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人を動かす技術 ~どこでも通用するスキルを身に着ける③~

終身雇用制度が崩壊し、副業や兼業を行う人が増えてきたし、これから異業種間の人の流動性も高まってくる。そうすると、どれだけ”持ち運べる”スキルがあるかが重要になってくると思う。専門的な知識や社内調整力よりも、①課題解決力、②人を動かす力、③構想力など、どこへ行っても通用する能力を身に着ける必要性が高まってくると思う。

課題を解決するためには、解決策を見出し、実行していく必要がある。その実行において、一人で事を成せることはほぼなく、多くの場合、たくさんの人に動いてもらう必要がある。今回は”人を動かす力”に焦点を充てる。

私の経験則的(書籍を読んだり、チームを率いて、失敗したり、成功したりを繰り返して得たもの)に、人に動いてもらうための要素は大きく3つあると思っている(下図参照)。

①信頼関係を築く:メンバーとの信頼関係があって、初めて、人はあなたの話を”ちゃんと”聴く

②対峙する:全身全霊を用いて、メンバーと向き合うからこそ、あなたの言葉に”ちゃんと”向き合う

③主体性を引き出す:情熱を伝えて、プロセスにメンバーを参加させることで、課題解決を自分事に捉えてもらい、”ちゃんと”行動に転換してもらう。

人を動かす技術

信頼関係を築くために

あなたはどんな人を信頼するだろうか? 恐らく、役職や年齢とは関係なく、信頼するポイントがあるだろうと思う。人それぞれではあると思うが、私の考えでは、以下3つは必須だと思っている(もちろん、他の要素もあると思うが・・・)。

①言行一致:自分の言っていることと、やっていることを一致させる。当たり前のことだけども、極めて重要なことである。逆に、これがなければ、人は「偉そうなことを言っているけど、口だけだな」とか、「人にはやれっていう割りには、自分ではやらないんだ」と思ってしまう。自分が思っている以上にメンバーはあなたの言動をよく観察している。

②首尾一貫:大切にしている信念や価値観がブレないこと。何を大事にしているのかと、それが常に一貫していること。もちろん、環境変化に伴い、スピード感を持って、考えや行動が変わるのは必要だけども、全てのベースになる信念や価値感がコロコロ変わると、「拠り所となる基準がない人だな」とか、「ポリシーがないな」と思ってしまう。

③傾聴:メンバーの考えや主張を否定せずに真摯に聴く人は話をしてくれる人よりも、聞いてくれる人の方を信頼する傾向にある。これは優秀な営業やリーダーがよく言葉にするポイントでもある。メンバーと実施する1 on 1ミーティングでの会話の比率を思い返してみてほしい。自分の方が話をしているのであれば、意識して、比率を変えてみよう。それだけでも効果は抜群である。

対峙するために

対峙するという言葉の意味は、【対立するもの同士が、にらみ合ったまま動かずにいること】や【山などが並んでそびえること】であるけども、ここでの意味合いは、【真剣に向き合う】という意味で使っている。対峙するには、以下3つが必要だと考える。

①総動員:メンバーの成功を心底願い、100%全人格をかけて向き合う。人は真剣に向き合ってくれた相手を重視する傾向にある。学生時代の恩師が信頼される存在となる理由として、「真剣に向き合ってくれた」というのがあるのではないかと思う。それはビジネスシーンでも同じである。私の大好きな経営者である日本電産の永守社長はこう仰っている。

自らを磨いて鍛え直し、大きな愛情を持って指導を行う。これに意気を感じた部下が期待に応えてくれるのである”

②認知:メンバーに興味・関心を持ち、成功に向けた行動を取っているかどうかを認知する。助言や指摘をする前に、まずは「何をやっているのかを知ってもらった」だけで、メンバーは嬉しいものである。立ち話でもいいので、ふらっと近寄って、声掛けをし、話を聴くだけでも認知になる。

