見出し画像

みんなにとって、「未来」ってどんな感じ?

増田セバスチャンのマネージャー/チーフアシスタントのキタムラです。作品制作の裏話や、進行中の企画のメイキングなど、増田セバスチャンの目線を皆様にもおすそ分けできればと思います。
***

2020年度後期、やっと大学の対面授業が始まりました!

画像1

増田セバスチャンが客員教授を務める京都芸術大学では、後期から対面授業がスタートしました。今回は、セバスチャンが大学でどんな活動をしているのかをお届けしたいと思います。

久しぶりに訪れる校舎。エントランスには、ヤノベケンジさんの疫病退散の彫刻作品がドーンと登場。2匹の狛犬に見守られて入校です。

画像2

画像3

どの校舎でも、セルフ検温と手の消毒をしてから入校します。こんな時代にならなかったら、自分のサーモグラフィーを見る機会はなかったかも…高熱だとちゃんと自分の体の色が真っ赤になる、と某ラジオで聴きました。


アートディレクション論

画像4

京都芸術大学で増田セバスチャンが担当しているのは2つ。一つ目は、5年目となる「アートディレクション論」という授業。今年は特に<妄想をビジュアル化する力・伝える力・実現する力>を鍛えてもらおうと思っています。

画像5

年末に向けての最終課題は「今までにないテーマパークをアートディレクションせよ!」。どんなテーマパークが出てくるのかとても楽しみです。


ウルトラファクトリー「カラフルラボ」

画像6

そしてもう一つは授業ではなく、京都芸術大学が誇る全学科共通の工房・ウルトラファクトリーでのアーティストがディレクターを務める年間プロジェクト。増田セバスチャンは「カラフルラボ」というプロジェクト名で、毎年学生と作品を制作しています。

画像7

今回は前期がオンラインだったこともあり、「カラフルラボ・オンライン」と称して、Kawaii文化のリサーチをプロジェクトの軸にしています。2チームに分かれて、戦後のKawaiiから今に続く潮流と、海外に広がるKawaiiカルチャーをリサーチ・研究中です。

後期に入ったばかりの9月。やっと対面で会えたカラフルラボのメンバー。まずは座談会のような形で、自己紹介とテーマごとのディスカッションからスタートしました。

それがとても面白かったので、いくつか紹介していきます。

Kawaii Tribeについて話そう!

画像8

まず、最初のディスカッションのお題は、「Kawaii Tribeのみんなをリサーチしてみて、どう思った?」です。

増田セバスチャンが作った造語「Kawaii Tribe」(Tribe=種族,部族)というのは、世界中に広がるKawaiiカルチャーを愛する人たち。「Kawaii」が好きという共通点だけで、人種・宗教・年齢・性別・国境、ありとあらゆるボーダーを飛び越え、インターネットなどのデジタルを通して繋がることができる新しいトライブの形です。

前期は、Kawaii Tribeのオンラインセッションを見学したり、実際に参加した学生たち。その感想から話し出しました。

◎世界はつながってる!

・共通の「好きなもの」がある人たちがオンラインでつながって、友達になっている。世界中にいる!
・Kawaii Tribe Sessionで映る彼らの部屋の背景にアニメ・漫画のポスター、しかもリアルタイムでやっている作品のものが見えた。
・記念撮影で好きなぬいぐるみを持ってきてもらうとき、その共通の話題や感覚に、サンリオ創始者・辻信太郎さんのいう「おもいやり」を感じた。
・小さい時に見ていたもの、好きなものが自分とも共通していた。
・自分の周りにカワイイものが好きな人があまりいなかったけど、世界にはいる

すごい!羨ましい!

・彼らの行動力やアピール力がうらやましく感じた。
・自分のKawaiiスタイルを追求している。同世代なのにすごい。
・私も自分だけの世界観が欲しい!
・みんな色々意見を言えていて、自分はそこまで考えられているかな?と思ってしまった。
・自分の同世代で、好きなものがしっかりある。好きなものに対して真摯!
・コミュニティのつながり、それを作っていく。人生をかけているようなものへの行動力。

◎刺激になった!

