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平和への行進(ピース・マーチ)

今日、サクラメントでは Peace March (平和への行進) が行われています。ジョージ・フロイドさんのメモリアルサービスと共に根強いマイノリティーの差別をなくそうという運動です。カリフォルニア州は段階を踏みながらCOVID19ロックダウン解除されてきており、それと共に徐々にケースが増えている中で、多くの市民たちがマスクを着用し感染のリスクを追いながら世の中を変えるために集い行進しています。白人警察官たちも人種差別をなくそうとプロテストに参加されておられる方もおられたりする中で、夜になるとプロテスターたちを悪者に見せようと「破壊屋」のように火をつけたり、お店を壊したりしているとんでもない人たちもいます。「人種差別者」と「平等と平和を望む者たち」との対立が起こっています。

今日のピース・マーチでしゃ多人種が集い、平等と平和を願い、心を一つにしており、地元のニュースステーションもこのイベントをサポートしてくれています。白人元警察官デレック・シャウビン+残りの3人によるフロイドさん殺害が許されるような不公平なシステムを変えたい、そう心から願う方々が多くおられること、素晴らしいことだと思います。手錠をかけられ無抵抗なフロイドさんが呼吸できないと言っているのになぜそのまま窒息させたのでしょう? シャウビンさんはフロイドさんと一年前より同じクラブの警備を(警察官の勤務外のバイトとして)担当して知り合いだった事から、そのクラブから解雇された腹いせ説なども出ています。私はこのような事件が起こった背景には(1)奴隷制度&人種差別という歴史的な問題点と(2)現代社会の問題点が絡まっていると思います。

(1)奴隷制度の歴史と差別:私は数年前にワシントンDCのブラック博物館に行く機会がありました。そこには200年以上も続いた奴隷制度の記録が残されており、人間が「労働力を提供する商品」として梱包され、消費されていく痛ましい歴史が綴られていました。奴隷制度がなくなっても、肌の色が白いものは優先され特別だという洗脳意識は根強く残り、そのために選挙権を得たり、教育を受ける権利を得たりできるようになるまでにマーティン・ルーサー・キングを始め多くの先人たちの命をかけての仕事により現在に至っています。人間とは何かを学び知るにつれ真実をちゃんと理解している人々が多くなりつつあるのが救いですが、まだまだ現在も社会的弱者をヒューマン・トラフィックングしたりそんな社会の闇があります。本日のようなピース・マーチで多くの方々が心を一つに出来ると良いなと思います。

(2)コンパッションを欠如させる現代社会:先日、バッファローで夜間外出禁止令を違反して外にいた75歳の白人男性が警官二人に押されて後ろ向きに転倒し後頭部から出血し動けなくなられている場面をニュースで見ました。警官たちは誰も彼にすぐに駆け寄って大丈夫ですかと言わず、複数の警察官たちが「出血しているぞ」と言いながらただ通り過ぎて行ってました。怪我の手当はメディックの役割なのでしょうが、目の前で自分が押したせいで倒れて出血しているお年よりに「大丈夫ですか、ごめんなさい」と駆け寄る事が無かった事に違和感を感じました。その男性は重症で入院中だそうです。アメリカで警察官の年収は約350万から650万くらい。それで夜間勤務や危険なパトロールなどをこなし、さらに犯罪場面を目撃する危険な仕事です。そして法律をエンフォースするパワーを手中にするため、パワーを持っているという感覚のせいで痛みを感じる感覚が麻痺したり支配欲が強くなったり、睡眠不足、ストレスケア不足になったりするせいで、人への思いやりやコンパッションをもはや持つことができない心の状態に繋がっているのではないかと思いました。

アメージング・グレイスを作詞したイギリスの牧師ジョン・ニュートンは、若い頃奴隷貿易に関わっていました。奴隷船が沈没しそうになった時、嵐の中で必死に神に祈り奇跡的に荷物が船にあいた穴を塞ぎ助かりました。その後数年かけて開眼し、生活を改め牧師になり、後には奴隷貿易制度廃止に向けて運動をするようになります。神の世界のルールを違反し奴隷業で富を築いたような救いようのないほど腐敗しきっていた自分のような人間でさえ許し助けてくださった慈しみ深い神の愛への感謝の気持ちが歌に込められています。

そんなソウルのレベルでの「気づき」が世の中を変えていってくれているのだと思います。今回の事件では警官4人全て法律的な裁きが行われる事になりますが、彼らが人間として「なぜ、そうしてしまったのか」、彼ら自身の心の中にある闇を見つめて、そこに光を当ててくれるような転機が訪れてくれるのを願っています。罪はジェイルに入って判決された年数を過ごせばなくなるようなものではなく、彼らが心から開眼し、残りの人生を有意義に世のため人のため差別のない平和な世の中にするために過ごされる事こそが、亡くなられたフロイドさんやそのご家族、それまでに同様な事件の被害に遭われた多くの方々への最高の供養になると思います。



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