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会社の年下の男の子がかわいいので好きにならないように欠点を探している

会社の営業の男の子たちとわりと仲が良い。
別にそれはいい。
仕事終わりにみんなで飲みに行ったりする。
それもいい。
うちの会社は女子が少ないし、そもそもいても飲み会には来ない。
基本的に私しか男子たちと飲みに行かない。彼らも私しか誘わない。
それもどうでもいい。

彼らはすごく優しい。みんな既婚者なのだが、すごくいいメンズだと思う。
だから結婚できたんだろうなぁと毎回思う。
私は何もしない。仕事しかしない。
飲みに行っても注文も聞かないし気の利いたことは一切しない。
全部メンズがやっている。やりたくないわけでもないが、積極的にやりたいとも思わないのでぼーとしている。
まぁだからといって別にちやほやされているわけではないのでオタサーの姫ではないのが救いかもしれないが、オタサーの姫の実態をよくは知らんのでなんとも言えない。
若かったらワンチャンそうなっている可能性もあるが、立派なおばはんなのでもうそんなことはないだろう。

そのメンズたちのうち、年下の2人の子がとくに仲良しでかわいいので。
その人たちの話をしてもいいですか。いいですよね。
誰にも言えないからここに書くわけで。

この前、営業のAくんとふたりでWBCの中継が見れる居酒屋に行った。どうしても見たかったのでわりと遠いお店だけれど張り切って。遠かったわ。
会社で野球の話ばかりしているので、メンズたちも(たぶん)あわせてよく野球の話をしてくれる。僕の行きつけの居酒屋は野球見れますよ、行きましょうとか言うので連れてってもらった。なんなら張り切りすぎて1か月も前から予約してた。どんだけ。
お店はすごくよい居酒屋だった。野球もちゃんと見れたし、何より食事がうまくて安い。最高だ。Aくんは行きつけだからかあまりメニューも見ずにおすすめを適当に頼んでくれる。面倒くさがりの私はお店での注文も考えるのが嫌なので大変助かる。放っておいても美味しいものが次々と出てくる。楽すぎる。しかしAくんは普段家族とも来てるからか、その癖が抜けないのか煮込みとか頼んでも取り分け用のお皿を子どもが持っても大丈夫なプラスチックのお椀とかにしてくれて、しかもレンゲでよそってくれた。なんなのか。無意識なんだろうけど、子どもか私は。全部自分で出来るのに。君といると私は何にもしないぞ。ああもう最高だな、こんな旦那いいな。
WBCは終わる時間が遅い。見に行った試合は特に終わるのが遅かった。その時点でAくんは「タクシーで帰ってください、金出すんで」とか言う。なんでや。
でもまだ普通に会計したら終電には間に合うかもしれない。それなのにのんびりしている。結局やつは飲みまくって私の帰る終電に完全に間に合わなくなった。でも平気そうにしていて、本当どうする気なんだ、じゃあとりあえずはやくタクシー捕まえてくれよと言っているのに焦った感を出さない。すごく楽しそうにウーバー呼びまっすーと何回も言うけど酔っぱらってるので呼べていない。見かねた常連さんが流しのタクシー拾った方がいいよと教えてくれたりしたが、土地勘ゼロなのでよくわからない。
まだAくんはヘラヘラしてたが、「だいじょーぶ、おれ結構金持ってんすよー!」って1万円くれた。なんでや。同じ会社の人間だろ、給料知れてるって知ってるぞ。
まぁそのあとなんとか流しのタクシーを捕まえてくれて無事に家に帰れたんですけども。遠かったんですよ、首都高を使うレベルで。
なので1万五千円もしました、タクシー代。彼は「足りなかったら来週言ってくださいね」って言ったけど誰が言うか、言えるわけないだろ。なんで1万円もくれんだよ。

