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京都の劇団、「劇団三毛猫座」って?“はじまり”を振り返る第4回

劇団三毛猫座の過去公演をご紹介する連載第4回目。
執筆担当は劇団員・柴田奈緒です。
前回から間があいてしまいましたがよろしくお願いいたします。ご覧いただけると嬉しいです。

今回ご紹介する公演は、第一回本公演「あかの白日夢」です。

2015年に学生劇団として京都で活動を始めた三毛猫座。その記念すべき第一回本公演。三毛猫座がよちよち歩きを始めた頃を振り返りつつ、魅力に迫りたいと思います。

あらすじ

書くこととは生きること
生きることとは愛すること

ある日、1人の男が消えた。
彼の名は夢路晃太郎。
彼は前触れもなく、仄めかしもせず、愛する人に何も告げぬまま、ふつりと消え去った。

夢路の恋人で小説家のくろは
くろはの使用人のなずな
夢路の捜索依頼を受けた探偵のくこ
なずなの友人でくこの助手のすぐり
一人の男を巡り4人の女の想いが交錯する。

色んな形の『愛』を描く作品。4人の人物による会話劇です。
2015年10月に京都市東山青少年活動センターにて上演いたしました。

舞台

朱と白を基調とした舞台。抽象的でシンプルなデザインです。
なかでも朱色の『枠』が印象的。

『枠』と言えば、第六回本公演「アンドロイドは毒をも喰らう」(2021年)にも舞台を囲む大きな枠が登場しました。

舞台上に置かれている白い箱は、机や椅子、小道具入れとして場面に合わせて使われました。

舞台奥の白い立体物はピアノを隠すためのカバーです。三毛猫座の活動初期は公演にピアノの生演奏が付き物でした。

現在も変わらず、打楽器演奏を用いた朗読公演「くじらの昇る海底」(2021年)など、積極的に音楽要素を取り入れた作品を制作しています。
※「くじらの昇る海底」は2022年8月に本公演として上演決定!

床面の一部分は『床下収納』のようになっており、開閉できるようになっていました。
中にはリアルな義手が隠されています。物語のクライマックスでそれを引っ張り出した際、驚かれたお客様も少なくありませんでした。

『収納』といえば、第五回本公演「クロウゼットで晩餐を」(2019年)では大きな長持ながもちが登場しましたが、そちらは義手や人形ではなく、実際に中に役者が入るという試みでした。

枠内の床面には白くペイントされた畳が敷かれました。本物の畳です。

小道具

小道具も舞台に合わせて基本的に朱色と白色で揃えられました。
唯一違ったのは黒電話くらいでしょうか。

劇団三毛猫座「舞台美術・衣装展」より

朱の手帳、白い鉛筆。写真は残っていなかったのですが、湯呑やそれを運ぶお盆も全て白でした。

登場人物〈小説家くろは〉が使う原稿用紙。
一枚一枚に、劇中に登場する出版社の社名が押印されていて、美術担当・佐藤のこだわりを感じます。

衣装

ここまでご覧いただいた通り、衣装は朱色一色です。
それぞれ人物の個性に合わせた朱のワンピースになっております。

劇団三毛猫座「舞台美術・衣装展」より
(左)くろは、(右)なずな

写真では分かりづらいですが〈使用人なずな〉の衣装にはエプロンが付いています。〈小説家くろは〉はエレガントですっきりとしたワンピースです。

(左)すぐり、(右)くこ

〈探偵助手すぐり〉は可愛らしいフリルのワンピース。〈探偵くこ〉のみがズボンでした。

〈かげろう〉なる者は、薄いヴェールをかぶっています。照明もあいまって美しいような、恐ろしいような、神秘的な雰囲気です。

リーディング版

2020年には脚本を再編集、キャスト・配役を一新し、リーディング版「朱の白日夢」を公開いたしました。
初演から5年を経てのリバイバルです。三毛猫座公式YouTubeチャンネルにて無料配信中です。ぜひお聞きください!

最後に

7年前の当時を思い出しながら記事をまとめていましたが、三毛猫座は進化しつつもやってることは変わらない(もちろんいい意味で)と思いました。
良い美術、良い衣装、良い音の重なりをつくって、お客様に良い空間をお届けする――今後もそれを大切にしながら、さらに楽しんで頂けるような作品を作ってまいります。

最後までご覧いただきありがとうございました。
過去公演をご紹介する連載、次回第5回目もお楽しみに!
(2022/04/26 written by 柴田) 

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