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【本】『シン・二ホン』安宅和人さん この国は、もう一度立ち上がれる

安宅さんのひさしぶりの本。

前作は、有名な「イシューからはじめよ」


内容が濃く、読むのに数日かかりましたが、とってもとっても勇気をもらえるものだったので、ご紹介。

人類史上、今後の重要な転換期になるであろうAI×データ時代における、企業や公務員、国、教育のありかた、諸外国との人材育成・研究の違い、さらには日本の歴史、人類の歴史、過去8万年の気候変動など地球の歴史にまで言及しつつ、すべての日本人にこの圧倒的なFactから、さあ、あなたはどうするどう未来に投資する?という「問い」を投げかけられている、と思いました。

わたし自分は、直近と未来と時間軸できちんとバランスを取りながら、果たして投資ができているのだろうか、と。直近に寄りすぎてしまっているのではないか?と。

えー、そうだったんですか、日本・・知らないほうがよかった・・と思うような不都合な真実もたくさん列挙されていて、でもそれを見ないふりをする、蓋を閉める、課題を先送りするのではなく、意思をもって、みなで解決できるのでは?と思えます。

例えば、圧倒的に日本が遅れている分野や、それに対応する解決策の提案は下記。
※note最後に各種参考資料を載せています。

経済産業省 産業構造審議会 新産業構造部会 (安宅さん資料)

読み進めているうちに、共通目的が明確であれば、いわゆる世代間、役職間、ジェンダー間など、あらゆるギャップを埋めて協力し合えるのでは?そしてそれができる人たちは、実はすでに揃っているのでは?と感じました。

敵だ味方だ、などと言っている場合じゃない、みなでこれからの未来をよくしていこう、と。

現在すでに30代のわたしは、バリューを最大限発揮できる若者の領域じゃないなー(若者=under24歳の定義)と思いながら、元気でいればあと30年ぐらいは働いていく(≒いかないといけなくなる)と思います。

今後30年を、どう社会にポジティブインパクトを残すのか、残せるのか、どう生きようとするのか、を改めて考えるきっかけになりました。
(ちょうど残された時間は10-30年という文章もあり、ぴったり当てはまる・・)

人としての魅力の項目(第3章 求められる人材とスキル)の部分ですが、以前安宅さんにおっしゃっていただいた、チャーミングであれ という言葉はとても大事にしています。

たとえ失敗しても、この人ならしょうがない、また協力しようと思える人になれるかどうか。また一緒にいろんなことしたいと思われるかどうか。日頃、自分から行動している人かどうか(評論家じゃないか)。

男女問わずチャーミングな人は、みんな笑顔が素敵で、ポジティブで圧倒的に行動している気がします。

そして一番響いたのは、

これからは、スポンジのように吸収する力よりも、自分がどう感じるか「気づき」の方が大事。

という言葉。

改めて、自分の感情、想いを大切にしよう、と思えました。

知覚を鍛えるために、言葉にならないものを受け止めてみたり、構造的、多面的に見てみたりする努力も、しようと思います。(社会科学的な考察だけでなく、自然科学・工学的な考察もできるとかなり有効だ、とおっしゃっていますが、それはまたかなりハードルが高い・・)

20以上もの役割を抱えながら、世の中、これからの日本の未来のために執筆いただいた、安宅さん、ありがとうございました。

なにか素敵な未来のために、仕掛けていきます。


【再掲】

どの章から、どう読んでも気づきが満載。


【参考資料】

安宅さんブログ ニューロサイエンスとマーケティングの間

2016年11月 TED×Tokyo シン・二ホン 言葉生み出し時 

2017年2月 経済産業省 産業構造審議会 新産業構造部会 

産業変化、時価総額、富を生み出す方程式、エンジニアリング層の現状、産業革命の波、必要なスキルセット、若者の力など

1. 国富を生む方程式が変化、、、妄想力とそれを形にする力がカギ
2. 日本は情報産業革命の第1フェーズで大敗、、、人材課題は多面的に深刻。勝負は第2、第3フェーズ
3. データの持つ力を解き放った上で、見る力・決める力・伝える力が重要になる、、、これまでとは似て非なるdata  professionalが必要
4. 3層+2で育てるべき
① 若者に武器を、、、データリテラシーとアントレプレナーシップ
② 境界・応用領域を含む専門家層とリーダー層は必須
③ ICTエンジニアとミドル/マネジメントを再生
5. 千載一遇のチャンスを活かし世界の才能を取り込む
6. 基盤となる思考、表現の武器としての国語の刷新、人材開発に向けた 国家的なendowmentを立ち上げるべき
7. 以上の実現に向け、国家全体のリソースの最適化を検討すべき

