散文詩 一筆したため春薄暮
前略貴女様
随分と笑顔を見せてくれるようになったと思います。
貴女のお母さんはやはり苦労の連続でしたが、いつもお話しているように大丈夫なのですよ。
思い出してください。髪をとかしてくれるのはお母さん。ぼろぼろの子犬のぬいぐるみを繕ってくれたのもお母さん。三輪車を押してくれたのもお母さん。
お母さんは大丈夫です。きっと幸せになりますよ。そして貴女を捨てたり、ましてや殺めたりなどあろうはずはありません。
だから貴女は安心して、迷子にならないようにしてくださいね。
お母さんを探して泣いて泣いて、泣き止んでまた泣いて、そんな貴女を抱きしめてあげられるのは、わたしが貴女だからです。大人になった貴女だからです。
随分と暖かくなり、新芽の匂いに包まれるこの頃。今は静かな夕暮れ時です。
こうやってお話できるのはあとどれくらいでしょう。貴女が安心していなくなるまでわたしは待ちましょう。大丈夫、きっと大丈夫。
わたしはそれを知っていますから。
かしこ
追伸
間違えていた事に気付くのは、どうか大人のわたしに任せてくださいね。
*文芸の力を借りて少し自分を癒します。
*タイトルはいちごつみで詠んだ自由律俳句をそのまま使いました。
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