いつの間にか「せんせい」前編

noteに文章を書くのはこれが初めてです。

Twitterで日常を短い文で綴って来ました。

小さな町の小さな道場で

気がつけば子供達の成長を見続けてる

おばちゃんの事を

書いてみようかなと思った

2021冬です。


コロナがきっかけで猫メインだったTwitterのアカウントで剣道の事をポツポツと呟いたら、いつの間にか剣道で繋がったフォロワーさんが増えていった。

初めは当時中3だった末娘の剣道の事を呟いていた。

中学最後の年にコロナが姿を現し、大会がどんどん中止に…親子で辛かった時の気持ちを呟いた。

それが今では自分の剣道の事を呟いている。

自分の事と言っても日常生活な剣道を呟いている。私は剣道で華々しい記録も経験も無い。ゆるゆると気付けば長い間剣道が側にあったおばちゃんだ。タイトルにあるように現在剣道クラブで「せんせい」と呼ばれているが ガッツリ剣道をされている方々から見たら「なぜ?」と色々な意見も出るだろうな。いつも自分でも「自分が先生でいいのか」と思いながらも道場に向かっている。


私の剣道歴は「歴」って言えたもんじゃない。

ブチブチ切れ切れの「歴」

有段者でも無い。

現在持ってるのは中3の時に合格した2級。

そんななのに、いつの間にか「せんせい」と呼ばれている。

みんなにそう呼ばれる事に未だ慣れないし

戸惑い続けている。


私と剣道のはじまりは中学の部活。

入学当初は美術部に所属。毎日美術室に行っても特に活動も無く楽しくなかった。友達がいた剣道部を見に行ってアレが着たいなと思った。

剣道部へ移籍し道着袴を着られてウキウキした。中途入部者で顧問の先生に指導してもらった記憶はあまり無く、先輩が一生懸命指導してくれた。

同級生に家が道場という噂のあった女の子がいた。素人の私が見ても別格だった。

先生の指導も手厚いように見えた。白い道着に白い袴姿も強いって言っていた。同級生の女子とあまり関わらない彼女は、入部直ぐから先輩と練習し「武士道シックスティーン」のあの子のようだった。

彼女と話した記憶はあまり無い。きっと途中から入部し友達とワイワイうるさい私の事は嫌だったろうな。私もなんとなく近寄れなかった。

私は3年夏の引退までに4、3、2級とトントントンと合格。試合に出た記憶は有るが勝敗は覚えていない。中学の剣道生活は、ゆる〜く終わった。

もう35年近く前の事、色んな記憶が曖昧になっているが武士道シックスティーンのあの子の名前と顔と声は今も覚えている。でも本当に家が道場だったのかは最後まで知らずに卒業した。


高校に進学し剣道部に見に行くと男子多め。数人いた女子の先輩は あ…ムリと直感が働き入部しなかった。後にその直感が大当たりだった事が分かって入部してなくて正解だと高校時代は思っていた。私の剣道歴は一旦ここで終了だ。


時は流れ結婚し3人の子が生まれた。

長男、長女、次女四つずつ歳が離れた3人兄妹。

剣道の事はすっかり生活から消えていた。

長男が小6の2月「中学、剣道部入ろっかな」と言った。どこで剣道を知ったんだろう?あぁアレだ!その時放送されていた大河ドラマ、龍馬伝の影響じゃった。

長男は中学で剣道部に入部、上手くなりたいと地域の剣道クラブにも入った。その頃私はクラブに殆ど行っていない。ふたりの妹達が小学生と幼稚園、ダンナさんは仕事で一週間のうち家に帰って来たのは土日ぐらい。私は家の事と育児に必死だった。自動車免許も持っておらず、平日の夜に妹達を連れ道場に見に行くのはハードルが高かった。

長男に「見に来てよー」と言われて数回行ったことはあったが道場の隅っこに座り見学に来た保護者だった。

長男は大きな声を出し頑張っていた。

踏み込む振動や道場の空気が懐かしかった。家で竹刀を借り素振りしてみた。案外体が覚えていてビックリした。長男が素振りし教えてと言ってきた時、こうじゃないかなぁ?と過去の記憶を辿り教えると嬉しそうだったのを覚えている。

今、もっと長男の稽古も見に行って試合も応援に行けば良かったと後悔している。


ある日ダンナさんが末娘も連れて長男を道場まで車で送って行った。

「赤いのがいい。けんどーやりたい」

女の子が赤胴をしていたのを見たそうだ。末娘が言い出した言葉に親子だなと思った。

母と同じくアレが着たいが「はじまり」

まだ幼稚園年中だったし「ピアノやりたい」とも言っていた。こちらはお姉ちゃんの影響、どっちが本当かな?しばらく様子を見ることにした。

「けんどーやりたい」は続き、「ピアノやりたい」は、お姉ちゃんが毎日練習している姿を見てアレは大変と思ったのか言わなくなった。

後で聞いたのだけど「ピアノやりたい」も発表会でお姉ちゃんが着るようなドレスが着たかったそうだ。

「けんどーにする。けんどー行きたい」

ずっと言い続けたので年長の3月に1ヶ月体験、そのまま念願の剣道クラブ加入。

憧れの赤胴に近づいた。

その頃も私は、保護者の1人。私に経験がある事を当時家族以外で知ってる人は1人。仲の良かったママさんに話の流れでこっそり言った。先生方には言っていない。中学時代の2年間部活でやっただけ。2級で終わってる、ゆるく剣道部だった私は「剣道やってたんです」なんて自分からクラブの先生方に言えない。(絶対言わんとこ)って思ってた。

この頃は只々小1の娘を道場に通わせる為、仕事から帰宅し大急ぎでご飯を支度、宿題をさせてと週に2日稽古の日は大忙しで四苦八苦のお母さんだった。

それがどこでどうなって…

まさか自分が「せんせい」って呼ばれるようになるなんて。人生何が起きるか分からない。

せんせいの「はじまり」は

子供が剣道を始めた事なのは

間違いなさそうだな〜。

続く






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