6冊目 白い兎が逃げる【有栖川 有栖】

借りていた本を返却し、次の一冊を探す。今度は「あ」の棚から始めてみた。パッと目に入ったのが「有栖川 有栖」。名前がかっこいい!なぜかマリスミゼルを思い出す。

著書はかなり多く、人気のミステリー作家のようだ。どれを借りるかかなり悩んだ末、この「白い兎が逃げる」を選ぶ。

かなり古い本のようだか、有栖というぐらいなので、これは「アリスと不思議な国」に関する話だろう。もしかしたらデビュー作かもしれない。バンドであれば、デビュー作には名盤が多いので、きっとこの本も面白いはずだ。

読み始めて数行で自分の思い違いに気づく。名前から、「嶽本野ばら」のような作風を想像していたがまったく違い、ごく普通の推理小説のようだ。
それでも、せっかく借りたので読み進めるが、ある理由により、16ページでいったん本を閉じる。

この話はシャーロックホームズ形式で書かれており、優秀な大学助教授とその相棒の推理作家がタッグを組み事件を解決していく。この推理作家が作者本人なのだ。冷める。

改めて読み進めるが、作中で、推理作家(本人)が容疑者のアリバイ崩しに行き詰まる場面が出てくる。しかし、こっちからすれば作者本人なのだから「自分で考えたんやから、わかるやろが」という気持ちになり物語に入り込めない。

そして、優秀な助教授の名推理により事件が解決する。しかし、私にはこの助教授さえも、作者自身に思えてならなかった。

一人ツッコミ、一人ボケ。自作自演の名推理。自画自賛するナルシストのホラ話に付き合わされたような気分だ。

この本は短編集で、残り3本残っているが、もう十分なので、本を閉じる。
あとから調べると、作中に作者が登場するのは「メタ・フィクション」という、小説ではよくある手法といことを知る。

この手法は私には合わないらしい。残念ながら、この作家の作品をもう読むことはないだろう。


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