カリブ海/象徴としてのサンマルタン島03-"神の見えざる手"について
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カリブ海/象徴としてのサンマルタン島03-"神の見えざる手"について

セントキッツ島のホテルで。ディナーをしながらした話の続きです。
僕は続けた。
「カリブの先住民が何故カリブの島々に渡ってきたはよくわかってない・・とさっき言ったろ?}
「ああ。」
「実はこんな説が有る。かなり有力な説だ。実は、アラワク族・タイノ族・ルカヤン族はカリブ族に追われて海に出たという説だ。
彼らが島に辿り着いたのは1200年頃だろうと云われてる。彼らはタロイモを育て、島の木の実を食べ、島の動物を食べていた。もちろんカリブの島々には、本土にいるような大型の動物はいない。せいぜいテンジクネズミくらいなものだ。そしてイグアナ・・だね。彼らは島の沿岸にすみ、貝類を食べ魚を獲り、テンジクネズミ・イグアナを捕まえて生活していたんだ。
そんなアラワク族・タイノ族・ルカヤン族を追って、後からカリブ海を北上してきたのがカリブ族だ。」
「すごいな。そんなことまで判っているんですか?」彼は感嘆の声をあげた。
「その調査の具体的な資料を、今回は見たかったんだ。」
「なるほどね。・・調べておきますよよ。」彼が言った。
「・・実はね、アラワク族・タイノ族・ルカヤン族とカリブ族の弱肉強食関係は巣はアマゾンのジャングル時代からのもんだったんだ。カリブ族は狩猟の民なんだ。そしてその最大の狩り場は、アラワク族・ルカヤン族・タイノ族の部落だったんだよ。すでに誰かが作ったモノを力ずくで奪うのは、一番簡単な方法だからね。人類史の中には、無数にそういう人々が登場する。」
「・・なるほど。マイクさんの話を聞いていると、ヒューマニズムというか、人類の本質は性善であるという、俺のクリスチャンとしての信念が揺らぎますね。本当にそうなのかなぁ?」
「例証は無限にある。人類は性善ではない。もちろん性悪でもない。二つが折り重なっているのがヒトという生き物だ。社会でも個人のなかでも、"聖獣"は折り重なっている。近代になって現れたユマニズムという考え方は、キリスト教的絶対神(善)のパロディだから根本的な部分で矛盾を抱え込んでいるのさ。もっと真っ直ぐにまっとうに見つめればいい。ヒトは聖獣を併せ持つことが正鵠に見えてくる。しかし"囚人のジレンマ"は厳然として成立するんだ。」
「それが"神の見えざる手"?」
「うん。その一部だ。神はヒトに"選択"することを与えた。ヒトは悪党としても生きられるし、善人としても生きられる。そして、時々悪党/時々善人と言う生き方も選べる。まったく利己的に自分だけの利で生きることもできるし、奉仕を持って生きることもできる。良い悪いじゃない。選べるんだ。」
「ん~。良い悪いじゃない?」
「しかしね、"囚人のジレンマ"は厳然と機能するんだ。歴史がその事を教えてくれている。
フランスのノーベル賞生理学者ジャック・モノーは偶然の中に秘められている必然を語っている。ヴィトゲンシュタインは、神秘なるものを語っている。古今東西すべての智者が"森羅万象の裏側に秘められた必然があること"に気付いている。それを"神の見えざる手"というなら・・そう。そうだ
。」
「・・よかったよ。少し安心した。」
「ん。で・・カリブ族なんだけど、勇猛な連中でね、糧を得るために、しばしばアラワク族・ルカヤン族・タイノ族を襲って、食べ物を略奪した。彼らは、部落を襲うと、男や子供をすべて殺し、女を連れて帰り自分の子を産ませたという。そして生まれた子供はカリブ族として育てたんだ。」
「凄い話だね。」
「そしてある年齢に達すると母親から離され、子供たちだけで共同生活させた。そこで狩人との訓練をうけたんだ。
コロンブスが上陸したエスパニョラ島でも、6つ有った先住民の集落のうち、5つがアラワク族のもの、1つがカリブ族だったという記録が残っている。今回、歴史博物館を訪ねたのは、セントキッツ島ではどうだったのか?知りたかったからなんだ。残念だよ。」
「そおかあ、分かった調べておくよ。」彼が言った。

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勝鬨美樹/銀座グランブルー

無くてもいいような話ばかりなんですが・・知ってると少しはタメになるようなことを綴ってみました

ありがとうございます。これからも書き続けますので是非ご高覧下さい
1951年生まれです。ついに70の声をきく年になってしまいました。このnoteではワインを巡る歴史話。僕が子供の頃の東京下町のこと。青春時代に歩いた米軍キャンプとNYCの話。銀座グランブルーのこと。そして日々徒然に書き散らしたものなどを並べています。