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2020年6月の記事一覧

散文詩 相生(あいおい)

散文詩 相生(あいおい)

気がつけば口をつく繰り言は
先に旅立った父に向けられたものかどうなのか

そうかと思えば毎年実を付ける金柑に手を入れ
玄関先には母の育てる鉢植えがひとつまたひとつと増えていった

何が本当で何が嘘なのか
夫婦は互いの影を踏み
知ってか知らずか
やがてはそれも気にならぬ程
重なりあった影となる

あれから長い年月が流れ、母の娘は夫の影と
どれほど重なりあっているのだろうかとため息をつく
ガラリと窓を

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詩 沈黙の花

詩 沈黙の花

帳の中で交錯した
冷酷と
不可解な熱の涙が乾ききらぬ間に
柔らかな乳白色に促され
ひらいた窓の先に広がる朝凪
再びこぼれた涙の意味を問うて
置き捨てた
まだ若い花束を見つめた

くちびるから漏れる沈黙の呼吸
#詩