③振返り:メンバーの行動に対して、具体的なフィードバックをする。良かった行動については、賞賛をし、間違った行動については叱責(指摘)をする。結果が出るまでは結果ではなく、行動に着目して、フィードバックをすることがポイントである。ただ、フィードバックする時に、ありがちなのは叱責ばかりをすること。一つでもいいので褒める要素を見出するのも必要であるし、ミーティングの最後は叱責ではなく、褒めて終わること。ちなみに、永守社長は次のように述べている。

若手は1叱りつけ、9褒める中堅は5叱りつけ、5褒めるリーダーは9叱りつけ、 1褒める

主体性を引き出すために

指示・命令して人を動かすというやり方もあるだろうけども、メンバーが指示・命令をこと細かくせずとも、腹落ちして、主体的に、自発的に動くのが理想的だろうと思う。そのためのポイントは3つ。

①情熱:熱意をもって、自らの言葉でビジョン・目標・意義を伝えること。論理だけでは、原則、人は動かない(論理だけで動く人もいるが・・・)。人は感情の生き物であるので、感情に訴えかける言葉やプレゼンが必要となる。ちなみにファーストリテーリングの柳井社長はこう仰っている。

こういうものを絶対に作りたいという理想や希望を持って、人の力を引き出せる人でなければ経営者は務まりません”

②質問・参加:メンバーの主体性を引き出すには、指示・命令ではなく、参加させるために質問をすること。質問をする=考えさせることになる。人は自分で考えたことであれば、(それが本音であれば)行動に移しやすい。だから、課題解決や目標達成のプロセスから、メンバーを参加させると行動までスムースに行きやすい。

③期待・委譲:メンバーに期待している旨を伝えた上で任せる。人は人から期待されれば、期待に応えたいと思う傾向にある。ただ、期待だけではなくて、その期待を応えるのに必要なリソース(権限を含む)を与えた上で、任せる。但し、任せ方は【仕事の難易度】×【メンバーの力量】に応じて、濃淡付けは必要であり、任せる≠放置する、である。あくまで最終責任は任せるという判断をした自分にあることは忘れずに。

ちなみに、第26・27代連合艦隊司令長官の山本五十六さんはこのように述べている。軍隊のような指揮命令系統の強い組織のリーダーがこう述べているのは、ある意味驚きである。

やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、 信頼せねば、人は実らず

具体的なテクニック

人を動かすための要素の説明をしてきた。かなりふわっとした話で、「実際に何をすればいいのだろう」と思う部分もあるかと思う。具体的には先に示した9要素を意識しながら、自分なりの行動を変えてみることに尽きるが、幾つかテクニックもあるので、紹介する。

①メンバーとの信頼関係を構築する上でのテクニック(下図参照)。

メンバーとの信頼関係のスタートは自分自身を”どう位置付ける”かである。つまり、「この人は信頼できる存在だな」と思ってもらえるように位置付けることである。そのためのテクニックとして5つある。①アイスブレイク、②率直にどういう存在かを伝える、③相手の話を聴く、④メンバーが使う言葉や仕草を真似する、⑤共感する。この5つをやるだけでも、相当メンバーとの距離感は縮まるはずだ。

位置づけのポイント

②褒め方のテクニック(下図参照)

褒めるのが苦手という方もこれまで多く見てきたが、褒めるにも幾つか方法がある。①人を介して褒める、②プロセスを褒める、③人を助けたことを褒める、④皆の前/皆で褒める、⑤存在そのものに感謝する。これも是非、試してもらいたい。

褒め方の種類

③相手を参加させるプロセス(図参照)

信頼関係があることが前提であるけども、質問を中心とした対話をメンバーと行い、課題解決プロセスに参加させて、一緒に課題の解決策を考え、解決策実行のための行動を決めてもらい、問題解決へと繋げていく。概念としては理解できると思うが、実際にはもう少し細かい方法論があるので、それは別noteにて共有する。

コミュニケーションプロセス


幾即実践できることもあると思うので、自身のチームや組織において、一つでも実践してみて、課題解決に活かしてもらえればと思う。

なお、私が運営するオンラインサロン「右腕倶楽部」でも、もっと深い内容を共有しているので、ご興味がある方は覗いてみてください(初月無料:~4/8迄、月額1,000円)

【右腕倶楽部とは?】

https://note.com/migiudeclub/n/n7f4207d12aab

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