まぁ貰いましたけども。
謎過ぎる。

Aくんの1万円は私の中で衝撃的かつ面白過ぎたので、別の日によく一緒に帰る営業のBくんにその話をした。すごく笑っていたが、結局彼も「でもその状況なら俺も1万払いますね」とか言う。なんで?1万の価値ってそんなもんなの?信じられない。彼女でもないただの同僚の女になんで1万も使えるの。君たちはすごい低賃金の会社の社員って私は知ってるぞ。私は自分が思った以上に貧乏であることを痛感したので黙ってしまった。世間知らずなのかもしれない。ちょっと恥ずかしくなってしまった。世間のメンズはすごく男らしく優しいのかもしれない(このご時世で男らしいとかいうと炎上しそうだけどあえていう)でも仲の良い上司や友達にこの話をしたら「楽しかったからじゃない?」と言われた。
いや、でも。
楽しかったからって。
楽しかったからって、私は同僚の男に1万円は払わない。

それから2週間くらいして、会社帰りにBくんと途中下車して夜桜を見に行った。降りた先に桜の有名な場所があるので行こうぜ!となって見に行ったのだ。桜は大変きれいで、雨が降っていて最悪だったがBくんがずっと傘をさしてくれていたので私は両手もふさがらず雨にも拘らずスマホで写真を撮りまくることができた。Bくんの右肩は動きまくる私のせいでずぶ濡れだった。いつも雨の日は「スーツ濡れるの本当に嫌です」ってブツブツ言う雨は絶対許さないマンなのに。申し訳なさすぎる。あまり動き回らないでくださいとかちょっとは怒った方がよかった、私に。
その後、お腹すいたというので(昼抜きで働いてらしい)居酒屋に入ってどうでもいい話を死ぬほどしたのだが、主に会社の話だったが何がそんなに楽しかったのか知らないが「ふわーもう今後これふたりで定期的に行きましょ、飲みに!」とか言っていた。そんな楽しい話したか?会社潰れそうじゃんとかそんな話しかしてない。
そしてこの日は前回のAくんの行きつけの居酒屋より我々の家には近い場所だったので電車は普通にあった。余裕で帰れる時間だった。なのにこいつも「タクシーで帰りましょ」とか言う。えー。
君たち金持ちだな、とまた思ってしまった。電車まだあんじゃん、と根っからの貧乏が染みついている私は思ってしまうわけだが。
「いいす、弟の僕が頑張って払いますから!」とか抜かす。
弟って何が?
仮に弟だとして、なんで弟が払うんだろうか。姉が払う方がいい気がする。
でも弟が払うとかいうのでまんまとタクシーで帰った。Bくんとは帰る方向が同じなので途中まではタクシーも一緒に乗った。彼の最寄り駅までの間、私の元カレがいかにどうかしてたかの話をずっとしてた。タクシーの運転手さんの肩が時折震えてたように見えたのできっとひどい話だったんだと思う。
Bくんは本当に私に1万を渡し、「じゃ、また来週ー!おつかれっす!」と颯爽と降りていった。
いやだからさ。
なんで君も1万くれるんだよ。

AくんもBくんもお店に入ったら絶対にコートをかけてくれるし取ってくれる。電車で立ってて壁際が開いたら絶対にそっちに座らせてくれる。(当たり前なのかな)いや、でもすごーいやさしいと思う。
偶然にもこのふたりは同じ年だが、とてもかわいくて、やることがいちいちスマートなんだけど。そんなに異性に優しくされることのなかった人生だったから日々驚きの連続である。
休日出勤した日にぶち切れていたらBくんが迎えに来てくれたこともある。まぁ、でもその日わたしが仕事をする羽目になったのもBくんの責任なのでアレだけど。
でもさ。
なんで来るの。
「迎えに行きますよ」とか言うけど、そんなの冗談じゃん、普通。
「ほんとに悪いと思ってんなら迎えに来てよ」って言ったらさー。
なんか来たわ。あげくに昼ご飯を驕ってくれたわ。
ガソリン代を使って、首都高代を使って、駐車場代も使って、お昼ご飯代も出して。
ご飯食べながら私にずっと仕事のことで怒られていたんだけど。あれか、Mなのかきみは。
労力が意味不明すぎる。

好きになりそうじゃん、こんなの。
でもね、ふたりとも既婚者なんだよね。だから結婚できてる人たち系なんだよね。
だから会社の年下のかわいい男の子たちを好きにならないように欠点を探しているの、毎日。

あんまりないな。
髪を短く切りすぎて来た日がちょっと面白いだけで。

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