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#note神話部

詩 繁栄の跡

詩 繁栄の跡

キャラバンが見た夜空の回廊
ラクダの背が運んだ絹
人は動き道は動かず
今は打ち捨てられた都の
足跡を覆う草は痩せた装束

わずかに残る年老いた伝説は
時代に消えた北辰を指さす者
虚構を疑わずに
恐れるものを
ただ恐れていればよかった世界

キャラバンが見た夜空の回廊
北辰を指さす者
石のつぶてのひび割れに
その身を押し込んだたくさんの冒涜と
踏みつけられては足首を掴む
神々の切れ端

再びここで踊

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詩 ペレー我こそがこの大地ー

詩 ペレー我こそがこの大地ー

ハワイ神話のペレ。キラウエア火山におわすと言う炎の女神。ハワイ神話の中で、圧倒的な存在感を示す。
※1800年代初頭、キリスト教に入信した酋長の娘カピオラニは、ペレを否定するためにキラウエアに向かった。ペレへの捧げ物であるオヘロを自ら食べ、火口に石を投げ入れ、あろうことか聖書を朗読した。何事もおこらなかった事をもって、キリスト教の勝利とされた。
※ハワイの神話と伝説を参照の上、要約。

ー我こそが

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詩 ふることのふみ

詩 ふることのふみ



ふることのふみ

花は饗し
月はしじまを守り
我が身はいかなる場所に向かうのか
火は導き
禁じられたいとなみは
やがて喜悦の中で目を閉じる

鳥は大空を自在に泳ぎ
呼応した魚が跳ぶ
我が身はいかなる場所から出でるのか
水は流れ
まことの誓いは
我欲を引き連れ昇華する

閉じてゆく物語の懐に
血肉をわけた言霊をいただき
水面にうつる月のごとく
磨かれた銅の鏡にうつる一切は
ただひとつの我が身とな

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詩 夜を統べー月讀ー

詩 夜を統べー月讀ー



*ツクヨミノミコト(月讀、月読、月詠)
アマテラス、スサノオと並ぶ三柱のうちの一柱。
記載は非常に少なく、アマテラスと離れる事で昼と夜が分離と伝える。
後に不老不死、豊穣等の祈りの対象にもなる。月を本地とする神。恐らく男であるが、特に性別も伝えられていない。

夜を統べー月讀ー

不老不死とはいかなる戯言ぞ

日輪よ
追うても追うても
こころ開かぬ眩さに
満ちては欠けまた満ちながらえて
男とも

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詩 果てなき塊ー石ー

詩 果てなき塊ー石ー

悠久の大地に生かされる
果てなき塊

あると思えばあり
無いと思えば無い

指先一本で流れ移り
容赦なく姿を変える者が
見ればあり
見なければない
果てなき塊として
ただそこに在る
沈むように横たわり
大地と呼応する

人の目に写る様は
およそ人だけのもの
無常の外に生きる
意思なき永遠

何年も前の過去作。

縄文時代の前、つまり列島の先土器時代である岩宿時代の遺跡から既に打製石

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木花咲耶姫•磐長姫

木花咲耶姫•磐長姫

矢口れんと氏率いるnote神話部へ投稿いたします。
過去作でもいいとの事なので、日本神話から実際に語られているお話をもとに書いた、ふたつの(姉妹)詩作品を、ひとつのnoteにしてみました。
天孫とされるニニギのもとへ嫁いだ姉妹のお話。醜い顔の姉は追い返され、顔の綺麗な妹は不義を疑われました。

咲くやさくや
【木花咲耶姫】

咲くや咲くやどの花咲くや

コノハナ咲くやと唄ひつつ

不義を疑われ

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