2018年2月 ICCサミット  知性の核心とは何か?セッション

ポイント
1.情報処理は入力・処理・出力の三要素から成り立つ…「思考」とはインプットをアウトプットにつなげること、「知性」とはインプットとアウトプット(I/O)をつなげる力と言い換えることができる
2.情報処理のバリューチェーンの大半が、川上・川中工程である「知覚」(厳密に分離できない認知を含む)…通常知性の中心と思われている判断・実行過程にあるのではない
3.「知覚」とは、様々な知覚情報を統合し対象の意味を理解すること
4.「知覚」は驚異的な情報処理であり、とてつもなく複雑
5.我々は価値を認識していることだけを「知覚」できる…大野耐一さんはアメリカのスーパーを見てトヨタ生産システムを着想
6.「知覚」は経験から生まれる…高度な知的概念だけでなく形や色ですら
7.「経験」には知的経験、人的経験、思索の3つがある
8.アウトプットを生み出すのは、深い「知覚」に基づきこれが欲しいものだという感覚
9.科学者と芸術家の違いは、何を大切だと思うかの違いに過ぎない…感性も知性である
10.「意思」は生命の本質…神経の数の問題ではない
11.目的別になんらかの情報処理を自動化したものが「AI」…色や肌触りすら我々のように知覚できない
僕は、知性とは「感じる力」と「目指す力」だと思うのです。
感じることに関して言うと、神の知性など本来的に存在する訳がありません。
実態がないので、そんなものは始めからありません。
僕らは実態があるからこそ、感じて、価値を感じるのです。
そして大事なのは、それをどれだけ多面的に感じるかです。
サルのような社会であればサルの問題が発生するだけであって、僕たちがどういう社会にいるかだけの問題だと思うのです。

2018年7月 平成最後の夏期講習 社会保障基礎講座

国のR&D投資や、大学教員給与、PhD取得費用の実情、国としてのP/L、限界集落の話など

2018年11月 教育再生実行会議 技術革新ワーキング・グループ

2018年11月  Society5.0に関する資料

変革のアクションプラン 

(1)企業が変わる 
① 産業の高付加価値化 ・社会的価値の増大(SDGs 達成への貢献) 
・一人ひとりが創造・享受する価値の増大
② 産業の新陳代謝・構造変革の促進 ・産業構造の抜本的改革 
・イノベーションエコシステム ・スタートアップの振興 ・大企業による「出島」 
③ 組織の変革 
・Society 5.0 時代の組織 ・Society 5.0 時代の働き方 ・日本型雇用慣行のモデルチェンジ 

(2)人が変わる
① 求められる人材 
② 教育・人材育成への期待 ・方向性 ・リテラシー ・文理分断からの脱却 ・平等主義からの脱却(トップ人材の育成) ・リーダーシップ人材の育成 ・リカレント教育 

 (3)行政・国土が変わる 
① デジタル・ガバメントの構築 ② 国土の分散化による多様性の推進 

(4)データと技術で変わる 
① AI 駆動型産業への転換とデータ戦略 ・フィジカル空間からサイバー空間への展開 ・多種多様なデータの共有 ・データ関連ポリシーの確立 
② 研究開発 ・研究開発へのリソース投入:「 選択と集中」から「戦略と創発」へ ・戦略的研究 ・創発的研究 ・研究力再生 

2019年2月   AI活用戦略に関する資料 AI-Ready化ガイドライン

2019年7月 安宅和人さん×柴山和久さん対談
(この対談が、本を書く発端になったみたいです)

手持ちの金/リソースのうち、6~7割を目先のことに使われるのは仕方ないとしても、3~4割のうち3分の1ぐらいはすごく遠い未来に、その残りの3分の2は中長期的にかけるのが基本ではないでしょうか。それは、企業も同じだと思います。
 現代においては、計算が正しくできることよりも、自分なりにどう思うか、どう考えるか、それをどうモデル化し、式に落とせるか、という思考の部分が大事なのに、そこはまったく鍛えられない。これからの世の中では「自分がどう感じるか」が価値の源泉になっていく。それは確実な流れです。だから、どうせ社会に出たら機械がやってくれることに過度の時間を使わなくていいし、そんなことに情熱を傾けるなら、自分なりにやりたいことを見つけてレア化を目指してほしい。

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