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【2月2日京都市長選】京都を知ろう!~市政編~

「京都市の財政は厳しい」
 長らくそういわれています。そして確かに、他の大都市に比べても、京都市の財政は良くありません。
 例えば、将来負担比率という指標があります。これは、将来的に自治体が支払わなければならない(借金返済や議員退職金など)お金が、現時点の収入に対して何倍かを示すものです。京都市は、全市町村のうちで、この将来負担比率がトップクラスに悪いのです。
 京都市の人口の動きも、大きな課題として立ちふさがっています。人が減れば税収は減るし、何より都市の活気が失われます。
 今回は、個別の政策についてではなく、京都市全体のいまと未来について、見てみましょう。

1.財政状況

 京都市と人口規模が近い政令市同士で、一年の収入を比べました。

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 見ての通り、政令市の平均値と比べて、京都市に直接納められる「市税」の割合が小さいのがわかります。
 市税には、
 ・個人や企業の所得にかかる「市民税」
 ・持っている資産(家や車など)にかかる「固定資産税」
 ・温泉に入るときにかかる「入湯税」
 ・観光客などが宿泊するときに払う必要がある「宿泊税」
などがあります。京都市は、観光都市としては栄えていますが、大きな建物がない、税金があまりかからない寺や神社といった宗教施設・団体が多い、などの理由から、市税収入が少なくなっているようです(1)。
 次は、政令市の収入を、割合ではなく実際の値で比べます。

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 政令市の平均に比べると、京都市の収入は多いことがわかります。しかしながら、市税の額は、逆に京都市のほうが平均より少なくなっています。


 次は、このように集められたお金の用途について。政令市ごとに項目が大きく違うので比較はできませんので、京都市についてのみ見ていきます。まずは、平成30年(2018年)度の京都市予算の内訳を見てみましょう。

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 保健福祉への費用が最も多くなっています。介護保険や生活保護といった地方自治体に任された業務や、スポーツや福祉施設への補助、高齢者への市バス無料パス事業などへ使われています。
 続いて、平成20年から29年までの予算の変遷です。

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 紫色(一番上は紫+水色)の保健福祉や教育への予算が、年々増えているのがわかります。進む高齢化に対応するための費用は、なかなか減らすことが難しい部分です。京都市の財政を改善していくことは、かなり困難なミッションであるといえましょう。

2.公務員

 財政を再建するに当たって必ず手を付けられるのは、公務員の人数や、市長も含めた給与の削減です。他の政令市と比べて、京都市の公務員の人数や給与はどの程度なのか、データから見てみます。まずは、公務員1人あたりの人口の比較から。

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 1人あたりの人口ですから、数値が小さいほど公務員が多いことを意味します。同規模の政令市に比べると、京都市の公務員数は比較的多いことがわかるでしょう。

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 公務員の給与を政令市で比較しました。市長給与では、京都市は表にあげた他の政令市に比べると少ないことがわかります。大阪市長は給与を40%カットし、名古屋市長も大きくカットしているため、京都市より低い数値になっています。これを妥当と見るべきか、もっと削るべきと考えるか。
 財政が厳しいことを考えれば、もっと給与も数も削減して行くべきかもしれませんが、少子高齢化・災害の激化など、市が直面する様々な問題に対処するためには、安定的な身分を保証された多くの公務員が不可欠です。どちらをより優先するか、塩梅が難しいところです。

3.人口

 京都市の人口は現在147万人弱で、政令市では現在8位。ではこの人口は、今後どうなっていくのでしょうか。1920年から2040年までの人口(予測)をグラフ化しました。

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 見ての通り、今後急速に人口が減少することが予測されています。しかも、人口が同じくらいだった1960年ごろと違い、高齢者の割合が人口の多くを占めています。先に見た財政における保健福祉費の増大と併せて考えると、京都市が今大きな困難の直面していることがわかると思います。
 最後に、2015年現在の人口と2045年の人口予想、それぞれを全政令市で比べてみました。

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 京都市の順位自体は、7位と1つ上がっています。しかし、赤いグラフで比べれば分かる通り、現在同じくらいの人口を擁する福岡市・川崎市が人口を増やす一方で、京都市は減らし、大きく差ができることが予想されているのです。

おわりに

 この記事では、個々の政策分野を離れて、「京都の未来」という観点から現状を紹介しました。今回出馬する候補者も、こういった現状を意識し、どうすれば財政が良くなるか、どうすれば京都を未来につなぐことができるか、それぞれの考えを公約で表明しています。紹介した前提を頭の片隅において公約を読むと、面白く感じるかもしれませんね。

使用データ
財政について
総務省「地方財政統計年報」(https://www.soumu.go.jp/iken/zaisei/toukei.html
京都市統計書「第14章 財政」(https://data.city.kyoto.lg.jp/node/32653

公務員数・給与について
総務省「地方公務員給与実態調査」(https://www.soumu.go.jp/main_sosiki/jichi_gyousei/c-gyousei/kyuuyo/kyuuyo_jc.html

人口について
国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来推計人口」(http://www.ipss.go.jp/pp-shicyoson/j/shicyoson18/3kekka/Municipalities.asp
京都市統計ポータル「推計人口」(https://www2.city.kyoto.lg.jp/sogo/toukei/Population/Suikei/
(1)朝日新聞「【京都市長選挙2016.2.7】 伸びる観光 潤わぬ財政」(http://www.asahi.com/area/kyoto/articles/MTW20151124270220001.html)2015年11月24日


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