「好き」だけでは動けなかった


人生で一度くらい、本気で愛されたかった。

20時を過ぎて、お腹は空いたけどご飯作るのも億劫でマンションの近くのセブンに行き、お弁当とお酒を買ってきた。

レンジで温め、テレビを見ながらひとりでもそもそと食べる。
テレビからは楽しそうな笑い声がしているが、眺めてるだけだから情報がこれっぽっちも入ってこない。

適当にシャワーを浴び、ソファーに戻ると冷蔵庫にしまい忘れたお酒が転がっている。
少し悩んで缶を開ける。プシュッと聞き慣れた音がする。

Instagramを見ながらお酒を飲む。
楽しそうな写真、美味しそうな料理、仕事の愚痴、どれもこれもキラキラして見える。

私も一度くらい、本気で愛されたかった。

キラキラを見ながら、諦めと同時に渇望する。
私は今まで付き合い別れてきた彼らを本気で好きではなかったから、彼らも私と同じ温度で付き合っていると思っていた。

本気で愛した人に、本気で愛されたかった。
本気で愛していたかった。

愛せる人がほしい。受け取ってくれる人がほしい。愛したい。


この年までなにやってたんだろう。急激に虚しくなって、残りのお酒を一気に流し込む。

嘆いてはダメです、嘆いてはダメです、嘆いてはダメです

呪文を3回唱えて明日のために早く寝る準備をする。

今日はもう終わる。

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