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和×現代×学園ファンタジーの傑作〜荻原規子『RDGレッドデータガール』
夜が長くなると、大好きな小説を読み返したくなります。
荻原規子『RDGレッドデータガール』(角川書店)は、もう何度読んだかわからない、和風ファンタジーの傑作です。
主人公は、熊野古道の神社で生まれ育った引っ込み思案の女の子、泉水子(いずみこ)。
実は秘められた力を持つ彼女が、謎の多い高校で学園生活を送ることになり……という設定だけで、もう白ごはんが3杯くらい食べられるのですが、泉水子の脇をかた
みずみずしく美しい、極上の青春小説(『アリとダンテ、宇宙の秘密を発見する』を読んで)
上の子どもが12歳になり、大人向けの本も共有できるようになりました。
「この小説、読んでみて!すごく面白かったから」なんておすすめし合えるのは、うれしいものです。
『アリとダンテ、宇宙の秘密を発見する』(ベンジャミン・アリーレ・サエンス著、 川副 智子訳、小学館)も、そんなふうにして出会った1冊。
アメリカのYA(ヤングアダルト)小説で、きっと自分だけの目線では手にとらなかったと思います。
寒い夜には1杯のヴァン・ショー〜近藤史恵「ビストロ・パ・マル」シリーズより
あけまして、おめでとうございます。
いま、どんな場所で新しい年を迎えていますか?
私は帰省や旅行の予定もなく、家族で散歩をしたり、料理を作ったりして、のんびり過ごしています。
年末から、近藤史恵さんの「ビストロ・パ・マル」シリーズにはまっています。
西島秀俊さん主演のドラマ「シェフは名探偵」の原作。
下町の小さなビストロを舞台に、さまざまな味つけのストーリーが展開される極上の短編集です。
1枚の絵が、人生を変えることがある
暦の上では、もうすぐ春。
とはいえまだきびしい寒さが続きますね。
お元気ですか。緊張がつづいて心が疲れたり、していませんか。
心配事があったり、頭でぐるぐる考えて煮詰まってしまったとき、私はよく美術館へ行きます。
しんと静かな場所で、言葉をもたない絵や彫刻と向き合うと、ぎゅっと縮こまっていた心にすき間ができて、深く息が吸えるようになります。
好きな絵の前に立つと、「ただいま」と言いたいよ
3年に一度の出会い〜小津夜景『いつかたこぶねになる日』
先ほど読みはじめた小津夜景『いつかたこぶねになる日』(素粒社)があまりにも素晴らしく、ふるえている。
タコの話に始まり、『海からの贈り物』へと自然にスライドし、ふいにあらわれた漢詩とその見事な翻訳にノックアウトされて、冒頭の18ページで呆然と立ち尽くしているのが今の状態。
なんだ、このすごい本は。
朝露の粒を集めて編んだような、信じられないほど純度の高い言葉がすーっと沁み込んできて、1行ごと