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小説特殊慰安施設協会

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2020年11月の記事一覧

小説特殊慰安施設協会#32/泰明小学校

東京宝塚劇場は1944年3月に日本軍へ接収、落下傘工場として利用された。工員はこの劇場に出演…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#31/東京宝塚劇場

R.A.A.のダンサー寮へ移った後も千鶴子はマメに小美世の家を訪ねた。築地の鰻屋宮川に有った寮…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#30/GHQ召喚指令書

そして翌日、9月18日。R.A.A.協会へGHQから召喚指令書が届いた。 持ってきたのジープに乗った…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#29/銀座千疋屋キャバレー

終戦からひと月経った1945年9月17日、月曜日。R.A.A.事務所の斜め前にある千疋屋ビルの2階に「…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#28/木挽町からの巣立ち

その夜、帰宅の途中、ゲンがうれしそうに話した。 「お昼ごろ、新橋の吉さんが来たんだ。それ…

勝鬨美樹
3年前

小説特殊慰安施設協会#27/木挽町からの巣立ち

翌日13日、千鶴子が事務所に出ると、いつものように林穣が先に出社していた。一心不乱にタイプ…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#26/1945年9月8日東京入城

9月8日に実行された東京入城で、神宮・赤坂・銀座・丸の内に駐屯する連合兵士(米兵)の数は、きわめて短期間で7万人を越えた。 それを支える兵站は、横須賀・横浜から、厚木基地から、函館富津岬から、晴海埠頭から、膨大な数のトラックによって運び込まれた。同時にジープを中心に多数の軍用車も運び込まれた。 特に晴海ふ頭は銀座・新橋が近かったことあって、大量の物資が下されて晴海通りを昼夜関係なく、接収した沢山のビルへ運び込まれた。この物流作戦が実行されると並んで、晴海に有った飛行場が

小説特殊慰安施設協会#25/銀座ライオンビアホール開店

MP二人とワッツ中尉は、グラス一杯で帰って行った。林穣は三人を店の入り口まで送った。三人は…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#24/銀座ライオンビアホール開店

チケットは飛ぶように売れた。2000枚がほぼ一時間で完売となった。  ビールは、R.A.A.にビヤ…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#23/銀座ライオンビアホール開店

終戦からまだひと月経っていない1945年9月13日朝日新聞に以下の記事が載った。 《進駐兵と麦酒…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#22/『ハイ! ムース♪』『ハイ! ムース♪』

その日もワッツ中尉は、横浜から独りでジープに乗ってR.A.A.協会の事務所へ来ていた。彼はほと…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#21/9月8日東京無血開城

9月8日。連合軍の入城が始まった。先ず多数のジープが、先遣隊として連合軍が通る道の確認を行…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#20/性病の蔓延

ところが翌9月5日、福生の慰安所にとんでもないことが起きた。朝一番、やってきたMPが「OFF LI…

勝鬨美樹
3年前
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小説特殊慰安施設協会#19/銀座に立った慰安婦募集の大看板

夕方、千鶴子が帰り支度をしているところへ尾崎が戻ってきた。 「いかがでした?」と千鶴子が聞いた。 「いや、大変な話だ。」尾崎が汗を拭きながら言った。「林部長は?」 「あのあと、すぐにお出かけになりました。」 「そうか。丸の内・日比谷あたりは米兵が相当来てる。びっくりしたよ。」 「接収ですか?」慰安部の大田が席を立って尾崎の所へ来た。 「そうだな。そのための下見だな。爆撃されてないビルと、爆撃されても大破してない堅牢なビルの前には何台もジープが停まって、米兵が出入りして