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まる暗記した原稿を舞台上で忘れました

青年の主張大会に
参加したことがある。
中学生の頃の話。

予め提出した原稿を
舞台上で読み上げても
構わないという規定だった。

参加者全員が下を向いて
原稿をそのまま読む。

つまらないな、そう思った。

原稿を持たずに
ほぼ丸暗記していた文章を
言葉にすることにした。

半ばに差し掛かって
原稿に書いたことを
すっぽり忘れた。
仕方ないので適当につないで
無事に主張を終えた。

忘れた、と気づいた時の
度胸の良さと冷静さが
我ながらすごいなあ
と、今でも思う。

原稿にない言葉を紡ぐ。
目の前に座っている
審査員達が一斉に
静かにざわめく。

「あれ?どこだ?
 どこを読んでいるんだ?」

手元の原稿のコピーを
めくったり戻したりして
あちこち探している。
その様子がおもしろくて
笑いそうだった。

予定通りに事が運ばない。
そんな場合の大人達の
様相や仕草がおかしかった。

舞台にマイクを持って立つ。
そういう機会を幼い頃から
いただいてきた経験は
いろいろな場所で役に立った。

公私ともに様々なイベントの
司会進行役を頼まれたのも
たぶん生来のクソ度胸の
おかげなのかもしれない。

イベントに事故や予定変更は
あたりまえのつきもの。
司会がやることはひとつ。

会場にいる人々に

「想定内の出来事だから
 安心してくださいね」

という雰囲気を
さり気なく伝えて
その場を整える。

これは家庭内だろうが
職場だろうが応用できる
とても有効なテクニック。

いまでも機会があれば
どんどん活用している。

本日はグリーンパスを
取得してから針仕事へ。
行ってきます。

(はてなブログ「アレコレ楽書きessay」2021.12.6 転載)

Grazie 🎶