見出し画像

細いつながりを確かめる時間を日々に。

誰かと会って話す機会が減って、もう2か月が経とうとしている。ひどい時は毎日のように予定を入れていたタイプの私は、人に会えない日々は想像もできなかったけれど、そんな心配をよそにストレスフリーな生活へと変わっていった。

ニュースによると自殺率も減ったそうだ。人との接触が減って生きられる人が増えたなんて、喜んでいいのか悲しんだ方がいいのか判断できない。

人に会わなくなると、「あの人元気かな」と思う人へ気軽にメッセージが送れるようになった。会える人へかけていた時間が、会えてない人に向けられるようになったのだ。誕生日の連絡や、報告できてなかったお世話になった人。そして昨日は、4年前に知り合ったネパールのお坊さん・サミアに連絡を取ってみた。


元気だよ、とすぐに返事は来た。ネパールはロックダウンが続いていて、お寺から出られないという。実家にも帰れず、することと言えば仏教の勉強や、朝晩1時間のヴィパッサナー瞑想だと言った。

サミアとは、ルンビニからカトマンズまでのバスで隣の席になり、色々話すうちに実家へ招待してもらった仲だ。

当時を懐かしく思い、サミアの家で父の日をお祝いした時の写真を送った。するとなぜか、コメントに泣き顔の絵文字をつけるサミア。そして4か月ほど前に、お父さんが亡くなってしまったという。あぁ、長い時間が経っているのだとそれを聞いて改めて現実を突き出される。

私にとってネパールの旅は、去年の夏休みくらいのことのように思いだせる。お寺で修行をしたり、サドゥに会ったり、今につながる貴重な経験がいっぱい詰まった旅だった。

もちろんサミアとお父さんとの思い出も、今の仕事につながる動機を作ってくれたもの。いつでも身近に感じられる、忘れられない記憶だ。

けれど、もう4年も前のこと。この4年で私は職が変わり、住む場所が変わり、さらに世界も一気に変化している。サミアのお父さんも、もちろんサミアも、この期間で色々なことがあったのだろう。

「時々すごく寂しくなるけど、父が望むことを全部やりきったから、僕は幸せだ」なんと言えばいいか悩んでいると、そんな言葉が送られてきた。

お父さんに会えて良かった。天国にいるお父さんにお礼を言うねと伝えて、メッセージは次の話題に移った。今日連絡を取った私に、よくやった!と褒めてあげたい気分だ。

毎日必死で動いている時には、なかなか手に入らなかったこの時間。毎日ではなくてもいいから、何ヶ月に1回でも細いつながりを確かめる時間を、自粛後も持ち続けていたい。


去年の毎日note


最後までありがとうございます!いただいたサポートは、元気がない時のご褒美代にします。