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話を聴いて=受けとめて:土曜日の小学生

子どもが話を聞いてくれないのは理由がある。

数年前、ある英会話教室に採用され、初めて小学生を教える機会を得た。毎週土曜日、担当は中学年クラス(2人)と高学年クラス(6人)。2人しかいなくてもクラス崩壊って起きるんだな...というのが、初日の感想であり、恥ずかしながら、1年を通じてその状態を変えられないままだった。

生徒が結託して、物を投げるわ、叫ぶわ、逃げるわ、テキストを黒塗りにするわ、どうにかして授業を受けなくても済むように暴れることもあった。機嫌が良ければ問題ないけれど、一旦気に入らないことがあると奇声を発したり、ロッカーに隠れたり、部屋を出て行ってしまう子もいた。ある日は説得されて授業に取り組んだとしても、1週間経てば全てがゼロになってしまう。完全にイタチごっこ。

翌年、他のクラスに担当が変わっても、状況は然程変わらなかった。土曜日クラスに参加している子どもは、構われたい子、授業を何とかして受けたくない子が兎に角多かった。そんなある日、平日の夜クラスの代講を頼まれることになった。そして、久しぶりに授業らしい授業をした。初めて会った先生だから静かなのかもしれないと思ったのだが、2週目も同じように授業が出来た。

土曜日は本来休日である。しかし、丸一日英語スクールで過ごす子もいる。私の担当クラスの子の多くは3-4つ習い事を掛け持ちしていた。すると必然的に親子で過ごす時間は少なくなるのではないかと想像する。完全個別指導でない限りは、学校や習い事では、一人の子どもの話をじっくり聴いてくれる人はいない。だからこそ、子どもは本当は家で親に話を聴いて欲しいと思っているのだと思う。とはいえ、仕事と家庭の両方を運営しなければいけない親の立場も理解できる。さらに、親だって誰かに話を聴いて欲しいと思っている。自分の話を聴いて欲しいということは、相手に自分の気持ちを受けとめて欲しいということだ。

目の前の相手は、自分の鏡だ。子どもの話は脈絡がなかったり、ツッコミどころ満載だったりで、つい口を挟んでしまいたくなる。でもそれをグッと堪えて聴いてあげる方が良い。子どもは大人を良く見ている。大人が彼らの言葉を遮ったり、否定するような応答を繰り返していると、子どもは自然と同じような反応を見せるようになる。だからこそ、じっくり彼らの話を聴いて、彼らの気持ちを受けとめてあげると良い。そして、自分の話も子どもに聴いてもらおうきっと受けとめてくれるはずだ。私はそう自分に言い聞かせて、子どもにも大人にも接するようにしている。

補足:土曜日の習い事を否定するために記事を書いているのではないので悪しからず。

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