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拝啓19歳の私へ。留学中もがき苦しんでいる自分に伝えたいこと。

2016年、19歳。私はニュージーランドに留学をしているのだけど、19歳の一年で私の自尊心は人生最大級に爆下がりし、私はそれから一切、英語学習への意欲も海外への憧れもなくすことになる。

そんな私がなぜか海外で2年間も日本語教師として外国人を対象に仕事をすることになり、しまいにはオーストラリア人と結婚して海外移住をすることになるんだけど、そんな今だからこそ19歳の自分に伝えたいことがあって、

今日は自分の心の浄化も兼ねてこのノートを書いている。

19歳、若かったなあ。

人生はどこでどうなるかわからないね。

***

留学中、私とホストファミリーの間で起きた出来事。

大学2年生の私は、ニュージランドに10ヶ月留学することを決めた私は、ホストファザー、ホストマザーと2人のホストシスターがいる4人家族のお家にホームステイをすることになるのだけど、

そのホストファミリーと全くウマが合わなくて、トラウマ級に傷つき、そこで散々泣いて留学期間を2ヶ月残した8ヶ月後、家を出ていくことになる。

ホストファミリーは、まあ決して悪い人ではなかったんだろうと思うのだけど、私の英語については、

・あなたの英語は子どもレベルだね。
・あなたが今私たちの英語を理解できているのは私たちがとってもゆっくり話してるからだよ。
・もう半年くらいここにいるのにどうして英語が上手にならないの?
・英語のレベルは低いのにどうして学校ではAcademicなことを勉強しているの?

と言われて19歳の心はズタボロに傷ついたし、

「熟したバナナ」を「mature banana」と言ってしまいからかわれたり、(matureは人に使うことが多く、バナナの場合はripeを使うらしい。)

「sarcasmってどういう意味?」って質問したときには「あなたの英語、めっちゃ上手だね!」と返ってきたりもした。(sarcasm=皮肉。意味がわかると怖い話だよねもう…。)

それから、

・私の娘はドイツ語を学んでるけど、6ヶ月くらいの頃には話せるようになってたよ。
・日本人はなんでそんなに自立してないの?
・暑いって言いながらなんでジーパンなんか履いてるの?
・洗濯物の干し方もわからないの?それからなんで洗濯にネット使うの?意味わからないんだけど。
・親にお金出してもらってるんでしょ?だったら日本人とは一切話さずに英語を使う環境だけにするべきなんじゃないの?
・なんで天気がいいひにマスクをしたり日傘をさしたりするの?いい天気なのにもったいなくて無駄にしてるよ!
・FriendsもJeniffer Anistonも知らないの?日本人は常識知らずなの?鎖国なの?

とも言われ、私の自己有用感は爆下がりし、19歳なりに持っていた日本人としてのプライドみたいなものも傷ついて「日本人って優れていない国民なのかな…」とか意味のわからないことを思ったりした。(7年前のことなのにいろんなことを今でも鮮明に覚えているよ…。)


私を救ってくれようとした人はたくさんいたのだけど、19歳の私は「いや、でもホストファミリーが言っていることはある意味正しいよな。自分がいけないんだ。自分がもっと頑張って成長したらいい話だよな…」とか思ったりして、

修行をするつもりで結局8ヶ月そんな環境で過ごした。


今だから言える、19歳の私よ、今すぐそこから抜け出してくれ。

19歳の私に伝えたいこと

今の私は、19歳の私より7年も人生経験を積んでいて、ホストファミリーが言っていたことが全部正しかったわけではないとわかるし、意地を張って修行をつむよりももっと大切なことがあることもわかる。

19歳の私へ、手紙を綴る。

拝啓、19歳の私へ。

英語が下手くそなあなたは、英語についてホストファミリーから言われることに深く傷ついていると思う。
だけど、あなたはそこに立ち向かわなくていい。

あなたが今のステージで関わるべきなのは、そんな人たちじゃない。そんな人たちはもう相手にしなくていい。

今のあなたに必要なのは、英語をもっと好きにさせてくれる人。自信持って話させてくれる人。あなたの英語を一切けなしてこない人。バカにしてこない人。間違いなんて気にせずに話し続けられる人。

なぜなら、そのままホストファミリーにあなたの英語をけなし続けることを許してしまうと、将来、あなたは英語を話したくなくなるし、英語恐怖症になって、話したくても話せなくなってしまうから。自信がなくなって「自分はダメだ」って思ってしまうから。

だから英語を話す相手を選んでほしい。

あなたの英語をちゃんと聞いてくれる人は他にもいる。間違った英語でも気にせずに受け止めてくれる人はいる。異なる言語を異なる文化の中で話すことの難しさを理解してくれている人はいる。

