を目指し、ホテルグランメール山海荘では、省エネルギー機器の導入やペーパーレス化を促進するデジタル技術の活用にも取り組んでいます。
こうした環境負荷低減の施策は、地域社会とともに発展する持続可能な経営モデルの一環として、ホテルのブランド価値を高めるものとなっています。
第5章:地域貢献とSDGs - サステナビリティを意識した取り組み
地域社会と共に歩むホテルの使命
ホテルグランメール山海荘は、地域社会の一員として、地元との関わりを大切にしながら持続可能な観光業を推進しています。
青森県鰺ヶ沢町という豊かな自然環境に恵まれた立地を活かし、地域資源の保全と観光資源の活用を両立させることを目指しています。
顧客に地元の魅力を体験してもらうだけでなく、持続可能な経営を通じて、地域と共に発展していく姿勢を貫いています。
サステナビリティの推進 - 環境に優しい運営方針
ホテルでは、エネルギー効率の高い設備を導入し、省エネルギーや廃棄物削減に努めています。
たとえば、省エネルギー型の照明や給湯設備を採用し、日常的なエネルギー使用の削減を目指しています。
また、公式アプリの導入により、ペーパーレス化を推進し、顧客の予約情報やポイント管理をデジタルで行うことで、環境負荷を低減しています。
このような環境配慮型の施策は、ホテルが地球環境に与える影響を最小限に抑えるための重要なステップです。
地域資源を活かした特典とアクティビティ
公式アプリを通じて提供される来店スタンプ特典では、地元特産品を利用したギフトが用意されています。
たとえば、鰺ヶ沢町で生産された「ノスタルジックサイダー」や「ヤマトモ農園のりんごジュース」、日本酒「安東水軍」など、地元の名産品を選択肢に加え、宿泊者に青森の魅力を体験してもらう機会を提供しています。
こうした取り組みは、地元経済の活性化にも寄与しており、顧客が地元とのつながりを感じながら特典を楽しめるよう工夫されています。
自然保護活動への参加と啓発
地域社会への貢献の一環として、ホテルは地元での清掃活動や環境保護活動にも積極的に取り組んでいます。
特に、周辺の海岸清掃活動などを定期的に行い、地域住民と連携して美しい環境の保全に努めています。
これらの活動は、顧客にとっても環境保護への意識を高める機会となっており、ホテル滞在中に参加できるプログラムの検討が期待できます。
地域や自然に敬意を払うことで、訪問者が地域に愛着を持つきっかけを提供し、持続可能な観光地づくりに貢献しています。
SDGsの目標とリンクするホテル運営
ホテルグランメール山海荘の運営方針は、国連が掲げるSDGs(持続可能な開発目標)と一致する点が多くあります。
特に、エネルギー効率の改善(目標7)、持続可能な経済成長(目標8)、気候変動対策(目標13)など、複数の目標を達成するための取り組みを行っています。
これらの活動は、単なる施設改善にとどまらず、地域社会と協力しながら持続可能な未来を目指す企業としての意志を反映しています。
顧客と共に歩む持続可能な未来
顧客がホテルを利用することで、自然や地域社会への意識が高まり、持続可能な観光の実現に寄与することを目指しています。
ホテルグランメール山海荘は、顧客と地域社会、そして地球環境を守り続けるために、今後も地域貢献とサステナビリティを推進し続けます。
第6章:お客様との絆を深めるためのコミュニケーション
信頼関係の構築に向けた顧客中心のアプローチ
ホテルグランメール山海荘では、お客様との信頼関係を構築し、訪れるたびに満足度の高い体験を提供することを重視しています。
顧客満足度の向上やリピーターの確保は、サービスの質を高めるための重要な指標であり、顧客フィードバックを基にした改善活動がその中心にあります。
NPSやアンケートを通じて集まった顧客の声を分析し、リアルタイムでサービスに反映させることで、信頼の構築とお客様との絆を深める取り組みを続けています。
SNSと公式アプリによる双方向のコミュニケーション
ホテルの公式アプリとSNSアカウントは、顧客との双方向のコミュニケーションを可能にしています。
SNSではホテルの最新情報や地域の観光情報を提供し、顧客からのコメントやフィードバックに対応することで、宿泊前から訪れた後まで顧客とつながり続けています。
また、公式アプリには、予約やポイント確認のほか、来店スタンプやクーポンといった特典も搭載されており、顧客との接点を広げ、顧客にとって便利で親しみやすいツールとなっています。
これにより、顧客がホテルの活動に参加しやすくなり、ホテルと顧客との結びつきがさらに強まっています。
ポジティブなフィードバックを活かしたサービス改善
顧客から寄せられるポジティブなフィードバックは、スタッフのモチベーション向上に大きな影響を与えます。
ホテルでは、良い評価を受けたサービスやスタッフの対応を共有することで、全体のサービス向上につなげる工夫を行っています。
また、口コミサイトや公式SNSでのポジティブなコメントには、感謝の気持ちを込めた返信を行い、顧客との良好な関係を築くことに努めています。
顧客からの評価を大切にすることで、スタッフが自身のサービスに誇りを持ち、常に最高のホスピタリティを提供する意識が育まれています。
改善点の共有と継続的なサービス向上
アンケートやNPSを通じて得られた改善点も、顧客との関係強化に欠かせない要素です。
顧客から指摘された改善点については、ホテル内で共有し、迅速に対策を講じることで、次回来訪時には改善が反映されたサービスを提供できるように努めています。
こうした透明性のある姿勢が、顧客の信頼を高め、リピーターの増加につながっています。
