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言葉の奥を勝手に想像してしまう文章

入った瞬間からお気に入りになった高松のカフェ「半空」。

そこで手に取った谷川俊太郎さんの写真と言葉『写真』には、どれも素敵な言葉が並べられていたのだけれど、どこがどう好きになったのかと具体的に表すには私の語彙力が足りず、谷川さんの言葉をただただ眺めた。

"二次元の世界地図というのはなんだか色気がない。地球儀のほうがまだしも自分が棲息してる実感があって色っぽい。今うちにあるのは二つとも風船の地球儀。息を吹きこまないと地球にならないのが気に入ってる。“

この文章で特に私が好きになった部分は二つ。

色っぽい」と「息を吹きこまないと地球にならないのが気に入ってる」。

「セクシー」の言葉の方がイメージがつきやすく使いやすいけれど、「色っぽい」はなんだかとても日本語的。

言葉そのものが秘める奥ゆかしさがあるような気がして、私たちは地球のごく一部しか知らないこと、それさえも魅力であることが「色っぽい」に含まれているような気がした。

「息を吹きこまないと地球にならない」は、まるで「私たちがいないと地球ではない」と言ってもらっているよう。誰かが地球にしないと、ここは地球ではなくなる。そんな意味に取れたからこそ、谷川さんは風船の地球儀を気に入ったのかもしれないな、と4行の言葉の羅列を何度も眺めては、その背景にある意味を想像してうっとりした。

文字の表面以外からもあふれ出てくるメッセージに、何度も何度も耳を傾けたくなる文章だ。

気になる言葉、魅力的な言葉を集める共同マガジン「コトバツムギ」を始めました。共同運営者は以前ライティングスクールで一緒に学んだスミヨ。さん。月~土までのうち、私は月・水・金を担当しています。

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