あなたが心地よく話せる人と存分に話してほしい。

それから、あなたは「日本人」であることを恥じて自己肯定感がかなり下がっていると思う。だけど、そんな必要はない。

今の私にはわかる。未来の私は日本語教師をしていて、毎日毎日外国人と接している。

英語話者がドイツ語を勉強するのと、日本人が英語を勉強するのではわけが違う。「他の言語だったらすぐ話せるようになったのに日本語だけは習得できない…」と言っている欧米人の学生を何人も見てきたし、韓国人や中国人は比較的日本語の習得スピードが速いのも見てきた。

英語話者がドイツ語を勉強するのと、日本人が英語を勉強するのでは、言語の種類と文化的類似点が違いすぎる。

そもそも人によって学ぶスピードは違うし、そこを比較されるのは全くもって意味がわからない。
「じゃあお前が日本語勉強してみろ!!!」とでも言ってやればいい。

それから、日本人が自立していないことや、暑いのにジーパンをはいたり洗濯にネットを入れたり、そんなことは文化が違っているのだから当たり前だ。恥じなくていい。

暑くてもジーパンを履くのはあまり肌を露出せず、また体型に厳しめな日本で19年間育ってきたからだ。洗濯の仕方を間違えたのは日本とやり方が違ったから。マスクをつけるのは風邪を他人に移したくないからで決してやりすぎなことではない。(コロナでマスクの重要性がうたわれてわかっただろ!マスクバカにしてきたの謝れ!といいつけたい。)

外国人の旦那と日本に住んで、旦那が日本では当たり前とされていることをできない様子も見てきたし、私の学生が当たり前のことができないという相談にもなんどものってきた。

FriendsもJennifer Anistonも知らなくたっていい。ジブリも宮崎はやおも知らない外国人だってたくさんいる。

「日本人だから」できなかったわけじゃなくて、「違う文化の中で生きているから」起こったことで、「日本人」じゃなくたって誰にでも起こりうることだし、そんなことでバカにされなくていい。そこで自尊心を下げなくていい。

そもそも、言語も文化も違う他人の家に住むのなんて、気を遣って、疲れて、ストレスを感じて当たり前で、仲良く楽しく過ごしていける人のほうが稀だと思う。

”ホームステイ”という環境自体が苦手なのなら、他の選択肢を考えたほうがいい。”ホームステイ最高!第二の家族!”と言っている人たちのことは無視していい。

あなたにはあなたの感じ方があって、自分が感じている心に敏感になってほしい。

自分の苦手に向き合おうとしなくていい。

得意と苦手を見極めて、苦手を感じない場所に行けばいい。
当時から自分の気持ちを紙に書き出すのが好きだったのだけど、19歳の私が書いたノートには、自分を下げる言葉で埋まっていたように思う。

そんな必要はない。


「将来成長できるかも」と苦しい修行に耐えるよりも、毎日の1日1日を幸せに過ごすことに注力したほうがいい。

それが結果的にあなたの19歳の人生になっていく。

19歳の私よ、どうか、

あなたが埋めるノートには、いつも”It was a beautiful day!”と書けるような1日を毎日過ごしてほしい。

それができなくても、それを目指して、選択をして、毎日を過ごしてほしい。

よろしく頼むよ。

7年後の私より。


***

というわけで、19歳の自分に必死の思いで手紙を綴ってみたけれど、こんなものは届くはずもなくて、26歳の私は、19歳の自分を乗り越えられずに生きている。

今でも傷ついた気持ちがフラッシュバックするし、英語を話すときはビクビクしちゃうし、今でもけなしてくる時の感じの表情が頭に浮かぶ。

これはトラウマなんじゃないかと思う。

わからないけど、もうこれは”トラウマ”だと言わせてもらいたい。

***

それなのに、トラウマを克服したわけでも、忘れてしまったわけではないのに、

私は日本語教師になって、2年も海外で仕事をして、毎日1日中外国人と接する仕事に就いた。

あげくの果てには外国人と結婚して海外移住することになる。

人生、オモロイなあ。

***

長くなったから、私がどんな気持ちで海外移住にすることにしたのか、自分のトラウマをどう考えているのか、どんな向き合い方をしているのかについては次回のnoteで書こうと思うよ!




***

P.S

このnoteを書いた後、何万年ぶりにアンジェラ・アキさんの「手紙〜拝啓十五の君へ〜」を聞いたらめちゃくちゃによかった。

時代を超えてよかった。

歌詞への共感性の高さと、訴えかけてくるメッセージ、ポジティブで前を向けてしまいそうな歌唱力とメロディの嵐だった…!







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