マルチに、はまる友人

久々に会った友人は

いつも元気でパワフルだ。


私よりも年上で、お喋り好き。


元々は、海外での仕事の時に

現地スタッフとして仕事をしてもらっていたが

今は、ほとんどプライベートでの友人だ。


しかし、年を重ねる度に

彼女が変わっていく。


プライドが高い彼女。

私が勧めるものを

以前は

『いいね!』とか『美味しいね!』と言っていたのに


今では、なんでも首を傾げるようになった。

自国の食事の方が美味しいとか

美味しさがわからないなどという。


私も反応の悪さに

どうせ、よく言わないだろうと

だんだんと何も勧めなくなった。


もしかすると

以前は、日本への憧れと同じように

私のようになりたいと思っていたけれど

日本に何度も来ることで慣れてしまい

私ともプライベートで付き合うようになり

私よりも、自分の方が上ということを

無意識に思っているんじゃないかな、と感じる。



そんな彼女が、あるアロマを勧めてきた。

いい香りでしょ?と言うが

たしかに良い香りだけれど強すぎる。

まるで、初めて香水を付け出した人のようだ。


私はMINGちゃんがいるので

なるべく香りがあるものを家で使わないようにしているからか

余計に香りがキツく感じた。


そのメーカーが如何に良いか

かなり、しつこいと思ってしまうくらいに話してくる。

病気が治るとか怪我が良くなるとか。。。etc.


効能としては全くない訳ではないと思うけれど

そこまで言うと、ちょっと。。。


日本にもあるの?と聞かれ


(あるけど。。。。マルチなんだよね、それ。)


とは言えず、あるという事だけを伝えた。


友人と一緒に遊びに来た、Mにも勧めていた。

Mも海外の仕事で知り合い、日本語は話せないが

大人しくて可愛らしい女性だ。


友人とMが1週間、私の家に泊まったので

色々なところに連れて行ってあげた。


そして夜、夫が寝る時にボソッと言った。

『Mが可愛そう。旅行に来たのに、ずっとアロマの誘致をされてる』


え〜、そうなの?


『色々な意味で余裕が無いのかな?』

と夫が言う。


マルチは不労所得を目的にする人が多いけれど

友人の場合は、それだけではないような気がする。


年齢を重ねて

子供の手が離れ

自分の存在をどこにもアピールできなくて

燻っているところにマルチがあったんじゃないかと

私は思う。


誰からも相手にされていないような気分になり

家でも、外でも

常に中心にいて注目されていたのに

それが段々と感じられなくなり

その恐怖と不安に漠然と押し潰されていく。


少し心のバランスが悪くなると

自尊心がどんどん高まり

感謝の気持ちも忘れていって

ワガママになる。


負のスパイラル。


マルチは一つのビジネスモデルだと思っているけれど

久々にその渦中に入ると

自分には合わない事が

あらためて、わかる。


夢中になればなる程

人が離れていく。

深入りすればする程

マルチの仲間と密接になっていく。


飽きっぽい友人なので

上手くいっていないようだし、長く続かないと思うので

次に会う時には

ケロっとした顔で何事も無かったように

もう違うものに興味を持っているかもしれない。


出来れば、そう願いたい。


そして、以前のように

お喋りで、お節介で、お茶目で憎めない

笑顔の似合う友人と楽しい時間を過ごしたい。






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