ミー
幼い頃、大きな口を開けたこの恐竜が怖かった。 階段や机の上、玄関先やトイレの前。いろんなところにこいつがいて、僕を睨みつけていた。微動だにしないくせに、なぜかこっちを見ている気がして、僕が近づくのを静かに待っているように、僕が近づけばいつでも噛みつけるように、じっと、ただじっとこいつは立っていた。 ママが言うんだ。「そこには行かないでね」って。 ママが言うんだ。「そこは危ないよ」って。 僕はいつもどこでも行けた。和室を抜けて、お姉ちゃんの秘密を見つけて。おもちゃ箱をひっく
夜が来るたびに君のことを思う ただそばにいれば幸せだった
ぽつり、ぽつりと雨が降ってきた。予報外れの雨に打たれながら、秋月は家路を急ぐ。街には街灯がともり、行き交う人たちも早足で駆けていく。きっと今頃は、こんな雨の中でも、渋谷ではしゃぐ若者たちがニュースにでもなっているだろう。なんといっても今日はハロウィンだ。最近は、仮装をして街を練り歩く人たちも増えてきた。もちろん、会社帰りで急いでいる秋月には縁のない話だ。 ふと何かの視線に気づき、足を止め道の反対側に目を向ける。通り過ぎる車の向こう側から、誰かが秋月のことを見ていた。仮装
君と二人 あの虹の向こうまで ずっと手をつないで 歩いていきたいね
いつも笑顔を絶やさずに 誰かがいると笑ってる ほんとの自分を表に出さず 常に仮面で隠してる
明日は晴れていますか 今日が曇っていても 今日が雨だったとしても 明日の天気は晴れていますか
手に入れたかったもの 手に入れられなかったもの そのカケラを持って僕は今日をゆく