「掛け声」だけの防災対応
こんばんは。片耳の歌う防災士ゴリィこと、後藤智之です。防災の他にも、音楽制作、クイズ制作、こころの健康に取り組んでいます。「轟RADIO」という統合ブランド名で、それぞれにまたブランド名が付いています。防災なら「トドろき防災」といった具合です。共通テーマは、「生きることが、価値。」
さて、先日アパートの外階段が落下してお亡くなりになった方がいらっしゃったということで、ご冥福をお祈りします。今回はこれを機に色々思ったことを書きます。
建物の管理責任は「所有者」
当たり前のことを当たり前のように書くのですが、建物の管理責任は最終的にはその建物の所有者です。今回のようにアパートの外階段が落下した、となればアパートの「大家」の管理責任が問われます。
同様に、「住宅用火災報知機の設置義務」について。借家(賃貸物件)の場合、その設置の義務は「貸主」である「大家側」にあります。今、この記事をごらんのあなたが賃貸物件にお住まいで、「住宅用火災報知器」が設置されていない場合、「早くつけてください」と言って何ら問題ありません。
「住宅用火災報知器」は設置が義務付けられているもの、つまり「設備」としてあるものなので、設置義務・管理義務は「大家側」にあるのです。
いっぽう、あなたが「持ち家」(分譲マンション含む)にお住いの場合、設置義務はあなたが「所有者」なので「あなた自身」となります。
このように、「誰が責任を持つか」は、持ち家か賃貸の家かで変わってくることをまず知っておいてください。
ブロック塀の倒壊の責任は?
大阪北部で震度6弱の地震があったのは記憶に新しいかと思います。小学生の女子児童が「違法建築物」となっていたプールの壁が倒れた下敷きになってお亡くなりになったのは覚えている方も多いと思います。
そもそも、「公共の施設」で「違法建築物」ができ上ってしまっていたこと自体問題なんですが、当然のことながら管理責任はその学校を管轄している「市」になります。
実は、他におふたり民家のブロック塀が崩れた下敷きになってお亡くなりになっています。「ブロック塀が崩れた」のも「震度6弱」程度であればおそらく所有者の責任を問うことができるのではないか、と思います。
1978年の宮城県沖地震では、倒壊したり崩れたブロック塀によりお亡くなりになったりケガをされた方が多数出て問題になりました。宮城県沖地震を機に、建築基準法が1981年に改正され、建築物の耐震性が厳しくなりましたが、当然それ以前に建てられたもの、造られたものは残ったままです。
大阪北部の地震は宮城県沖地震から30年。「まだ、補強していないブロック塀が残っていたのかな?」と少し悲しい気持ちでニュースを見ていたのを覚えています。
掛け声だけで終わってないか?
行政にお金がないことを知っていて理想論を今から書いていきます。
本当なら、ブロック塀の補強や作り変え、撤去(生け垣にするところが増えましたね)に補助金を出し(これは実際やっているところもあるかもしれません)、プラスまだそれをやっていないところを把握して、「早くやりなさい」と圧をかける。
住宅用火災報知器も値段は安いので補助金という話はいかないまでも、せめて集合住宅くらいは「付けているかチェックをする」くらいのことをしないと、「やってください!」と掛け声をかけて終わっているだけのように思います。
ちなみに、名古屋に住んでいた頃の集合住宅には義務付けられてからわりとすぐに取り付けられました。いっぽう、仙台に戻って最初に住んだ集合住宅はだいぶ後になって取り付けられました。
今住んでいる集合住宅は最初からついていますし、月に1度業者の方が室内に入り点検もしています(おそらく高層階の建物なので)。
まとめ
「やってください」だけで動いてくれる人ってそうそういないと思います。どんなけ立派な制度設計や見直しをしても、それに対応するかどうかの「動き」を「人任せ」にすると意味がないことはよくある話です。
「やってください」のあとの「やりましたか?」のチェックや、やるように重い腰をあげるような「からくり」作りまで考えていかないと、浸透していかないんだな、と思っています。
かくいう僕も立場的には「やってください」って言う側だったりします。まだ、ネット上で啓発しているだけにすぎませんが、いずれ(どうやら「今年」という説もあり)「地域防災」を担うひとりになったときには、こういうことも念頭に入れていかなければならな、と思っています。
今回も最後までご覧くださいましてありがとうございました。
轟RADIO"トドろき防災"「防災随筆」第3回
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