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国立西洋美術館に行きました

先週、数日間東京に滞在していました。メインの予定は、カネコアヤノ武道館ワンマンショー(最高だった)。それに伴い「東京美術館巡り」をしてきました。

スケジュール的に1日しか時間がない中で、足を運んだのは3つの美術館です。中でも今回は、私が特に行きたかった「国立西洋美術館」のレポートをしていきます。

国立西洋美術館は、フランス政府から寄贈返還された「松方コレクション」を基礎につくられた美術館です。

「松方コレクション」とは、松方正義の三男・松方幸次郎がヨーロッパで収集した美術品のこと。彼は趣味ではなく「日本に美術館をつくり、若者たちに本物の西洋絵画を見せてやりたい」という意思のもと、美術品を買い集めました。

そんな「松方コレクション」を展示するための美術館として完成したのが、東京・上野にある国立西洋美術館です。とはいえ、彼の構想が実現するまでには数々の困難があり、もともと想定していた美術館とは異なります。

私がこの「松方コレクション」と国立西洋美術館のストーリーに興味を持ったのは、原田マハ著『美しき愚かものたちのタブロー』を読んだことがきっかけです。本を通じて、美術館の絵画に対し、収集した人たちの熱意や情熱にまで、想像が及ぶようになりました。

本を読んだ私にとって、国立西洋美術館はまさに聖地同然。建物が見えたときは「ヒュウ〜〜〜!」という声が思わず漏れそうになりました。いや、マスクの中で漏れていたかもしれない。

前庭に入ると、さっそくロダンの『考える人(拡大作)』などの彫刻作品が迎え入れてくれます。青空と美術館を背景に観た『カレーの市民』がとても美しかった……

さらにこの時期はちょうど特別展「ピカソとその時代」が開催中ということもあり、平日とは思えない賑わいでした。

展示会場入口がかっこよすぎた

ピカソだけでなく、マティスやセザンヌ、クレーなどの作品も多数展示されていて、今後彼らの作品をこれだけ一気に観られることってあるのかな……と思うと、自然と足の進みもゆっくりになりました。

この特別展を堪能するだけでかなり時間が経っていたのですが、この後「松方コレクション」が展示された常設展へ。

展示品だけでもかなりの量なのに、実際は戦争や火災など、さまざまな理由で消失した作品も多いそう。展示品の一つで、絵画の大半が焼け落ちたモネの『睡蓮、柳の反映』を観たとき、その現実をまざまざと感じました。

松方幸次郎が日本の未来のためにヨーロッパで買い集めた絵画が、2023年を生きる自分の目の前にある。「美術館で名画を鑑賞する」ことが、どれほど貴重な体験であるかを肌で感じられるのが、国立西洋美術館の魅力の一つだと実感しました。

常設展も時間をかけて鑑賞し、大満足。いつものように、気に入った作品のポストカードを購入して帰りました。最後に、中でも特に私が初めて観て「なにこれ、好き!」と感じた作品の話をさせてください。

その作品とは、18世紀に活躍したマリー=ガブリエル・カペという女性画家の、22歳のときの『自画像』です。自画像といえば、なんとなく表情に乏しい絵が多い印象ですが、彼女の作品は、チョークホルダーを持って自信に満ちあふれた笑顔をこちらに向けています。

艶のある絵の圧倒的画力とビジュアル、そして「美しいでしょ?」なんて声が聞こえてきそうなほど自信に満ちた表情。「なんてかっこいい女性なの……」と心奪われました。なんとなく、観ていると勇気をもらえる気がします。

そんな国立西洋美術館は、本日から3月17日(金)まで全館休館です。あと1週間遅かったら行けていなかったかもと思うと、余計にありがたみを感じてしまいます。

美術館を建築したル・コルビュジエグッズも購入

休館期間明けにもしも機会があれば、松方幸次郎が日本の未来のために築いた「松方コレクション」をぜひ、生で鑑賞してみてください。私ももう一度、足を運べる日を楽しみに待とうと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いいたします。いただきましたサポートは、自己研鑽やライター活動費として使用させていただきます。