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NHK BSプレミアムの金田一耕助シリーズが最高だった

金田一耕助といわれれば戦後日本を代表する名探偵だ。定期的にドラマ化・舞台化されたり、様々な作品に影響を与えたといってもいい。様々な名俳優・大御所俳優が演じており、中でも石坂浩二と古谷一行が演じた「金田一耕助」像が有名だろう。この二人が作った「金田一耕助」像は平成をすぎ令和になった今でも影響を与えている。

金田一耕助を演じた俳優一覧(敬称略・◆=映画/●=テレビドラマ)
◆片岡千恵蔵
◆岡譲司
◆河津清三郎
◆池部良
◆高倉健
◆中尾彬
◆石坂浩二
◆渥美清
◆西田敏行
◆三船敏郎
◆鹿賀丈史
◆豊川悦司
●岡譲司(月曜日の秘密シリーズ)
●古谷一行
●船山裕二
●金内吉男
●愛川欽也
●小野寺昭
●中井貴一
●片岡鶴太郎
●役所広司
●上川隆也
●稲垣吾郎
●長谷川博己
●吉岡秀隆
●加藤シゲアキ
●池松壮亮
●長瀬智也
●山下智久

多い……多すぎでは????? 28人の俳優が演じているなんて。舞台版も入れればさらに増える。流石名探偵。
しかし映像化される作品は、古谷一行氏の金田一耕助シリーズをのぞいて大体長編ばかりだろう。これはイメージしやすい、有名なので視聴率を取りやすいといったテレビ側の事情なのかもしれない。映像化される作品も最近は固定化されている気が……しないでもないが、「犬神家の一族」「獄門島」「悪魔の手毬唄」「八つ墓村」「悪魔が来りて笛を吹く」が定番になっている。

他の作品も映像化してほしいと思うのは私だけだろうか。下巻を完全再現した「病院坂の首括りの家」とか「白と黒」「幽霊男」とか見たいと思うけど、色々難しいんだろうな。病院坂は市川崑監督の映画版が本当に素晴らしい出来から無理なのかもしれない。最期の婦人のシーン、泣くよね。
ななころびが個人的に一番見てみたいのは「悪魔の寵児」なのだが……確実に色々と差し替えられそうだ。

2016年11月にシリーズ・横溝正史短編集が放映

そんな中、NHKBSプレミアムで横溝正史短編集が放映決定。セリフやナレーションは全て原作から抽出、「原作を忠実に再現」という触れ込みで池松壮亮氏が金田一耕助をやることになったという。30分、なるほど。……30分!?!?

短いのではと感じたが短編ならありなのかも、と思った。演出は様々なクリエイターが行うという事なので、解釈がとても楽しみだった。以下、視聴した時のメモを書く。

黒蘭姫
・黒蘭姫を映像化ってすごい
・ちょっと待ってレイザーラモンがいる。いわれなきゃ気が付かないぞ!!!
・なんだろうドラマというよりも舞台を見ている雰囲気だ
・なるほど遡る系にしたのか
・そういえばこの時ビルだったよね
・池松さんの金田一耕助像、すごく違和感がない
・万引はやめよう……というか全ての元凶はお前のせいじゃろ
・あー、青酸カリ、なるほど。徴用されたなら自決用に持たされるよね
殺人鬼
・殺人鬼は古谷一行さんでも映像化してたよね
・ちゃんと八代竜介が出ている+100億点
・出会いも完璧すぎる。今回の演出担当誰だろうか
・亀井の出征前の閨シーンの演出が斬新でいいな
・梅子さんまじ哀れすぎるだろこの人本当に悪くないのに
・八代の狂気を描いている+200億点
・1947年にストーカー殺人の話を書いた横溝先生すげえな
百日紅の下で
・演出斬新すぎる
・佐伯一郎が嶋田さんマジか
・「復員風の男」の頭がすごい
・情事=踊る布団 の演出とインパクトが凄まじすぎて全て吹っ飛んだ
・川地を演じている人誰だろうか。松潤にみえる
・そういえば源氏物語っぽいよね、佐伯夫婦
・舞台みたいな華やかさがあるな、これ。物悲しい
・最後の最後まで明かされないよね、男の正体

結論として――――この企画を通したプロデューサー、ありがとう!!!!!! という思いでいっぱいだった。NHKさすがだ。登場人物がちゃんと原作通りに出ているだけでもかなり大きいし、展開がほぼほぼ原作に忠実ってだけでも大きい。(大体改変されるし)池松さんの金田一耕助像が凄くいいな。長編でも問題ないけど、せっかくなので短編集をこのままどんどん映像化してほしい。エログロ系とか見てみたいよなあ。
今回の三作品どれも最高に良かったけど、個人的には「黒蘭姫」が一番好みだった。演出は百日紅の下がダントツだけど。
そして4年後、第二段が放映される。待ってたよ!

