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モケイ写真を撮る その2

旅先の集合写真みたいに模型を撮らない。そう思うことにしてます。

みんな横並びに観光地で撮った写真を友人から見せられても、ちょっと困ってしまうことがあります。「正月にハワイに行ってきた」ことは分かっても、それしか写ってない... 本人は楽しかった記憶があるからいいけど。

模型写真だと、完成した時に撮るアレです。模型を中心に据えてフレームにきっちりと全体を納めて隅から隅まで照明を当てて撮る写真です。「聞いてよ!プラモが完成したよ」というのは分かっても、観光地で誰もが撮る記念写真みたいな模型の写真からは、その人が何を大切にして何を表現したくて模型を作ったのかが伝わってこなかったりします。

だから最近は、撮るときに「模型をトリミングする」ことを意識するようにしてます。ファインダー覗いてフレームから模型がはみ出るように撮って、さらに写真の編集ソフトでどこまで構図を切りつめられるか眺めます。


二人

模型をトリミングするといいことは、模型の見せたい部分を大きく見せられること。SNSで写真を眺めるのって3秒くらいだから、自分が伝えたい部分を確実に見せたい。見なくたって伝わるような情報は切り捨てる。だって、そもそも模型の反対側はどうやったって写真の中に残らないのだから。

ディテールを追いかける写真なら当然に模型はトリミングされて写るけど、少し引きのアングルでも敢えて全体を写さないようにすると面白い効果が出ます。模型が写真の中でリアルに見えるのです。どうしてかと言うと、実際の風景の中では対象全体が写真のフレームに収まる場面は思った以上に少ない。例えば戦場で撮られた写真では戦車の一部が写真のフレームから見切れていたり人物や建物の影で隠れる部分があるのが普通で、全体が写ってる写真でも車両も風景の一部になってディテールが潰れてることも多い。

リアルなものを「トリミングされた写真」で経験しているから、模型写真を見るときにも同じ感情が重なる。というか、模型の写真はそういう撮り方でいいんじゃないかと思い始めてます。


眺める

「過不足ない距離を見つけたら、一歩前に踏み出すか三歩下がって撮れ!」と、写真を撮ってる人から言われたことを覚えてます。

適正距離から外すことで、自分の表現したいものが見えるようになる、ということでしょうか。近づいて撮ることで対象に肉薄する、少し引いて状況がわかりやすく見える構図を探す。たとえば、ガールフレンドを撮るとき、一歩踏み込むには普段以上に「距離をつめる」必要がでてきます。そうすると表情の陰りの中に言葉にならない感情が見える時があるし、少し離れてみて初めて彼女とぼくが今どこにいるのか見えてくる。

模型を撮るときにも同じことがあるような気がしてます。

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