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不安、恐怖、差別ではなくコンパッションを

連日、コロナウイルス関係のニュースを見かけます。

本日このニュースを見かけ、統合医療の専門医という視点での自分の考え綴ってみようと思いました。

「治癒と健康」のサポートをする統合医療の観点からこの事態を考えると、私たちに今最も不足しており、私たちが最も必要としているもの、それは「コンパッション」と「マインドフルネス」だと思います。これから発生しないかもしれない未来の症状について不安になったり過去に起こったことについて謝罪を求める心の状態は、「今のこの瞬間」にしっかりと足を着けていない状態であると言えます。まずは「無症状で無事に船内の仕事を終えられた今」に対しての感謝、今、無症状で大丈夫である事をもっとじっくりと味わって見られると、そのような心を抱えておられる方々ご自身と彼らから不当に扱われた方々共々「今」を過ごしやすくなるのではないかと思います。「マインドフルネス」を練習するために最も手っ取り早いのが「瞑想」です。瞑想はマインドのノイズを減らしてくれます。1−2分でも5分程度でも良いので鼻からお腹へ深く息を吸い込み口から出してみてください。そして随時色々な思考を巡らせるマインドに気づいたら注意を呼吸に持っていくのを繰り返す、それだけです。瞑想は免疫を強めてくれるので一石二鳥です。

不安や恐怖、ストレスを感じたらすべき事

色々な地域でちらほら感染例が出てくるこの時期に大切なのはCDCやWHOで奨励されている基本的な感染症対策をしつつ、心に生まれる不安や恐怖、ストレスに適切に対処することです。不安、恐怖、ストレスはそもそも正常に私たちに備わっている防御機構であるのでゼロにしようとすべき対象ではありませんし、心の中に起こった不安な気持ちを否定したりする必要はありません。私たちが遭遇する様々な出来事(ストレッサー)にどのように対処しているのか、心の中を観察すると自分が備え持っている対処能力や思考癖について理解するきっかけになってくれます。過剰なストレス反応は「大丈夫な今」の心の平和を乱し、副腎、脳、心臓などに負担をかけてしまい、免疫を下げてしまう事が知られています。自分の不安になる気持ちに気づいたら、それを呼気と共にそっと優しく自分の外に出してあげると良いでしょう。それでも過度な不安があるならサイコセラピストの専門家に相談するのが良いと思います。

私たち人間は「生きた開放系のシステム」です。患者さんと直接コンタクトしたなら他者とのコンタクトを2週間程度自主的に避ける、症状が出たら適切に受診、他者への感染防御に努め、症状がある方が周りにいるなら優しい心と思いやりで自宅療養や受診を勧めるなど「行動と言葉のエチケット」「コンパッションを持ちお互いの心身の健康をサポートし合い免疫を高め合い守り合う」事により、コミュニティーとして1+1は2以上に出来るのです。もしも電車の中でマスクをしないで咳き込んでおられる方がおられたら「自分にウィルスが飛び散ってくる」などとイメージしてしまっては、感染力を強めてしまいます。その場にいる事を変えることができないなら、ノーシーボ効果(害のないものを有害だと思いながら摂取すると本当に体に症状が出てしまう信念効果)を自分の中に起こしてしまうと、実際の感染リスク+ノーシーボ効果のダブルリスクを背負うことになります。手洗いなど感染対策で自分で出来る事をちゃんとやりながら、瞑想し、自分の中にある思いやりの心、感謝の心、幸せを感じる心、など自分の心身の機能を高めてくれる自分に備わっている機構にしっかりとつながって見てください。もしも疲れが溜まっていたり、寝不足などあるなら、37兆の天才たちが24時間休みなく働いて健康な体を作ってくれているご自身の身体を愛情を持って十分に休ませてあげてください。。私たち一人一人は自分が思っているよりももっとずっと美しくアメージングな存在なのです。

医療関係者の皆様へシェアーしたい事

私がハワイで勤務していた統合医療の慢性疼痛クリニックでは、Marie Manthey さんが提唱された「仕事仲間たちへののコミットメント」を採用していました。クリニックのスタッフたちは皆これに署名して「私はこれを守ります」と誓うのです。英文と日本語訳と両方載せておきます。

Commitment to my Co-Workers
As your co-workers and with our shared goal of providing excellent service to our customers, I commit to the following:

1. I will accept responsibility for establishing and maintaining healthy interpersonal relationships with you and every member of this team.
2. I will talk to you promptly if I am having a problem with you. The only time I will discuss it with another person is when I need advice or help in deciding how to communicate with you appropriately.
3. I will establish and maintain a relationship of functional trust with you and every member of this team. My relationship with each of you will be equally respectful, regardless of job title, level of educational preparation, or any other differences that may exist.
4. I will not engage in the “3 Bs” (Bickering, Back-biting, and Blaming) and ask you not to as well.
5. I will practice the “3Cs (Caring, Commitment and Collaboration) in my relationship with you and ask you to do the same with me.
6. I will not complain about another team member and ask you not to as well. If I hear you doing so, I will ask you to talk to that person.
7. I will accept you as you are today, forgiving past problems and ask you to do the same with me.
8. I will be committed to finding solutions to problems rather than complaining about them or blaming someone for them and ask you to do the same.
9. I will affirm your contribution to the quality of our work.
10.I will remember that neither of us is perfect and that human errors are opportunities not for shame or guilt, but for forgiveness and growth.

Compiled by Marie Manthey (2013: Creative Health Care Management, Inc)


仕事仲間に対しての約束(日本語訳)
私たちの仕事のゴールは患者さんに最高のケアーを届ける事。そのために私は以下の事を約束します。
1 私はあなた、そして全ての医療チームメンバーと健康的な人間関係を形成するための私自身の責任を受け入れます。
2 私があなたに対して何か問題を抱いた時にはすぐにあなたにお話しします。私が他の人に相談する場合は、あなたに対してどのようにコミュニケーションすれば良いかのアドバイスを求めるときのみです。
3 私はあなた、そしてチーム全員に対して信頼関係を築き、それを保ちます。あなた方の仕事のタイトル、教育レベル、その他の個人的な違いにかかわらず、あなたがた一人ひとりに対して同じレベルの尊敬をもって接します。
4 私は口論、密告、裏切り、避難する事を避けます。そしてあなたにも同じようにしてくださることを求めます。
5 私は皆を思いやり、責任を果たし、協力し合います。そしてあなたにも同じようにしてくださることを求めます。
6 私は他のチームメンバーについての陰口や苦情を言いません。そして皆にもそのようにしてほしと思います。もし、あなたが他のメンバーについて文句を言っているのを私が聞いたなら、あなたにそのメンバーに直接話をするようにお願いします。
7 私は今のままのあなたを受け入れます。昔のことは全て許します。そして、あなたにもそのようにしてくださるように求めます。
8 私は問題について愚痴をこぼしたり他人を攻めたりせずに、その解決を探すことに専念します。あなたも同じようにしてください。
9 私はあなたの私たちの仕事への貢献を認めます。
10 私は、あなたも私も不完全であり、人間としての過ちは恥じたり、罪の意識を持ったりするためのものではなく、成長と許しのチャンスだということを忘れません。


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