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こんな時だから自分のことを知ろう:VIA強み診断のススメ

VIAって何?

先日書いた記事「学校とキャリア教育:「傾聴」トレーニングの必要性」で、教員には、理論としてだけでなく実際にカウンセリングの経験が必要だと書きました。その理由は、他人の話を聴き、受けとめ、理解しようという態勢を作るには、自分が自分自身について理解が出来ていることが不可欠だからです。

自分という人間について理解するために、様々なツールが提供されています。キャリアサイトなどを見ると、自己理解のための「〇〇性格分析」とか「〇〇診断」というようなアセスメントをたくさん見かけるのではないかと思います。今日は、その中からVIA強み診断をご紹介します。

VIA強み診断は、ポジティブ心理学の第一人者であるマーティン・セリグマンとクリストファー・ピーターソンによって開発された、個人の強みを明らかにするアセスメントツールです。強みは全部で24種類に分類され、誰もがこの24の強みを、異なるレベルで持っていると考えられています。240個の質問に答えることで、自分を特徴づける強み(トップ5)が分かります。実際には24種類すべてをランキング形式で並べてくれるので、下位にある強みを見てみるのも面白いです。

また、キャリア形成という視点で考えると、自分の強みを仕事と結びつけて考えると良いと思います。強みが生かせる環境で働くことは、仕事満足度と成果にも繋がります。

VIA強み診断はアカウント作成が必要ですが、無料で受けられます。日本語で受けることが出来ます。
https://www.viacharacter.org/survey/account/register

24の強みは、6つのタイプ(美徳)に分けられます。どれが優れているというものではなく、並んでいる順番に意味はありません。

WISDOM(知性)
COURAGE(勇敢さ)
HUMANITY(人間性)
JUSTICE(正義感)
TEMPERANCE(節制)
TRANSCENDENCE(超越性)


私の強みトップ5を考える

私の結果を例に、私自身がこの結果をどのように受け止めたのかを見ていこうと思います。

私のトップ5:
1: 公平さ - Justice
2: リーダーシップ - Justice 
3: スピリチュアリティ - Transcendence
4: 大局観 - Wisdom
5: 思慮深さ - Temperance

これだけ見ても、何が何やら分かりませんよね。診断結果には、各項目についての説明が掲載されていますので、その説明文を読みながら、自分の経験に紐づけて考えていく必要があります。

1: 公平さ - Justice
「自分の個人的な感情が他者への評価をゆがめることを許しません」
これが私が持つ信念の一つだと書かれています。私の中には、自分と言う人間が持つ考えは偏見に満ちているのから、自分の偏った考えをすべての物事に当てはめてはいけないという気持ちが根底にあります。強みといわれると釈然としない気もしますが、こういう考えを持つということ自体が強みなのかもしれません。そして、そのような考えを生み出しているのは「スピリチュアリティ」なのかもしれません。

2: リーダーシップ - Justice 
「メンバーが活動しやすいように支援し、実現できるように動く」
リーダーシップの中にも色々なスタイルがあるけれど、私は前に立って引っ張っていくようなリーダーではない。どんな人間がいて、どんな性格で、どうしたら気持ちよく動いてくれるのかを考えて自分の立ち位置を決める。これは個々に適した環境を与えることに拠って各々が輝くと言う「公平さ」の信念に結び付くものかもしれません。このスタイルは以前の職場から変わらず、英語講師となった今も受講生が快適に学びに集中できるように動きたいと言う気持ちで臨んでいます。

3: スピリチュアリティ - Transcendence
「有意義な人生について信念を持っており、信念に基づき行動し、やすらぎを感じる」
この説明文は「森羅万象の意味について一貫した信念を持つ」なんて始まるので、そんな高尚なこと考えて過ごしてないよと驚いたんです。とはいえ、私にとって「信念」を押さえこむことが一番のストレスに繋がる自覚があるのです(理解したのはつい最近ですが)。一方、あまりに「信念」にとらわれ過ぎると、身動きが取れなくなるので注意をしなければいけないとも感じます。こういう視点が生まれるのは、次に出て来る「大局観」のおかげかもしれません。

4: 大局観 - Wisdom
「人に対して賢明な助言ができる...(略)...他人にとっても、また自分にとっても納得のいく世界観を持っている」
友人・知人からの私の評価は、自分にも家族にも他人にも常に客観的。これは、恐らく「公平さ」にも繋がるもので、身内だからという理由で甘く見ることはしない。一方、まだ10代の頃、母親から「あんたは他人に無関心すぎる」と言われたことを忘れていない。もしかすると、あまり誰かに肩入れし過ぎると、私の「公平さ」の信念がぶれるという恐れの表れなのでしょうか。

5: 思慮深さ - Temperance
「不必要なリスクは決してとらない」
基本的にリスクは取らない。これはその通り。でも、前の仕事を辞めて、30代半ばにして、英語教師になろうというリスクは取る。(10年悩んだけど)自分の人生において、ここでキャリアを変えないと納得いく生き方が出来ないと思ったから。その結果、あんなに毎日嫌だと思っていた仕事が楽しく、自分が必要だと思う勉強に主体的に取り組んでいる。心が不思議と軽いのは、「スピリチュアリティ」自分の信念を受け入れたからなのかもしれない。

最後に、今の仕事と結びつけて考えるなら、「教える仕事」を選んだ私の選択は妥当だったと思います。以前の私は、頻繁に「フェアじゃない」「おかしい」って言っていた気がするし、昨年会った前の職場の先輩には「毎日、仕事が嫌だ嫌だって言ってたよね」って言われました(笑)


強み分析から分かること

24種類の強みの解説は、和訳が少し堅苦しく、かつ抽象的で読み解きづらいかもしれません。ですが、じっくり取り組むことで、自分の経験や考えを振り返ることに繋がります。じっくり見てみると、自分が大切にしている何かを思い出すきっかけになったり、自分が嫌だと思っていたことが肯定的に捉えられるようになるかもしれません。

カウンセリングであれば、カウンセラーとお話をしながら分析を進めていくのですが、自分自身で出来ないわけではありません。学生さんはファーストキャリアの選択に、社会人は今後のキャリア形成に役立つものと思います。是非、取り組んでみてください。



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