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四国の旅

その日の仕事を終えて、急いで東京駅に向かっていた

夜出発の夜行バスを乗る為に

行き先は高知

初めて行く四国をずっと楽しみにしていた


なぜ四国に行くことになったのか


会社の先輩に勧められた本を読んだからだ

その本は『竜馬がゆく』(司馬遼太郎 著)

すごく有名な本だったが、当時の私は読んだことがなかった

読み始めると、一気に幕末の世界にハマった


あまり本を読まなかった頃のことなので

自分でもこんなにハマるのかと思っていた

あまりにもハマって読んでいるので、彼女が私も読むと

竜馬の世界に参加してきた

どんどんハマる私達、盛り上がる幕末の話

ついには、竜馬がいた桂浜に行こうということになった

もうワクワクが止まらない状態



が・・・


ええ、毎度の事ながら、行く直前に私はフラれまして

元カレが、どうしても好きだということなので

あの幕末話での盛り上がりは、何だったんだろう?

しょうがないと、諦めるのはツライのだが

彼女の悲しい顔を見たくないので、すっぱりと諦めた

この時の私は既に、以前にもっと凄い経験をしていたので

なんとか持ち堪えられたのです


凄い経験はこちら


平日の夜行バスの為、空いていると思っていたが

バスに乗り込んでびっくりした


運転手が2名、乗客が私を含めて3名

なんと全員で5名の夜行バスの旅となった


運転手さんからも、「指定席となっていますが、ご自由にどうぞ」

言われた時には、思わずみんな苦笑いした


夜行バスは快適で翌朝には高知に着いた

多少の観光をして、夕方には念願の桂浜へ

いろいろな意味で泣きそうになるが

今夜の宿にいかなければと

宿に着くと、西武ライオンズもキャンプで利用する素晴らしい宿

正直一人では勿体無い程の料理を堪能した

2日目は四万十川を巡り

足摺岬へ


ここでも私は雨男の本領を発揮する


初日は晴れていたのに、どんどん曇って

2日目は雨、しかも暴風注意となっていた

そんな中、何もすることがなく、宿から足摺岬が近いこともあって

岬の方へ散歩に出かけた

雨の中、どんどん進むと途中の看板にはこう書いてあった

【早まるな!】

【考えなせ!】

【人生は一度】


なんだ?この看板は・・・

不思議に思いながら、大雨が降る中、足摺岬へ行くと

これがもう、凄い雨と海のしぶきが凄く、とても長くその場所にいれない

フラれて寂しいよりも怖くなって来たので宿へ戻った


ビショビショになって宿に着くと

女将さんが凄く優しくしてくれた

優しいな〜と思っていると

宿に何やら書いてあるのを発見した

女将さんはとても聞き上手で、何人もの人を救ったと書いてあった


救ったの?何を?


そうここはいわゆる、自殺の名所だったのです

だからあんなに女将さんが、優しいかったんだ


完全に誤解されていると思ったが、極端にハイテンションもおかしい

なのでなるべく普通に過ごした

お風呂に入って、晩御飯を食べて、ちょっとお酒を飲んで寝ようと

思ってテレビをつけると、映画が放映されていた

放送が終わって、チャンネルを変えると、ちょうど夏の時期だったので

有名なあの人が出ていた、そう

【稲川淳二】

ヤバイ、夏の夜に絶対一人で観ちゃいけないヤツだ

観ちゃいけないのに、結局巧みな話術に引き込まれて全部観てしまった


・・・・・寝れない

怖くて寝れない

どうしようと焦れば焦るほど・・・寝れないのだ


寝返りをしたくても、振り返られない

絶対に霊感がないと確信している私なのだが

この時は、ビンビンに怖さがマックスなのでちょっとでも音が

するとビクッ!


あ〜寝れない


外は大雨だし、お酒を冷蔵庫から出して呑んでに酔えない

もう、寝ないと決めて電気を点けたまま

気がついたら朝になっていた

汗びっしょりで、とても疲れた夜だった


帰りの夜行バスは、行きと違って満席だった

ざわざわしていたが全く気にすることなく

私は爆睡して東京へと向かった

その頃の写真をたまに見る時があるが

自分で言うのも何ですが

とても、寂しそうな顔をしているんです


ここで一句

失恋で 二泊三日は キツすぎた


失恋の旅は、一泊二日が限界ですね




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