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お日様が上がって来るのを待ち祈願する神事『お日待ち』

 こんにちは、orangeです。私の家では、2月の中旬から下旬に『お日待ち』という神事を行います。お日待ちとは文字通り、日の出を待ちながら五穀豊穣、近隣の繁栄を祈願する神事になります。

 私の地元でもある山口県周南市の山間にある中須地区では、地域住民に愛されている神社があります。中須八幡宮の神主・神足さんが各家々を周り、神棚に五穀豊穣・家内安全を祈願する祝詞(のりと)をあげて下さいます。

 私にとっては珍しい行事ではありませんが、近年は神棚のない家も多く、なじみのない人には聞いたことがないお祭りかもしれません。中須地区でも20年前に比べてお日待ちをしない家が増えてきました。

 神棚は家にご利益があるように神様に願う場所です。そして、新しい年が来て、今年一年、平和で健康に過ごせるように、災いがないように、五穀豊穣、家内安全を祈願してくれるのが『お日待ち』の神事になります。

 地域によってお日待ちの時期は違いますが、私が住む中須地区では節分で厄祓いをした後のこの時期に、お日待ちをしています。

 まずは神饌(しんせん)を用意します。神饌とは神様に召し上がってもらうもので、お米、御酒(みき)、餅、魚、野菜、乾物、お菓子、果物、水、塩とあります。地域や各家によって神饌は少し異なりますが、私の家では、お米、神酒、魚、果物、水、塩を用意しました。

 その他、神主さんに御幣(ごへい)を作ってもらうため、竹と半紙を用意します。御幣とは、祭祀で捧げられ用いられるもので、2本の紙垂(しで)を竹などまたに挟んだものです。

 紙垂は半紙に切り込みや折り目を入れて作り、竹の先に切込みを入れ、先ほど折った紙垂を差し込むと御幣ができます。

 神主さんに御幣を一本作ってもらい、神事後にそれを畑に立てます。五穀豊穣を祈願すると共に、『お日待ち』をしましたよという意味があります。

 神主さんの話では、最近は家で『お日待ち』をする人が少なくなったため、御幣を神社にもらいに来る人も増えたそうです。昔は何本もの御幣を頼まれ、作るのに1時間くらいかかっていたそうです。

 写真の角度がよくありませんが、上に神棚があり祝詞をあげて下さっています。

 神主さんが「祝詞をよく聞いていれば、お日待ちの意味が分かりますよ」と言われ、かなり真剣に聞いていましたが、たくさんの神様が出て来られ、なかなか理解するまでにはいたりませんでした。

 祝詞とは言霊であり、神様に申し上げる時に使う正式な言葉です。災難を遠ざけ、お願いごとを聞いて頂ける意味があります。

 時折、「かしこみ~、かしこみ~」の言葉が何度か出てきましたが、「お願いします」との意味です。そこだけは、一緒にきちんと拝んでおきました。

 神事も終わり、リラックスモード。中須八幡宮の神主、神足さんに色々とお話を伺いながら、楽しいひとときを過ごしました。

 地域によっては『お日待ち』の神事は、集落で一軒の家に集まり、夜通しお酒を酌み交わしながら、お日様が上がるのを待って祈願する所もあり、お日待ちが楽しみの一つになっていたそうです。

 今でも『お日待ち』の神事は各地にありますが、その地区その場所で少しずつ変化しているのかもしれません。

 私にとっては毎年する行事の一つなので、神社にお参りに行くのと同じくらい神聖で厳かな神事です。田舎にとっては一つ一つの行事が大切で、引き継いできたものなので、このような神事と現状があることをお伝え出来ればと思います。

 神社巡りの好きな人や、今まで見聞きしたことがない人、懐かしいなと思う方も、昔からある神様と人との身近で繋がりあるお祭りを、記事を通して知って頂ければ嬉しいです。


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