2020年1月にシリーズⅡ・横溝正史短編集が放映

待ってた。
4年間といわず毎週やってほしいくらい待ってた。毎週が無理ならせめて隔月でも……!短編集なら30分でも大丈夫かな、と思いつつ今回の映像作品を確認。「貸しボート13号」「華やかな野獣」「犬神家の一族」……ふむふむ、って犬神家!?!?!?
2時間超えのスペシャルドラマでも犬神家の一族は難しいのに、30分でどうやってまとめるのだろうか。前回のシリーズがとてもよかったので今回も解釈を楽しみにしつつ11時から視聴。

貸しボート13号
・貸しボート13号の映像化今回が初めてだっけ
・嶋田さん、佐伯一郎の次は神門貫太郎役ですか
・貸しボート13号は死体をどう表現するのだろう。ギリギリで攻めるのかな
・あーーーー考えたな演出家!!!!天晴!!!
・まさか紙人形でちょきちょきするとは思いつかなかった。演出家すごい
・さすがに公衆電話は無理だったのか
・貸しボート13号の原作読んでいないから今度よもう
華やかな野獣
・全員女性なのかすごい
・門脇さんがいる。(最初わからなかった)
・神尾警部の印象が強すぎる
・ダンス!ダンス!ダンス!
・待ってwwwww情事の暗喩wwwww
・あれ風船?風船なの?
・全員仮面着用してるけど豚の仮面はなんでだ、と思う
・演出が過剰だけど一番好きかもしれない
・確かに情事をひたすら聞かされると精神的につらいわなあ
犬神家の一族
・30分でどうやって終わらせるんだ
・と思ったらまさかの一つの部屋でやる感じか!逆にすごい
・スケキヨのマスクwwwww大きすぎるけど完全にマスクだわな
・佐兵衛の舌wwwww絶対死んでないだろう
・ちゃんと小夜子もいるけど、すごい。ちゃんと後ろで発狂してる。喋らないで発狂する演技してる小夜子の役者さんすごい
・窓から入ってきたり外にいる柏屋の主人や神主がなかなかアグレッシブ
・全体的にコントっぽいけどちゃんと原作通りに進んでる
・佐武と佐智が一瞬で死体に代わってる。劇的ビフォーアフターすぎる。ここはもう一度見直したい。なんならニコニコ動画でコメ付きでみたい。
・静馬の死体の表現が斬新
・佐清の独白シーンが泣き叫びながら、あの議員っぽく見えてしまう
・松子の最期のシーン、襖が閉まっていく演出がいいな

どれも面白くて傑作でした。ただ1作目と違って「原作を読んだことある人向け」になっていると思った。犬神家の一族とか色々省略し過ぎていて完全に頭抱えるのでは、と思った。
怪作というか、犬神家の一族は賛否両論だろうなあ。
ただきちんと原作通りに進んでいるし、そもそも30分でどうしてやろうと思ったのか。長編だぞ!(笑)
ななころびはこの3作品なら華やかな野獣が一番好き。金田一以外全員女性というのは宝塚を思い出すし、過剰な演出が別世界や御殿の中での事件を表していいと思った。

主役を演じた池松さんの金田一耕助像がなかなかマッチしていて、安心感がある。石坂浩二さんや古谷一行氏さんとは違った新しい金田一耕助像になりそう。

そしてお願いします。横溝正史短編集・シリーズ第三弾作ってください、NHKさん!できれば再放送も!
個人的に華やかな野獣を演出した方に「悪魔の寵児」を……30分×3の90分で作ってほしい……!!!!!短編なら「廃園の鬼」「花園の悪魔」「睡れる花嫁」辺りのエログロでコケティッシュな話をやってほしい。

みなさんは金田一耕助シリーズの作品ではどれが一番好きですか?
ななころびは「悪魔が来りて笛を吹く」が一番好きです。定期的に行われる「横溝クズ選手権」で殿堂入りを果たした新宮利彦がいるしね。(駒子と小夜子の親子が本当にかわいそうで仕方ない)

2016年の第1回を皮切りに毎年続いているからファンの熱量ってつくづく凄いと思う。

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