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<2>夢のカフェ経営

連載小説【週末カフェ2510】

一花ちゃんは、老舗百貨店の紳士用品売り場で販売の仕事をしている。
接客業なので、人当たりの良い従業員ばかりで人間関係も良く、楽しく働いているようだ。
ただコロナ禍になってから百貨店の売り上げが下がっているのが悩みどころだとか。
「私の売り場はそんなに影響が無かったのですが、店全体に売り上げが落ち込んでいて」
どこもそうよね。
「ところでマスターは、どうしてこの店を始めたんですか?」
カフェを開くのが夢だったけど、本業でやる自信は無かった。
平日は町工場の事務員をしている。
副業で週末だけ営業のカフェを開いた。
利益はあまり無い。

ブログで宣伝として情報発信をしている。
カメラを新調してクリームソーダの写真をこだわって撮影し、
投稿している。
その成果もあって、新規のお客さんが来るようになった。

午後6時になったので、カフェを閉めて家に帰った。
築40年の平屋の借家に住んでいる。
窓の明かりがついているので、竹中くんが帰宅しているようだ。
築40年の平屋の借家に一緒に暮らして2年。
竹中くんは、料理が得意でよく作ってくれる。
今日は、たけのこのソテー、たけのこの味噌汁、たけのこご飯。
たけのこフルコースだ。
私は特に、たけのこが好きな訳でもないがどれも美味しかった。

竹中くんは、ブロガー(ブログを書いて収益を得る仕事)で
執筆の合間にウーバーイーツの配達員をしている。
多趣味で友人が多い。
飲み会で知り合って意気投合した。趣味はあまり合わない。
私はどちらかというとインドアで、最近は家庭菜園にはまっている。
世の中的にも流行っているようで、ホームセンターはいつも混んでいる。

昔から植物は好きだった。農家の祖母の影響もあると思う。
子供の頃住んでいた祖母の家は山の近くで、
敷地が広く野菜を育てていたり、花壇にはたくさんの花が植えられていた。
緑豊かな土地で、近所には植物園や総合園芸売店もあった。

夕ご飯の時に、働きすぎだよ、と竹中くんに言われて、
日曜日はカフェを閉めて、隣町のブックカフェに行くことにした。


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