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第30話 ガイド時代⑩(終) コラム【それでも愉快な僕のガイド人生】

皆さんこんにちは!ミキキートスの庭野です。株式会社ケンネット様の公式サイトで連載中のコラム【それでも愉快な僕のガイド人生~耳に"知"を届けるために~】の中から、第30話 ガイド時代⑩ の中身を一部ご紹介します。

今回で最終回となります。これまでお読み頂きました皆様に心より感謝申し上げますm(_ _)m

第30話 ガイド時代⑩

それでも愉快な僕のガイド人生 (終)
ミキキートスは2022年の4月で創業から7年を迎えました。起業して1年で事業存続の危機に瀕したり、売り上げが低調でアルバイトに頼らなければならない時期もありました。そして、豊洲ツアー大ヒットからのコロナ禍突入で現地ツアーすべて中止…と、まるでジェットコースターに揺られているかのような激動の7年間だったともいえます。結婚生活にピリオドを打ったり愛猫を亡くすなど、プライベートも決して順風満帆ではありませんでした。

しかし、今はっきりと言えることがひとつだけあります。私はミキキートスを立ち上げて、本当に良かったということです。これまで人生においていくつものターニングポイントがありました。コールセンター時代には運命のいたずらにより正社員登用に一歩届かず、大変悔しい思いをしましたが、あの時に正社員になっていたら…と考えた時、今より安定した生活を送っていたかもしれませんが、ここまで充実した人生を送れていたかどうか分かりません。

私は何かを創り出すことが好きなのだと思います。何かを企画して形にするという作業が好きなのです。それはミュージシャン時代に作った数えるほどしかないオリジナル曲にも言えるかもしれませんが、あいにく私には音楽や美術などの芸術のセンスがありませんでした。ただ、ガイドは天職だと思っています。自分が興味を持って調べ上げたことを、お客様にお金を頂いてご案内し、喜んで頂くことが出来るという大変すばらしいお仕事です。

私が今住んでいる部屋のクローゼットに、1つの空き缶があります。まだミキキートスの黎明期、成田空港見学ツアーのご案内を終えて解散し、ガイディングレシーバーを片付けている時でした。お客様が戻ってきて「すごく上手でした!これ、良かったら飲んでください」とエナジー系の缶飲料をくださったのです。近くの自販機で買ってきてくださったのでしょう。お金を払ってツアーに参加してくださったお客様が、更に身銭を切って飲み物を差し入れて下さるというそのお気持ちがとても嬉しかったのです。そしてそれは私のガイディングへの賛美でもあったのだろうと思います。今もまだ道半ばですが、今とは比べ物にならないほど未熟なガイドだった私に、この仕事をしていてよかったと思わせてくれた瞬間でした。あまりにも嬉しくて、もったいなくて…自宅に持ち帰り、しばらくその飲み物には口を付けずにいたのですが、消費期限が迫ってきたのでありがたく頂くことにしました。空き缶はその時に感じたお客様のお気持ちと初心を忘れないようにと、今も大切に取ってある宝物です。

筆者の宝物である、お客様が差し入れて下さったエナジードリンクの空き缶

黎明期には、クレジットカードによる事前決済を敬遠する人達にも参加してもらいたいから…と、現地払いを許容していた時期がありましたが、いわゆる無断キャンセルが横行し、既定のキャンセル料を取りはぐるなんてこともありました。当時は事業を継続していくためにとにかく売り上げが必要な時期で、数千円の売り上げが本当に貴重だったため、とても悔しい思いをしたのを今でも思い出します。まさに死に物狂いだったのだと思います。

ある時には、当時主力だったガイドさんがひょんなことから癇癪を起こし、そのまま数日後に退職に至るという事件も起こりました。その結果、空いてしまった穴を埋めるためにもう1人のガイドさんに負担が集中してしまい、その人との関係もぎくしゃくしてしまうという悲劇の連鎖もありました。繁忙期だったこともあり、私はノイローゼの一歩手前くらいまで追い込まれていました。仕事の楽しさから一番遠のいていた時期かもしれません。零細な事業者ではありますが、本当に経営者は孤独なのだと痛感した瞬間でもありました。

ただ、それでも私には譲れないものがあります…

株式会社ケンネット それでも愉快な僕のガイド人生~耳に"知"を届けるために~
第30話 それでも愉快な僕のガイド人生 (終)

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