『虫展』 を観に伊丹ミュージアムへ。
『虫展 "Mushi" in Japanese culture』を観にいきました。
たまたま朝聴いていたラジオのニュースで紹介されてて
面白そうなので行ってみましたが
やー、期待以上に面白かったです。
↓ 29日まで開催中です。
市立伊丹ミュージアムは、江戸時代に酒のまちとして栄えた伊丹市にあり
柿衞文庫、伊丹市立美術館、伊丹市立工芸センター、伊丹市立博物館、
そして
江戸時代に建てられた旧岡田家住宅と旧石橋家住宅からなる伊丹市立伊丹郷町館を合わせた総合文化発信拠点なんだそうです(HPから)。
入り口で観覧料1000円を払うと
4〜5センチの『I'M』とプリントされたシールを渡されて
胸や腕に貼るように促されます。
このシールが、展示室を移動する時に係員に見せる半券がわりになるので便利です。
『虫展』の展示室に入ると
『玉むし物語』という小さな絵巻物が展示されていました。
玉虫姫をめぐって蝉とキリギリスとひぐらしの恋あらそいの末、
蝉と玉虫姫が結ばれます。
そして婚礼、出産が繰り広げられるというお話の絵巻物です。
話としては普通の恋物語ですし
絵も源氏物語絵巻みたいな真面目なタッチで描かれていますが
虫が垂髪で十二単を着てたり
頭から触覚が出てたりして、ミョーな面白さがあって見入ってしまいました。
(図録から転載していいのかしら……と思いますが、楽しい絵なのでチラッと)
「嫁入り行列」
馬がわりの蛙の背に乗っている虫がいます。
食べられるんちゃうん?
とツッコみました。
それから
博物学的に虫を観察して絵にした『虫譜』もたくさん展示されていて
私にはこれが一番面白くて、順路を進んではまた戻ってとじっくり観ました。
『虫譜』とは虫類の図譜です(図録より)。
採集した虫の姿形を一生懸命観察して絵にしたのがよく伝わってきます。
虫の絵は細部がとても細かく表現されていますが
日本画の顔料で描いているからか
どこか柔らかく抜け感があって可愛らしく見えました。
実際の虫は足とか触角とか気持ち悪いですけどね。
もしかしたら
江戸時代はゆったりと楽しく面白い感性を持った人が多かったのかも。
だから
絵もどことなく楽しく抜けた絵になるのかなぁと思いました。
紙の展示物だけでなく
江戸時代の兜や、豊臣秀吉が身につけた?派手な陣羽織も展示されていました。
もちろん虫絡みです。
とくに私が面白いなーと思ったのは
『鉄一枚張南蛮鎖兜』という兜で
前立てが金箔を貼った大きなムカデでした。
兜の高さの2倍ぐらいあるムカデです。
ちょっと笑うぐらい大きなムカデが前立てとして貼り付けてあります。
しかも若干間抜け面。
敵を笑かして倒そうという魂胆でしょうか?
(ミュージアムのサイトに写真あり&必見の価値あり)
ムカデは後退しない、前にしか進まない(実際は後ろにも動くそう)ということで
武将には好まれたモチーフなのだそうです。
チラシにも使われている『針聞書』の虫の絵も面白かったです。
日本語には
「虫がすかない」とか「腹の虫がおさまらない」など虫の慣用句が多いですが
この言い回しは江戸時代に生まれたのだそうです(図録より)。
体の中に虫がいて、それが悪さをすることで病になると考えられてたとか。
そんなふうに想像された虫のキャラクターが
江戸時代に描かれたものとは思えないほど、ゆるかわで今っぽかったです。
ほかにも養蚕を教える絵や、虫が描かれた掛け軸なども展示していましたが
私はやはり、虫を観察して描いた虫譜が一番面白かったです。
図録も糸綴じがむき出しの製本になっていて
センスがあるなぁと思いました。
伊丹ミュージアムはそんなに大きな美術館ではないと思うのですが
見応えのある楽しい展覧会でした。
グッズ売り場に「針聞書」の虫のキーホルダーやぬいぐるみが販売されていました。これがまた可愛いのなんのって。
小さいさんが好きな私。
「買ってはだめ。買ってはだめ」と思いつつ
キーホルダーに手がいき、どれが可愛いかなーと品定めしていました。
【亀積(かめしゃく)】
買ってしまいました。
傘のようなものをかぶり薬をブロックする……のだそうです。
「対象年齢6歳以上」のタグがついていましたが
即座に切りとりました。