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因数分解と「Von Voyage!」

小2になった長女は、しっかり者で気づけばリーダーになっているタイプ。
1年生のころ好きな科目は「道徳」で、担任の先生との面談では「うわ~、いかにも好きそう~!!」と二人で大笑いしてしまうほどに、自分ルールも多く、とにかく真面目。

そんな彼女、いつも下校班で決まったお友達とあれこれあって、時にはシュン・・・、時にはプンスカしながら帰ってくるのが恒例です。
ケンカは日常茶飯事なので、母親同士も「いつものことよね・・・」と見守っていましたが、数日前はちょっと根深そう。

詳細は割愛しますが、結論としては、
「帰り道に、『もう(娘)とは友達解散!一生話さないし遊ばない!』って言われたの。」と。

何日か様子を見ていたのですが、状況は進展しないようだし、私も娘の話しか聞いていないのでお相手のママと連絡をとってみたところ・・・なんと先方のおうちでは「(娘)が『友達解散』と言ってきた」と!!
いや~あるあるですね~。

人間関係を因数分解してみる

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そこでふと頭に浮かんだのが、先日目にした物理学者・佐治晴夫さんの文章。

そこで、二人の人が、ある問題について、話し合っていて、なかなか意見の一致が見られないとします。それは、双方とも自分の立場に固執しているために合意が得られないという状態です。その場合、ちょっと見方を変えて、双方の意見の違いに目くじらを立てるのではなく、共通点がどこにあるのかを探す努力をすることによって、一挙に解決に向かうことがあります。つまり、違った立場、流儀の間に共通項を見つける作業という意味では、数学でいう因数分解そのものの発想です。
(中略)
争っている人々は、いずれも自らの心の案値が最終目的でしょう。それを達成するために、ゆずり合う、あるいは、自分と相手と立場を入れ替えるというのが、先ほどのテクニックに相当します。

「宇宙が教える人生の方程式」(佐治晴夫・著)より


時にお互いを掛け合わせ、ある時はちょっと相手の考え取り入れて、またある時は差し引いて距離をとってみる。
すると、一人一人はそのままの姿を残しながら、相手とちょっぴり交じり合って手をつなぐように隣にいられる。

心震えるほどに納得してしまいました・・・「本当だ!なんて美しいの!?」と。

「違う」ままで関係を抱きしめる

「(娘)は(相手)とどうなりたいの?」
「本当は仲直りしたいけど・・・できればごめんねも言ってほしい」
「なるほど。あのさ、ママはそこにいなかったから、実際に何があったのかはわからないんだ。(娘)のママだからあなたの味方をしたいけど・・・(相手)にお話を聞いたら、全然違うことを言い出すかもしれない。
ただ、それは人間みんな『自分が正しい』と思いながら生きてるから・・・私はこう思うから謝って!って『どちらが正しいか間違ってるか』と白黒つけようとしたら、いつまでも仲良くなれないんじゃないのかな。」
「・・・。」
「(娘)が仲直りしたくて、もし(相手)もそう思っているんだとしたら、それは二人がもってる同じところだよね。それが実現できたら、二人の思いは叶うよね。同じところはどこかな?って考えてみたら、違うところはあってもなかよくなれるんだよ」
「・・・!相手と自分は違う!そのままでもいいんだ!」

連休中に、近所のお友達同士で遊ぶ約束をしている子供たち。
先ほどの話から間もなく、娘はその一人一人に「遊んでくれてありがとう」と手紙を書き始めました。
その中の一人、ケンカのお相手にも、ちゃ~んと「ありがとう」と―。

娘という船長に向けて・・・

ところで、若くしてお亡くなりになった京都大学客員准教授でエンジェル投資家でもあられた滝本哲史さんのある本に、こんなことが書かれていました。(メモから思い出しているので、詳細は異なります)

「Von Voyage!」は、本来船長同士の挨拶。
相手の行く先の海況が荒れているのを知っていたとしても、すれ違う船長は「そんな状況だよ、大丈夫?」とも「やめた方がいい」と言うこともない。
それは互いに自らリスクをとっている意思決定者という立場を大前提にしているから。
余計なことはいわず、相手が選んだ航路での良い旅を祈り「Von Voyage!」と一言エールをおくる。

子供のこととなるとついつい手を取って一歩先から手を差し伸べたくなるお節介な母親ですが―、娘も一人の見習い船長。
私も娘との違いを受け入れ因数分解しながら、毎日「Von Voyage!」を積み重ねていけたらいいなぁ・・・と思ったGWの出来事でした。

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