好きなものを貫く力、クリエイティブ、夢中になれるもの、こだわりに感動した!

貫くのがカッコいい。政治問題、社会問題に対して発信する力もある。
・自分はイラストを描くという表現をしてきたけど、彼らの強さを見て、発信することの原動力になった。

Kawaii Tribe Sessionに参加する海外の子達は、10代から30代以上まで幅広いのですが、メインは20歳前後のこととが多く、18歳から20歳の同世代である日本の美大生から見ても、刺激を受けることが多かったようです。

そして、皆それぞれ感想を言い終わると、だんだんトークはテンポアップしていきます。特に面白かったディスカッションは…

【好きなものをちゃんと伝えるためにはどうすべきだろう?】

・「話すこと」で理解が深まる。自分たちの世代は、真面目な話をするハードルの高さを感じる。それを打破していきたい。

【自分たちの世代の中で、一体何が起きてるんだろう?】

「好きなものでつながりたい」x オンライン(SNS)
 自粛期間があって家から出ないことでこれが強固になっている。

【彼らは日本の文化「Kawaii」に何を求めているのだろう?】

未来への不安 ←→ カラフルなもの、安心感
・LGBTQ、BLMなどの差別問題に対して個性としての応援の気持ちを持っている
・"うらやましい"と感じていた世界への仲間入り。誰でもウェルカム。
境界線がない。「それもカワイイよね」と許容し合う文化。
・みんなと違う服装=恥ずかしいことじゃない。個性を出した方が素敵!Kawaiiに救いを求めているところもある。

自分のPCやスマホから見ていた海外の子達の姿。最初は知らない世界の話にも見えていたかもしれませんが、知れば知るほど、自分とも何かしら共通点がある、共感できる姿だったのかも知れません。

それまで皆の話を聞いていたセバスチャンが、最後にもう一度全員に質問します。


みんなにとって、「未来」ってどんな感じ?

画像9

「僕にとっての未来は、すごくキラキラしていて、車が空を飛ぶとか漫画にも出てきてて、とてもワクワクしていたんだけど、みんなにとっての未来は、どんなかんじなの?」

当時は2020年9月の終わり。学校の対面授業が再開した直後で、まだまだ不安定な時期です。正直、すごいことを聴くな…!と思ったものの、確かに、聞きたい。

・環境問題・経済・地球…全部に大丈夫?と思っている。自分の将来への不安感が大きい。
・好きな旅行にも行けない。オンラインとか色々あるけど、私はリアルで見てお金を払いたい。アナログなものが生き続けて欲しい。
・未来の暮らしが想像できない。通販も苦手で…
・紙の本が好きなので、未来でも残っていて欲しい。
・想像する未来とは違う未来がやってくる

思った以上にネガティブな意見が続く中、「未来をポジティブに捉えてる人?」と聞いたら、11人中2名だけが手を挙げました。

・海外から日本に移住してくる人が増えて、純日本人が減っていく。人種の境界が薄くなって、より個性が大事になると思う。
・イラストを描いているけど、すでにモチーフは出尽くしている。未来は技法やモチーフがどうなっているのか?ワクワクする。

世界中で多くの人が不安な気持ちを抱えている今、それでも好きなものを貫いたり、これが自分だと発信している人たちがいる。その姿はとても強く、眩しすぎることもある。でも、そんな姿を目の当たりにすることで、自分の中で何かが変わることもある。

対面授業が始まって、やっと実際に会うことが出来た私達ですが、この未来についての意見も、どんどん変化していくんだろうなと思います。

「みんなにとって、未来ってどんな感じ?」
2020年度の最後に、忘れなかったらもう一回聞いてみたい質問です。


画像10



HELI(X)UM note

ここから先は

0字
このマガジンでしか読めないコンテンツを公開していきます。購読料はNPO法人HELI(X)UMの活動に使われます。

ヘリウムマガジン

¥500 / 月 初月無料

増田セバスチャン主宰のNPO法人ヘリウム公式マガジンです。購読料は、NPO活動に使われます。 増田セバスチャンの最新コラム、雑誌でセバス…

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?