地域社会と顧客をつなぐ架け橋としてのホテル
ホテルグランメール山海荘は、地域社会と顧客をつなぐ架け橋としての役割も担っています。
顧客がホテルを訪れることで、地元の特産品や観光資源を知る機会が増え、地域の魅力を感じてもらうことができます。
公式アプリやSNSを通じて地域の情報を発信し、地元のイベントや観光スポットの紹介も行うことで、顧客と地域の双方にとって有益な関係を築いています。
ホテルは、地域社会の活性化にも貢献し、顧客と地域をつなげるプラットフォームとしての価値を提供しています。
第7章:未来への展望と課題 - 進化するホテルグランメール山海荘
次世代のホスピタリティを目指して
ホテルグランメール山海荘は、地域社会と共に歩む宿泊施設として、次世代のホスピタリティの在り方を追求しています。
これまでの章で紹介したNPSを活用した顧客満足度の見える化や、公式アプリを通じた利便性向上とコミュニケーションの強化は、ホテルのサービスを一歩先に進めるための基盤となっています。
今後も顧客との絆を深め、持続可能な運営を目指すため、新たな施策と挑戦を続けていきます。
デジタル技術のさらなる活用と顧客体験の進化
ホテルグランメール山海荘では、デジタル技術を活用して効率化と顧客満足度向上の両立を図る取り組みが進んでいます。
すでに導入された自動精算機や今後の自動チェックイン機の導入は、顧客の利便性とスタッフの負担軽減を実現するための重要なステップです。
さらに、公式アプリを通じた予約やポイント管理の一元化、スタンプ特典によるリピーター促進など、顧客との接点を増やすことで、訪れるたびに新鮮な体験を提供しています。
これからもデジタル技術を積極的に活用し、よりパーソナライズされた顧客体験の提供を目指します。
環境負荷軽減と持続可能な経営モデルの確立
ホテルは、CO₂削減や食品ロス削減といった環境負荷軽減の取り組みをさらに推進し、持続可能な経営モデルの確立を目指しています。
例えばビュッフェ用に用意したけど残ってしまった食材は、「100円弁当」にして、スタッフに持ち帰ってもらうそうです。この取り組みで食品ロスがほぼゼロになったと聞きました。
空調設備の更新やペーパーレス化に加え、地域の自然を保全する活動にも注力しています。
地元の海岸清掃活動や環境保護イベントへの参加を通じて、地域住民や訪問者と協力しながら、美しい環境を未来へと引き継ぐための取り組みを継続していきます。
こうした活動は、ホテルとしての社会的責任を果たすだけでなく、訪れる顧客にとっても価値のある体験を提供するものです。
地域観光のハブとしての役割
今後、ホテルグランメール山海荘は、地域観光のハブとしての役割を強化していく計画です。
地元の観光資源や文化を体験するためのアクティビティを提供するだけでなく、公式アプリやSNSを通じて最新情報を発信し、観光促進を支援します。
地元大学や観光団体との連携も視野に入れ、地域の観光データの収集や分析を行い、観光客にとってより魅力的な滞在体験を提供できるよう検討中です。
これにより、ホテルは地域経済の発展にも貢献し、地域と共に成長する存在を目指します。
ホスピタリティの深化と従業員の働きやすい環境づくり
ホテルが提供するホスピタリティは、顧客満足度だけでなく、従業員の働きやすさによっても支えられています。
ホテルグランメール山海荘では、日曜・月曜の休館やシフトのインターバル制度など、従業員が充実したプライベートを確保できる仕組みを導入しています。
この取り組みは「お客様が泊まってなんぼ」の宿泊業にとっては、とても勇気のいることです。
自分もホテルにおりましたが、そのような決断はできませんでした。
こうやって、従業員が自身の健康と幸福を保ちながら、顧客に質の高いサービスを提供できる環境を整備することで、ホテル全体のサービス品質向上が実現しています。
今後も、従業員が安心して働ける職場環境を維持・向上させる取り組みを継続し、持続的なサービス提供を可能にします。
未来へのビジョン
ホテルグランメール山海荘は、地域の魅力と共に進化し続ける宿泊施設として、未来の観光ニーズに対応するための革新を追求しています。
地域社会、従業員、そして訪れる顧客の三者にとって価値ある存在であり続けるため、ホテルは日々の改善と成長を怠らず、次世代の観光地づくりに貢献する決意です。
未来に向けて、持続可能で信頼される宿泊施設として、顧客と地域の理想を実現する「進化し続けるホテル」を目指して歩み続けます。
終わりに
いかがでしたでしょうか。
このような取り組みを強化したきっかけは、やはりコロナ禍だったそうです。まさに「ピンチをチャンスに」という、お手本のような取り組みではないでしょうか。
日本の宿泊業は「生産性が低い」と言われ続けて久しいですが、それはひとえに日本流の「おもてなし」幻想にあるのではないでしょうか。
日本人は「サービスは無料」と無意識に考えがちですが、そこには多大な人件費がかかっている事実を忘れてはなりません。
人手をかけるところにはしっかりかけて、機械に任せられるところは任せきる、場合によってはお客様にも手伝ってもらう、こういった姿勢が今後も宿泊業を高度化させるには必要な発想だと信じています。
実際のところ、ホテルグランメール山海荘のお客様アンケートではスタッフのサービスについてはとても高くなっています。お褒めのコメントもたくさん頂戴しています。
要はメリハリをつけるということですね。
リアルのお客様の声を参考にしながらさらにメリハリをつけられるよう、私もお手伝いしていくつもりです。
顧客アンケートによるCX(顧客体験)改善策にご興味ありましたらお気軽にお声かけくださいませ。