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ビジュアルでわかる!アメリカ・イラン関係ー最近話題になった時事問題をわかりやすく解説ー


第三次世界大戦勃発!?
巷で噂のアメリカ・イラン関係をビジュアライズでわかりやすく3回(①1950年〜1970年代、②1979年以降、③トランプ政権下と国民意識)にわけてお届けします!

第一弾は1950年〜1970年代のアメリカ・イラン関係です。

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この時代は、親米から反米に変わる大きな転換点を迎える時代です。現在のアメリカとイランの関係を考える上で、キーとなる時代なのです。

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1908年にイランで石油が発見されると、イギリスが石油会社のアングロイラニアンをつくります。
しかし、この石油会社が利益を独占し、イランに利益がないことが不満に繋がっていました。
そんな中、1951年に反英的なモザデク政権が誕生すると、石油国有化政策が取られるようになります。

これには、イギリスだけでなく、冷戦下で反西側となり共産化することを恐れたアメリカが猛反発しました。
結局、石油資本を国有化したイランは仕返しを受け、財政困難な状況に追い込まれます。
そして、モザデクの支持率が下がり追放され、かわりに皇帝であり、親米的なパラフディー2世が実権を握るようになります。
アメリカから多大な支援を受けながら財政立て直しを行ったことで、アメリカとの従属関係が強まります。

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アメリカの要請もあり、パラフディーは西洋化を強いるような政策を行いました。
また、パラフディーの独裁権限が強化され、開発独裁が行われました。
これに加え、西洋化を進めると同時にイスラーム文化の喪失が進んだことで、シーア派の聖職者などの一部からの批判が強まりました。

この白色は権力者や反革命を表す色を意味しています。(対比として、民衆や革命的なものに赤色が使われるんですよ!)


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イスラエル(西側諸国が支援)vsエジプト・シリア(中近東諸国が支援)の第四次中東戦争始まりました。

中近東の産油国を中心に設立されたOPECが、イスラエルを支持する西側諸国に対して石油価格の大幅な引き上げや石油生産の削減、石油の輸出制限などを行う石油戦略を実施します。
工業大国が軒並み中東の石油に依存していたこともあり、世界各国で石油が不足する事態が発生し、世界経済に大きな打撃を与えました。
ちなみに、日本も例外ではなく、国民レベルではトイレットペーパーが売り切れたり、国レベルでは戦後初のマイナス成長になるなど影響を受けました。

イランは産油国だったため石油の価格上昇により大きな利益を得ることになり、国は経済的に豊かになりました。(国民への分配は進んでおらず、国民は貧困から抜け出せないまま。)また、これを機会として石油が中東諸国の外交手段として使われるようになりました。

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国民の生活が良くならなかったこともあり、脱イスラーム的かつ独裁政権を続ける親米的な政権に対して不満が高まりました。
それに対して、イランの国教だったイスラーム教(シーア派)の信仰に立ち返る民衆の反発が起こります。
国際情勢で見ると冷戦が行われていた時代に、ソ連やアメリカが後ろ盾につかずに行われた革命で大変珍しい事例でした。

国外追放されていたシーア派の最高指導者であるホメイニが国外から勢力的に活動したこともあり、聖職者から影響を受けた学生、労働者、農民などが王政打倒を訴えデモが起こりました。政府は収拾をつけることができなかったため倒れ、イラン・イスラム共和国が設立されます。

ホメイニがイランに戻ると、これまでの西洋化として取り入れられていたアメリカ文化の模倣は否定され、イスラームの規範の生活を復活させました。そして、イスラーム原理主義を理念とした政治が行われるようになりました。

また、イランの混乱を避けるためにメジャーズ(国際石油資本)が撤退したこともあり、石油を国有化したことで、第二次石油危機も起こりました。

反米的な政権ができたことにより、イランとアメリカとの関係が悪化しました。

まとめ

この時代は、アメリカと親密な関係を築いていた一方で、民衆による革命で反米的な政権ができる動乱の時代でした。

不満はあったもののアメリカの文化を取り入れた国造りを進めていた中で起こった革命によって、アメリカの文化を否定したりと反米的になりイスラーム文化を重視する国になりました。

次回は、アメリカの対イラン政策を決定付けた事件について触れながら冷戦末期から冷戦後の関係性を見ていきましょう。

【参考】
・毎日新聞 2019年「アメリカ・イラン 深刻化する対立 不信の歴史と周辺国の思惑絡み」<https://mainichi.jp/articles/20190717/kei/00s/00s/021000c>(2019年12月19日最終閲覧)・ハミッドダバシ著『イラン、背半する民の歴史』株式会社作品社 2008/3/30
・BBC 2020/1/6 ”US-Iran relations: A brief history” (https://www.bbc.com/news/world-middle-east-24316661)
・The NewYork Times  on the web "Iran-U.S. Relations : A Chronogy" (https://archive.nytimes.com/www.nytimes.com/library/world/mideast/041600iran-us-timeline.html)
・Encyclopedia Britannica " Iranian Revolution" (https://www.britannica.com/event/Iranian-Revolution)
・HISTORONIST powered by 山川出版社 ”4コマでイラン革命 〜西欧化の先進国とみなされていたイランに何がおきたのか?〜” (http://www.historist.jp/articles/entry/themes/war/048959/

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