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詩 バスに揺られて



マイクロバスに揺られて

運転手の鼻歌はガイドの代わり
小難しい政治絡みの云々も
対立する民族がいた歴史も
窓の外に広がる過不足のない一瞬が
全て承知の上で道をあけろと偉そうに笑う

そうだ
このバスが向かう先は
あんなにも憧れた伝説の土地
絵に描いたような男も女も
いつぞやの時間に住む老人も
悪巧みに飽きた子供も
好き勝手にお伽話を持ち込んでは
指を指す地平線
何が見えたか
思い通りだったのか
押し黙る唇が人を恋しがる

ふらりと乗ったマイクロバス
黄昏が来る前に深呼吸をすれば
ガイド代わりの鼻歌が終わる頃
なんにも意に返さないマイクロバスは止まる

ステップを降りれば
そこは灯りの増えた元の場所
目をこらすまでもなく

諦めの悪い過不足が
どうしようもなく眩しかった




#詩







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