あなたに送れなかった手紙1

テレビをつけました。

旅番組で旅料理が映っていて、ナレーションを聞いてたら、胸が強くザワザワしました。
「ああ、これは危険だ」と気付いたから直ぐにテレビを消しました。
立ち上がり、アロマをたこうとしたのです。
強いフラッシュバックが起こる前に、と思って。けれど遅かったみたい。
ふらっとしてその場に座り込みました。
走馬灯のように流れる「何か」と、何故か溢れては止まらない涙。
なんとかアロマの香りを嗅いで落ち着きました。
フランキンセンスというフラッシュバックには効果的なものがあるんです。
それからは今日は本当に上手くいきません。
何をしても胸のざわめきは消えなくて、上手く笑えなくて、上手く生きれなくて、お風呂入って髪の毛乾かせなかった。

また涙が出てきて、拭くこともできなくて。

今も涙が出てきて、拭くこともできなくて。

あなたに聞いて欲しかった。あなたの名前を呼びたかった。
あなた、としか言えない。
なんて悔しい。
明日になれば少し気持ちは晴れるかな。
晴れる、じゃなくて変われる、かな。
胃がキリキリ痛くて、耳の奥が痛くて、生理痛も明日はきっとピークだ。

ここまで書いて、あなたに送ろうと思ったけれど。
やっぱりやめることにします。
あなたに向けて書いたんだけど、
あなたのことばかり考えていたけれど、
あなたにはあなたの人生があるんだから。
私は手紙の返事をゆっくり待ちますね。

きっと明日は大丈夫だよ、って
あなたなら言ってくれるんだろうなあ
なんてね、
きっとあなたは悲しそうに笑うんだろう。

私はあなたが置いてくれる距離が心地よくて、どうしても壊したくないんです。


みちる

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