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面白能楽館 〜天狗考〜

今年の面白能楽館は
能楽アナトミア 〜天狗の山編〜
と題しまして7月27日(土)京都観世会館にて催されます。もう今週末!
面白能楽館とは能楽の魅力を皆様にお伝えするための催し。
アナトミアとは古代ギリシャ語に由来した言葉で「解剖学」という意味です。ターヘルアナトミア(解体新書)は聞き覚えがあるのではないでしょうか。
今年は天狗を介して能楽をまるっと解体しちゃいましょう!という試みです。
さて「天狗」とは、どんなイメージでしょう。
赤い顔に高い鼻、山伏のような姿で大きなうちわを持ち、空を飛ぶ・・・もしくはめっちゃ威張っている人・・・

てんーぐ【天狗】[名]
①山に住む怨霊や変化(へんげ)の類。
②深山に住む想像上の怪物。姿は人に似ているが、鼻が高く、翼があって自由に飛べ、神通力を持つ。大天狗・小天狗・烏天狗などがある。
③(深山で修行することから)山伏や修験者。
④(鼻を高くすることから)自惚れること。高慢なこと。また、その人。
(全訳読解古語辞典より)
ふむふむ
そういや私の大好きな夏目漱石先生が占い好きな奥様の鏡子さんに
「お前はわしよりテングの言うことを信じるのか」
みたいなことを言うてはった気が。
明治の頃は占い師のことを「テング」と言うてはったのですね。
もうひとつ。馬場あき子先生は『鬼の研究』の中で天狗についてこのように述べられています。

天狗説話の流れをみると、
⑴幻術や験力をもって体制の撹乱をねらい、あるいは権威の失墜をねらうが、つねに高僧・貴顕の威力に圧倒されて失敗し、迫害されると言う時代が、そうとうにながく続いている。
⑵次の時代に入ると、天狗は仏界権威の末端である僧侶のたぶらかしに成功し始め、あるいは人などを遠くへ拉致し去る・・・この時代になれば山伏姿の天狗の連想もさして困難ではない。
⑶山伏姿の天狗は、乱世の様相を呈し始める中世社会に、叛乱助力者としての風貌をあらわしはじめ
⑷体制撹乱に成功し、人心に動揺を巻き起こすようになる。
⑸そして『太平記』の世界においては非業の叛乱者はすべて天狗として位置付けられ、ふたたび天界に君臨する相が考えられるようになった・・・
ふむふむ
だいぶ間を端折りましたが
天狗とは
山伏姿で幻術や験力をもって体制に叛乱し、人心を動揺させるもの
と考えられるでしょうか。
⑴は幻術で大会(釈迦の説法)を再現する能『大会』を思い出しますし、⑵は中国から比叡山の僧を外道に堕とそうとやってくる天狗、善界坊の能『善界』、七つの年天狗にとられ修験の山々を巡る能『花月』を思い出します。
私の天狗のイメージは
たいそうなこというてやってくるけど結局コテンパンにやられて覚えてろよー、みたいな捨て台詞残して帰っていくなんか憎めへん奴。
でしょうか^ ^
皆様の天狗像は如何なるものでしょう。
面白能楽館で改めて天狗と戯れてみるのもよき趣向かと思いまする。

面白能楽館 能楽アナトミア〜天狗の山編〜
令和6年7月27日(土)正午開館
京都観世会館にて

体験も盛りたくさん!装束付けも復活!
お申し込みはQRコードを読み込んでくださいね!
もしくはこちらから
https://piagettii.s2.e-get.jp/web5ap05p/pt/?G=ky02ot15&RTNfld=kyotokanze&app=s5pt0&RTNent=pe&RTNmyp=pm&RTNtik=pt&k=de79006a6b9bc5df9d6025c384fe4d79b1121eb2lywqcy5l



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