よく家族三人で焼肉を食べにいった。
母、父、わたし。
母はワインを頼み、上機嫌にゆっくりと肉を焼く。
酔っ払っている母の話を根気よく聞く父。
わたしはいつも暇で、先に家に帰っていた。
いつからか、外食の定番はラーメン屋になった。
母とわたし、あるいは父とわたし。
母も父も別々にわたしを誘うから、わたしだけ週に二度も行くことがあった。
常連のわたしたちに店長は明るく声をかけてくれる。
「今日はお母さんと来たの?」
そしてこっそりチャーシューやほうれん草を多めにサービスしてくれた。
それに気付いたのは母だった。
「あんたのラーメンの具多くない?
サービスしてくれてるんじゃない?」
それと知ってから、わたしはお腹がいっぱいで苦しくなる、だけど優しい、そのサービスが大好きになった。
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